【書評】潮谷験『時空犯』 [書評]
SF+ミステリかつ文体がラノベという新感覚の小説です。
メフィスト賞受賞者の第2作です。
メフィスト賞というと蘇部健一『六枚のとんかつ』を連想するのですが、独自基準での選考で、尖った作品が受賞するイメージがあります。
本作は2作目ですが、様々な要素を詰め込んだ意欲作だと思います。
基本となるアイデアは、タイムリープです。
時間が遡るとまったく同じ状況に戻るのが普通ですが、本作では毎回微妙に異なる点が新しいです。
しかも特殊な薬(後半で薬ではないことが明かされますが)を飲むことで、ある実験のために呼ばれた9人だけ遡る前の記憶が残ります。
こうした設定の元で、殺人事件が発生します。
時間が戻って死者は生き返る(正確には死ぬ前にもどる)のですが、この殺人事件を実験に参加したこと探偵が解きます。
SFミステリの場合、SF上の設定が殺人事件を解くカギになる(Aアシモフ『鉄鋼都市』他)のがパターンですが、本作ではSF設定を生かしつつ、かつ鉄道ミステリ要素の強い解答が、著者の工夫を伺わせます。
文体はライトノベル風で、しがない探偵がアイドルに一途な恋心をもたれる設定など、この手の話が好きなひとはたまらないと思います。
別解を防ぐためにラスト手前で知性体を登場させて探偵と会話させるなど、ところどころ、苦しい点も見られます。
ただ、突飛な設定で、ここまでまとめ上げたのは、作者の力量だと思います。
ソフトSFのファンや、ライトなミステリファン向けかなと感じました。
新感覚のSFミステリを楽しみたいひとのために!
メフィスト賞受賞者の第2作です。
メフィスト賞というと蘇部健一『六枚のとんかつ』を連想するのですが、独自基準での選考で、尖った作品が受賞するイメージがあります。
本作は2作目ですが、様々な要素を詰め込んだ意欲作だと思います。
基本となるアイデアは、タイムリープです。
時間が遡るとまったく同じ状況に戻るのが普通ですが、本作では毎回微妙に異なる点が新しいです。
しかも特殊な薬(後半で薬ではないことが明かされますが)を飲むことで、ある実験のために呼ばれた9人だけ遡る前の記憶が残ります。
こうした設定の元で、殺人事件が発生します。
時間が戻って死者は生き返る(正確には死ぬ前にもどる)のですが、この殺人事件を実験に参加したこと探偵が解きます。
SFミステリの場合、SF上の設定が殺人事件を解くカギになる(Aアシモフ『鉄鋼都市』他)のがパターンですが、本作ではSF設定を生かしつつ、かつ鉄道ミステリ要素の強い解答が、著者の工夫を伺わせます。
文体はライトノベル風で、しがない探偵がアイドルに一途な恋心をもたれる設定など、この手の話が好きなひとはたまらないと思います。
別解を防ぐためにラスト手前で知性体を登場させて探偵と会話させるなど、ところどころ、苦しい点も見られます。
ただ、突飛な設定で、ここまでまとめ上げたのは、作者の力量だと思います。
ソフトSFのファンや、ライトなミステリファン向けかなと感じました。
新感覚のSFミステリを楽しみたいひとのために!
【書評】門田隆将『敗れても 敗れても~東大野球部「百年」の奮闘~』 [書評]
東京六大学野球で圧倒的に弱い東大野球部の奮闘記です。

東大野球部は東京六大学野球の開始当初(大正14年)から参加していますが、優勝は一度もありません。
特に他の5大学が推薦制度などで力を付けてからは差が付く一方で、ほとんど最下位です。
そうした中でも17勝を挙げた投手、優勝まであと一歩に迫った赤門旋風、日本ハムに入団した宮台投手を擁して15年ぶりに勝ち点を挙げたシーズンなどを取り上げています。
東大は入試が難しいため、好選手はなかなか入ってきません。
だからこそ、高校で不完全燃焼だった選手が、「東大なら野球ができる」と入部してくるケースが多いそうです。
目立つ選手がいないなかでの奮闘は、日本人的な心情にぐっとくるものがあります。
東大野球部の奮闘の歴史を知りたいひとのために!

