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【映画】画家と泥棒 [映画評]

第93回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ショートリストに選出作品です。

ある日、女性画家の絵が画廊から盗まれます。
盗みに入ったのは2人組。取られたのは2枚。その2枚の絵は行方不明になりますが、犯人はすぐ捕まります。
女性画家は犯人の男性に興味を惹かれ、絵のモデルになるよう依頼します。
そして、二人の友情が始まります。
という感じのドキュメンタリーです。
うーん。確かにアカデミー賞が好みそうな系統です。
犯人は薬物中毒であり、窃盗の常習者です。
彼は幼少期に多少孤独な生活を強いられたようですが、その程度はよくある話で、とても同情できません。
彼女もやや問題があります。
売れない画家なので金銭的余裕がなく、アトリエの家賃も彼氏に払ってもらいます。
その彼氏は窃盗犯と会うことを好みませんが(当然ですよね)、彼女はガン無視です。最後に展覧会の準備をしますが、積極的に手伝いをするのは彼氏ではなく窃盗犯です。
ちなみに窃盗犯には彼女がいます。
二人の関係は友情というレベルを超えており、一緒に朝食をとるところなど、かなりのスキンシップを見せます。
おそらく二人の関係は共依存なのだろうと思います。お互いにダメな自分を自覚しており、そのダメさを舐めあっているだけではないのかと。
あまり好ましい関係性とは思えません。
日本人的にはどうなんだろう、と思ってしまいました。
国柄の違いかもしれませんが。

海外のドキュメンタリーを鑑賞したいひとのために!
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【書評】七河迦南『七つの海を照らす星』 [書評]

第18回鮎川哲也賞受賞作です。


七つの海を照らす星 (創元推理文庫)

七つの海を照らす星 (創元推理文庫)

  • 作者: 七河 迦南
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2013/05/22
  • メディア: 文庫



舞台は田舎にある児童養護施設です。ここには様々な事情で親と一緒に暮らせない子供たちが、共同生活を送っています。
いわば日常の謎系のミステリで、短編連作になっています。
それぞれの短編は、エルキュールポアロシリーズのように、物語の途中で提示されるバラバラな素材が、謎解きとともにひとつに繋がる構成です。
また、7つの物語がそれぞれが別個の物語でありながら、最後にそれらがある一本の線でつながり、ひっくりかえるどんでん返しも用意されています。
文章についてですが、フラッシュバックが多用されているのが気にかかりました。
主要キャラ以外は、いささか性格が被っている部分があるため、物語に入り込むまで時間がかかりました。
けど、物語に入ってしまえば、独特の素材を生かした、しっかりとしたストーリー展開がされていると感じます。
一番、ミステリだったのが『夏期転住』です。
児童福祉の制度を熟知した著者でなければ思いつかないミステリだと思います。

鮎川哲也賞受賞作を読みたいひとのために!
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第35期女流王位戦挑戦者決定戦(加藤桃子女流四段VS伊藤沙恵女流四段) [将棋]

やはりこの2人は強いです。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/

二強に次ぐ存在としてだれもが認めるのが加藤桃子女流四段と伊藤沙恵女流四段です。
しかし、ライバル陣の追い上げも急速で、加藤女流四段は山根ことみ女流三段に負け越していますし、伊藤女流四段は今期の勝率が6割を切っています。
それでも、この2人が白組・紅組優勝を果たし、挑戦者決定戦まで勝ち残ってきたのはさすがです。
対戦成績としてはやや加藤女流四段が押していますが、ここ4戦は2勝2敗と五分です。
福間女流王位への挑戦権をかけた1戦。さあ、ライバル同士の決戦はどうなったでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/35/joryu-oui202403150101.html

ということで、将棋です。
女流棋界は振り飛車が多いですが、加藤女流四段は居飛車党ですし、伊藤女流四段も基本は居飛車なので、相居飛車となりました。
伊藤女流四段はウソ矢倉などややトリッキーな作戦を好む傾向があり、本局でも袖飛車を採用します。
中盤で加藤女流四段が端角を打ちますが、この角を銀の力で押し返し、2枚替えになったところでは後手伊藤女流四段が指しやすかったと思います。
しかし、抑え込みに行った2五銀からが変調で、その銀を逆に狙われて桂馬をボロッと取られては逆転です。
加藤女流四段は狙われていた飛車をバサっと切って、自玉の堅さを背景にして勢いよく攻めていきます。
伊藤女流四段も中段玉でふわふわしながら活路を見出そうとしますが、玉の堅さが違いすぎて、攻め合いにならないのが辛いところです。
145手とやや長手数となりましたが、加藤女流四段が勝ちきり、福間女流王位への挑戦を決めました。

第35期女流王位戦五番勝負は、4月25日(木)に徳島県板野郡「樫野倶楽部樫野邸」で開幕します!
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