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【映画】ラッシュアワー2 [映画評]

ジャッキーのカンフーアクションと、クリスタッカーのマシンガントークが楽しめる映画です。


ラッシュアワー2 [Blu-ray]

ラッシュアワー2 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2015/10/14
  • メディア: Blu-ray



ラッシュアワーの続編です。
1でクリスタッカー演じるカーターが休暇を取りますが、その休暇でジャッキー演じるリー警部がいる香港に行きます。
そこでさっそく事件に巻き込まれます。
物語のキーは偽札で、黒幕はタンです。タンは元警察官でリー警部の父とコンビを組んでいました。
そしてタンはリー警部の父を裏切り、殺し、偽札製造に必要な原版をもって逃走した過去があります。
タンへの捜査の過程でクラブやマッサージ店、さらにはクルーズ船でも乱闘騒ぎを起こします。
後半で2人はロスに飛び、クルーズ船にいた白人富豪の線からラスベガスに行きつきます。
そこで最後の大立ち回り、という感じのストーリです。途中で潜入捜査官を名乗る謎の美女が登場し、彼女が本物かどうか、という部分でストーリーにスパイスを効かせています。

とにかくジャッキーのアクション満載です。
シリーズお約束のNG集を見ても、ジャッキーは体当たりでアクションをこなしています。
さすがに危険なシーンはCGも使っていますが、それでも細かい手足の動きは、長年アクション俳優として第一線で活躍してきた熟練の技を感じます。
テーマとしては「信頼できる相棒」で、タンは信頼する相棒をもたなかったために破滅します。
対するリーとカーターは、お互いを信頼しているからこそ生き残ります。
という付け足しみたいなテーマはあまり効果的ではありませんが、単純にユーモアを交えたアクションを楽しめるエンタメ映画だと思います。
コンビを活かしたアクションも多彩です。
製作費は前作の3倍近い90百万ドルで、興行収入は3億47百万ドルと前作と1億ドル以上回る成功を収めました。

ジャッキーとクリスタッカーのコンビ芸を楽しみたいひとのために!
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第49期棋王戦第3局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]

藤井棋王の1勝1持で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

藤井棋王の記録で注目されているのは、歴代勝率記録の更新なるかどうかです。
歴代最高は1967年の中原誠で47勝8敗の0.8545です。
数々の記録を打ち立てている藤井棋王ですが、いまのところ最高は2018年の0.8490で惜しくも歴代第3位です。
棋王戦が始まった段階33勝5敗の0.868と歴代最高勝率を上回っていますが、なにしろ6勝1敗ペースを続けないと落ちてしまいます。
記録更新のためには負けられない戦いが続きます。
さあ藤井棋王は、記録更新に向けた大きな1勝を上げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202403030101.html

ということで、将棋です。
藤井棋王の先手で始まり、本局も角換わりとなりました。角換わりというと、第1局目に登場した後手番伊藤七段の持将棋定跡が衝撃を与えました。
本局では、その研究を警戒したのか、藤井棋王が5八金と旧式を採用したため前局とは異なる展開へと進みます。
この5八金形の弱点は角の打ち込みの隙が多いことです。
本局でも伊藤七段が角打ちから馬を作り、この馬が働くかどうかが勝負になります。
評価値的に勝負を分けたのは、70手目の2三金です。
藤井棋王の3五一点突破狙いのような角打ちに対して正面から受けて立つ勇者の一手ですが、大さばきになってみると先手優勢になっていました。
後手からすれば角をただで取れそうだし、8一飛車も受けに効いています。
しかし、ここからの藤井棋王の寄せは鮮やかでした。
3一角打ちから20手もしないうちに、後手を投了まで追い込んでしまいます。
藤井棋王といえば長考派で、以前はタイトル戦で1分将棋に追い込まれるのも度々でしたが、本局では持ち時間も絶えずリードして、タイムマネジメントも完璧です。
もはや手の付けられない強さと言っても良いかと思います。

これで藤井棋王の2連勝となり、防衛まであと1勝と迫りました。
棋王戦第4局は、3月17日(日)に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」にて行われます!
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【書評】井上靖『敦煌』 [書評]

西田敏行の主演で映画化された井上靖の代表作のひとつです。


敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

  • 作者: 靖, 井上
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/03/24
  • メディア: 文庫



井上靖には西域小説とよばれる作品群があります。
その中でも、敦煌は代表作とみなされており、それだけの価値のある作品だと思います。
敦煌の舞台は中国の北西部で11世紀から13世紀にかけて栄えた西夏です。
主人公は北宋で官僚になるべき科挙試験を受けますが、失敗します。その後、西夏文字に出会い、この文字を読みたいと発起して西夏へと渡ります。
そこで武骨な漢人の部隊長と出会い、彼に信頼されることで相談役のような立場になります。
主人公は西夏文字を学び、仏教に傾倒します。
漢人部隊長が西夏に反乱を起こすときも行動を共にしますが、戦火で経典が失われることを憂います。
主人公は行商人の助けを借りて、入口を封鎖した石窟のなかに隠します。
隠匿された文書は、九百年もの時を経て、敦煌文書として発見されます。
という感じのストーリーです。

あくまで自分の読み取り方ですが、主人公は承認欲求を強く持っていると感じます。
科挙に失敗したことで、存在意義を見失いますが、凛とした西夏の女性と、彼女から渡された西夏文字を見て、人生の目的を転換させます。
西夏の女性というのがひとつのキーワードになっています。
主人公は西夏に渡り、一兵卒として散々な目にあいますが、「死んでも仕方がない」という思いと、「自分の存在する意味」を重ね合せて戦場を駆け巡るうちに、漢人部隊長と深い友情で結ばれます。
自分を認めてくれる存在と出会います。
主人公はその気になれば北宗に戻れるのに、西夏にとどまることを決意します。
テーマは、人生の目的だと思います。
ラストは敦煌文書と結びつけるために仏教を登場させたりしますが、これはおまけだと思います。
西域を思わせる雄大な景色といい、毎日芸術賞を受賞しているのも納得です。

ちなみにですが、本作はあくまで小説です。
主人公や漢人部隊長も架空の人物ですし、敦煌文章も戦火から逃れたというより、とりあえず不要な文書を保存したという説が濃厚です。
その点にご注意を。

西域小説の代表作を読みたいひとのために!
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