敗れても 敗れても ――東大野球部「百年」の奮戦 (単行本)
- 作者: 門田 隆将
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2018/05/18
- メディア: 単行本
東大野球部は東京六大学野球の開始当初(大正14年)から参加していますが、優勝は一度もありません。
特に他の5大学が推薦制度などで力を付けてからは差が付く一方で、ほとんど最下位です。
そうした中でも17勝を挙げた投手、優勝まであと一歩に迫った赤門旋風、日本ハムに入団した宮台投手を擁して15年ぶりに勝ち点を挙げたシーズンなどを取り上げています。
東大は入試が難しいため、好選手はなかなか入ってきません。
だからこそ、高校で不完全燃焼だった選手が、「東大なら野球ができる」と入部してくるケースが多いそうです。
目立つ選手がいないなかでの奮闘は、日本人的な心情にぐっとくるものがあります。
東大野球部の奮闘の歴史を知りたいひとのために!
【書評】潮谷験『スイッチ』 [書評]
このスイッチを押すとある家族が破滅する、という設定が面白いミステリです。
本作はメィスト賞を受賞しています。
物語は奇妙なバイトから始まります。
心理学の実験なのですが、6人にスイッチのアプリが渡されて、このスイッチを押すとある家族が破滅する。
スイッチを押すことに、被験者にはメリットがない。
それでも被験者は押してしまうのか。純粋なる悪意は存在するのか。
主人公たちはスイッチを押さないために、対象となる家族、それはさえないパン屋なのですが、その家族と仲良くなります。
しかし、最終日に、主人公のスマホが盗まれ、スイッチが押されてしまう。
という感じのミステリです。
この風変わりな設定に、新興宗教、悪意の定義、キャラたちのバックグラウンド等がいろいろ絡みあいます。
さらには本物の殺人事件。
これほど詰め込んで、それでもスッキリ読ませるのは著者の力量だと思います。
ただ、エピローグが長すぎるのと、著者の人生観が強く出すぎているのか少し気にかかりました。
それでも誰がスイッチを押したのかという、単純ながらすっきりとした推理は面白かったです。
殺人事件の真相は……ちょっと無理があるかも。
けど、これぐらい捻らないと、エンタメにはならないかもしれません。
新感覚のミステリとして、楽しんで読める佳作だと思います。
期待の持てる新人作家のデビュー作を読みたいひとのために!
本作はメィスト賞を受賞しています。
物語は奇妙なバイトから始まります。
心理学の実験なのですが、6人にスイッチのアプリが渡されて、このスイッチを押すとある家族が破滅する。
スイッチを押すことに、被験者にはメリットがない。
それでも被験者は押してしまうのか。純粋なる悪意は存在するのか。
主人公たちはスイッチを押さないために、対象となる家族、それはさえないパン屋なのですが、その家族と仲良くなります。
しかし、最終日に、主人公のスマホが盗まれ、スイッチが押されてしまう。
という感じのミステリです。
この風変わりな設定に、新興宗教、悪意の定義、キャラたちのバックグラウンド等がいろいろ絡みあいます。
さらには本物の殺人事件。
これほど詰め込んで、それでもスッキリ読ませるのは著者の力量だと思います。
ただ、エピローグが長すぎるのと、著者の人生観が強く出すぎているのか少し気にかかりました。
それでも誰がスイッチを押したのかという、単純ながらすっきりとした推理は面白かったです。
殺人事件の真相は……ちょっと無理があるかも。
けど、これぐらい捻らないと、エンタメにはならないかもしれません。
新感覚のミステリとして、楽しんで読める佳作だと思います。
期待の持てる新人作家のデビュー作を読みたいひとのために!
【書評】小林一哉『知事失格 リニアを遅らせた川勝平太「命の水」の嘘』 [書評]
川勝知事の「命の水」の嘘を暴くレポートです。
リニアは全路線のほとんどがトンネルで、静岡県については大井川の上流の山間部、地下400mを約10㎞ほど通ります。
トンネルを掘ると湧水がでるのですが、その湧水は「命の水」であり、大井川に全量戻さない限りトンネル工事を認めないというのが川勝知事の立場です。
本書でも述べられていますが、大井川は多数の電力発電用ダムがあります。
上流で取水された発電用の水は、発電後に下流で戻されます。
そのため中流域については流量が乏しい状況となっていますが、大井川全域の水資源開発という意味では余裕があり、水枯渇という状況にはなっていません。
県用水は市民に直接配水するのではなく、市町村に水を配水し、それに各市町村が自主水源を加えて配水します。
そのため仮に大井川水系の送水量が減っても、市民への配水にはほぼ影響がありません。
知事は過去に何度も節水要請があったことを発言していますが、実はシステム上節水要請になっただけで、水には余裕がありました。しかも県水道からの送水が5%減っても、各市町村には自主水源があるので市民への影響は皆無というのが実態です。
著者は静岡新聞元記者であるだけにこの問題に詳しく、細かく書かれています。
そもそも地下400mのトンネルが下流100㎞の水量に大きな影響を及ぼすことは常識的には考えにくく、有識者会議でもそのような結論になっています。
工事中の湧水量は2m3/sと予想されていますが、そのうち1.3m3/sは戻すとしています。
もう、反対のための反対であることは明らかです。
JR東海の対応も完璧というわけではありません。静岡県に対して根回し不足という面はあったかと思います。
しかし、科学的知見を無視してここまで意固地に拗らせるのは異常だと思います。
おそらく川勝知事はプライドの高い人物ですが、基本的に学者であり、実務能力は高くないと思われます。
リニア問題だけでなく、本書で紹介されている他のプロジェクトの顛末を見ても、周囲に根回しした痕跡が見られません。
また発言は上から目線で、菅総理に「菅義偉という人物の教養レベルが図らずも露見した」という暴言で批判を浴びました。
このような知事がトップに立つ静岡県は、悲劇だと思います。
リニア問題を考えたいひとのために!
リニアは全路線のほとんどがトンネルで、静岡県については大井川の上流の山間部、地下400mを約10㎞ほど通ります。
トンネルを掘ると湧水がでるのですが、その湧水は「命の水」であり、大井川に全量戻さない限りトンネル工事を認めないというのが川勝知事の立場です。
本書でも述べられていますが、大井川は多数の電力発電用ダムがあります。
上流で取水された発電用の水は、発電後に下流で戻されます。
そのため中流域については流量が乏しい状況となっていますが、大井川全域の水資源開発という意味では余裕があり、水枯渇という状況にはなっていません。
県用水は市民に直接配水するのではなく、市町村に水を配水し、それに各市町村が自主水源を加えて配水します。
そのため仮に大井川水系の送水量が減っても、市民への配水にはほぼ影響がありません。
知事は過去に何度も節水要請があったことを発言していますが、実はシステム上節水要請になっただけで、水には余裕がありました。しかも県水道からの送水が5%減っても、各市町村には自主水源があるので市民への影響は皆無というのが実態です。
著者は静岡新聞元記者であるだけにこの問題に詳しく、細かく書かれています。
そもそも地下400mのトンネルが下流100㎞の水量に大きな影響を及ぼすことは常識的には考えにくく、有識者会議でもそのような結論になっています。
工事中の湧水量は2m3/sと予想されていますが、そのうち1.3m3/sは戻すとしています。
もう、反対のための反対であることは明らかです。
JR東海の対応も完璧というわけではありません。静岡県に対して根回し不足という面はあったかと思います。
しかし、科学的知見を無視してここまで意固地に拗らせるのは異常だと思います。
おそらく川勝知事はプライドの高い人物ですが、基本的に学者であり、実務能力は高くないと思われます。
リニア問題だけでなく、本書で紹介されている他のプロジェクトの顛末を見ても、周囲に根回しした痕跡が見られません。
また発言は上から目線で、菅総理に「菅義偉という人物の教養レベルが図らずも露見した」という暴言で批判を浴びました。
このような知事がトップに立つ静岡県は、悲劇だと思います。
リニア問題を考えたいひとのために!
【書評】門田隆将『汝、ふたつの故国に殉ず~台湾で「英雄」となったある日本人の物語』 [書評]
台湾の二二八事件の犠牲となった坂井(湯)徳章の物語です。

坂井徳章は日本人の父と、台湾人の妻との間に生まれました。
父は台湾で警察官をしていましたが、日本の施政下にはいって間もなくの時期で、暴徒によって惨殺されました。
徳章は幼いころは台湾で成長し、長じてからは父の縁者を頼りながら日本で勉強し、司法試験を突破します。
日本でのエリートの道を約束されながら、徳章は台湾に戻り、台湾人の人権向上のために働くことを誓います。
戦後、中華民国となった台湾に襲い掛かったのは、戦勝国としてやってきた無学な国民党による略奪と殺戮です。
中国人の残虐さを理解していた徳章は学生による暴徒を抑えながらも、日本人であることに目を付けられ、国民党に捕まり、銃殺されます。
徳章の生涯は、正義です。脅しには屈折せず、人並外れた努力で夢を実現してきました。
歴史を知ると、台湾が親日国になる理由が分かる気がします。
二二八事件で散った英雄の話を知りたいひとのために!

汝、ふたつの故国に殉ず 台湾で「英雄」となったある日本人の物語 (角川文庫)
- 作者: 門田 隆将
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2020/02/21
- メディア: 文庫
坂井徳章は日本人の父と、台湾人の妻との間に生まれました。
父は台湾で警察官をしていましたが、日本の施政下にはいって間もなくの時期で、暴徒によって惨殺されました。
徳章は幼いころは台湾で成長し、長じてからは父の縁者を頼りながら日本で勉強し、司法試験を突破します。
日本でのエリートの道を約束されながら、徳章は台湾に戻り、台湾人の人権向上のために働くことを誓います。
戦後、中華民国となった台湾に襲い掛かったのは、戦勝国としてやってきた無学な国民党による略奪と殺戮です。
中国人の残虐さを理解していた徳章は学生による暴徒を抑えながらも、日本人であることに目を付けられ、国民党に捕まり、銃殺されます。
徳章の生涯は、正義です。脅しには屈折せず、人並外れた努力で夢を実現してきました。
歴史を知ると、台湾が親日国になる理由が分かる気がします。
二二八事件で散った英雄の話を知りたいひとのために!
【書評】髙橋洋一『「消費税増税」は嘘ばかり』 [書評]
市井にあふれている消費税についての誤解を解きます。
本書の論点をまとめると以下にようにになります。
・日本財政は負債と同等の資産があるため健全。
・年金は保険である。
・消費税は応益税として使うのが筋
・デフレ下での増税は経済政策として過ち
・徴税漏れを防ぐために歳入庁の導入を
おおむね他の本でも主張されている内容と重なります。
自分も気がつかなかったのですが、消費税導入の目的のひとつに、直関税比率の改善があったと思います。
いまや間接税が膨らみすぎているのですが、だれもそのことを指摘しません。
市井消費税の経緯を振り返るのに、よい本かもしれません。
消費税について学びたいひとのために!
本書の論点をまとめると以下にようにになります。
・日本財政は負債と同等の資産があるため健全。
・年金は保険である。
・消費税は応益税として使うのが筋
・デフレ下での増税は経済政策として過ち
・徴税漏れを防ぐために歳入庁の導入を
おおむね他の本でも主張されている内容と重なります。
自分も気がつかなかったのですが、消費税導入の目的のひとつに、直関税比率の改善があったと思います。
いまや間接税が膨らみすぎているのですが、だれもそのことを指摘しません。
市井消費税の経緯を振り返るのに、よい本かもしれません。
消費税について学びたいひとのために!
【書評】門田隆将『康子十九歳 戦禍の日記』 [書評]
戦時中の日本を生き、わずか十九歳で逝った少女の記録です。
粟屋康子は、広島市長在職中に原爆で即死した粟屋仙吉と妻の幸代との間に生まれた次女です。
姉、弟2人、妹の7人家族で、愛情豊かな家族に包まれて健やかに成長していました。
戦時中の窮乏生活ももちまえの明るさと前向きさで戦い続け、勤労奉仕でも日本の行く末を案じながら友人たちとの思い出を重ねていきます。
疎開で家族がバラバラとなり、広島にいた父、弟、姪の3人を一気に失います。辛うじて一命をとりとめた母も一か月後に亡くなります。
そして、広島に駆け付けて懸命に母を看病した康子も、原爆症により短い生涯を閉じます。
とにかく、家族の愛情の豊かさと、その家族を一瞬で吹き飛ばした原爆の悲惨さは、涙なしには読めません。
康子は恵まれた家庭に育ちますが、それでも当時の日本人の家族のひとつの姿を、描き出しています。
戦後60年がたち、それでも親友たちが康子のことを忘れず、著者に様々な思いを語ってくれます。
脚色のない、当時の日本人の姿が、ここにあると思います。
家族愛に溢れた戦中の日本人の姿を知りたいひとのために!
粟屋康子は、広島市長在職中に原爆で即死した粟屋仙吉と妻の幸代との間に生まれた次女です。
姉、弟2人、妹の7人家族で、愛情豊かな家族に包まれて健やかに成長していました。
戦時中の窮乏生活ももちまえの明るさと前向きさで戦い続け、勤労奉仕でも日本の行く末を案じながら友人たちとの思い出を重ねていきます。
疎開で家族がバラバラとなり、広島にいた父、弟、姪の3人を一気に失います。辛うじて一命をとりとめた母も一か月後に亡くなります。
そして、広島に駆け付けて懸命に母を看病した康子も、原爆症により短い生涯を閉じます。
とにかく、家族の愛情の豊かさと、その家族を一瞬で吹き飛ばした原爆の悲惨さは、涙なしには読めません。
康子は恵まれた家庭に育ちますが、それでも当時の日本人の家族のひとつの姿を、描き出しています。
戦後60年がたち、それでも親友たちが康子のことを忘れず、著者に様々な思いを語ってくれます。
脚色のない、当時の日本人の姿が、ここにあると思います。
家族愛に溢れた戦中の日本人の姿を知りたいひとのために!
【書評】門田隆将『奇跡の歌』 [書評]
ペギー葉山の代表曲、『南国土佐を後にして』にまつわる秘話を掘り起こします。
『南国土佐を後にして』は鯨部隊と呼ばれた高知県出身の中隊で自然発生的に生まれた歌です。
歌う人によって歌詞も違えば音程も違う。
戦後、作曲家が採譜し、歌詞を整え、そしてペギー葉山が歌うことで大ヒットしました。
本の前半は、鯨部隊で飼われていた豹の物語です。
中国人民から頼まれ豹退治に出かけたところ、生まれたての小豹を保護します。
部隊はこの豹をかわいがり、豹も兵士になつきます。放し飼いにされていたというから驚きです。
部隊が戦地に移動することになり飼えなくなり、上野動物園に引き取られることになりますが、戦局の悪化で毒殺処分となります。
とても悲しい話です。
後半はペギー葉山が中心です。
イメージに合わないとあれだけ嫌がっていたのに、歌うと大ヒットとなり、いまや代表曲となりました。
戦後は遠くになりにけりです。
戦後の大ヒット曲の秘話を知りたいひとのために!
『南国土佐を後にして』は鯨部隊と呼ばれた高知県出身の中隊で自然発生的に生まれた歌です。
歌う人によって歌詞も違えば音程も違う。
戦後、作曲家が採譜し、歌詞を整え、そしてペギー葉山が歌うことで大ヒットしました。
本の前半は、鯨部隊で飼われていた豹の物語です。
中国人民から頼まれ豹退治に出かけたところ、生まれたての小豹を保護します。
部隊はこの豹をかわいがり、豹も兵士になつきます。放し飼いにされていたというから驚きです。
部隊が戦地に移動することになり飼えなくなり、上野動物園に引き取られることになりますが、戦局の悪化で毒殺処分となります。
とても悲しい話です。
後半はペギー葉山が中心です。
イメージに合わないとあれだけ嫌がっていたのに、歌うと大ヒットとなり、いまや代表曲となりました。
戦後は遠くになりにけりです。
戦後の大ヒット曲の秘話を知りたいひとのために!
【書評】髙橋洋一『99%の日本人がわかっていない国債の真実』 [書評]
国債についての誤解をとくための本です。

国債は国の借金です。
ですが、個人の借金と同一すべきではなく、企業の借金と捉えるのがより正確だと説きます。
マクロ経済的には、国が支出を増やすと経済が上向きます。
支出を増やすにしても増税だと景気を冷やすので、国債の出番というわけです。
国の財政は、資産と負債のバランスで捉える必要がありますが、実は日本政府の資産と負債がほぼイコールで、財政は健全だそうです。
著者はこのバランスシートを官僚時代に作成した本人なので、詳しいのも納得です。
国債について学べる良著だと思います。
マクロな観点から国債を考えたいひとのために!

99%の日本人がわかっていない国債の真実 ―――国債から見えてくる日本経済「本当の実力」
- 作者: 高橋洋一
- 出版社/メーカー: あさ出版
- 発売日: 2017/07/21
- メディア: Kindle版
国債は国の借金です。
ですが、個人の借金と同一すべきではなく、企業の借金と捉えるのがより正確だと説きます。
マクロ経済的には、国が支出を増やすと経済が上向きます。
支出を増やすにしても増税だと景気を冷やすので、国債の出番というわけです。
国の財政は、資産と負債のバランスで捉える必要がありますが、実は日本政府の資産と負債がほぼイコールで、財政は健全だそうです。
著者はこのバランスシートを官僚時代に作成した本人なので、詳しいのも納得です。
国債について学べる良著だと思います。
マクロな観点から国債を考えたいひとのために!
【書評】髙橋洋一『中国GDPの大嘘』 [書評]
中国GDPの疑問点を上げます。
中国が発表する数字を信じる人はまれだと思います。
では実態はどうなのかというのが分かりにくい。
著者は公表された数値の1/3の可能性もあると論じています。
中国経済の問題点は、社会主義国家であることです。
体制的に資本の自由な移動ができないため、経済成長には限界があります。
それが顕在化したのがこの本が書かれている2016年の手前あたりからで、そのことを経済専門家らしく解説してくれます。
掛かれているテーマは多岐にわたりますが、やや雑多な印象があります。
中国経済の姿を知りたいひとのために!
中国が発表する数字を信じる人はまれだと思います。
では実態はどうなのかというのが分かりにくい。
著者は公表された数値の1/3の可能性もあると論じています。
中国経済の問題点は、社会主義国家であることです。
体制的に資本の自由な移動ができないため、経済成長には限界があります。
それが顕在化したのがこの本が書かれている2016年の手前あたりからで、そのことを経済専門家らしく解説してくれます。
掛かれているテーマは多岐にわたりますが、やや雑多な印象があります。
中国経済の姿を知りたいひとのために!