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【映画】ラッシュアワー [映画評]

ジャッキーチェンとクリスタッカー主演のコメディアクション映画です。


ラッシュアワー [Blu-ray]

ラッシュアワー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2010/10/06
  • メディア: Blu-ray



ジャッキーが演じるのは真面目な香港警察のリーです。
タッカーが演じるのはロス市警の大口ばかり叩いている自意識過剰な刑事カーターです。
ロサンゼルス中国領事の娘がジュンタオに誘拐され、その捜査を始めるFBIですが、中国領事の強い要望でリーが呼び寄せられます。
FBIとしては捜査の邪魔をさせたくはありません。
そのためロス市警にリーを市内観光案内をさせる役目の刑事を要請し、その結果、爪弾きものだったカーターに白羽の矢が立ちます。
カーターはFBIと一緒に捜査すると息まいていましたが、単なる監視役と聞いてやる気を失い、独自捜査に乗り出します。
リーはカーターの監視を搔い潜って中国領事まで入り込み、捜査に加わります。
しかし独自に発見した犯人グループのアジトに乗り込み、乱闘騒ぎを起こしたことでリーは香港送還が決まってしまいます。
その飛行機を機知でカーターが止め、身代金受け渡し会場に二人が乗り込みます。
そこで黒幕のジュンタオが、実は香港警察の警視長であることを知ります。
という感じのストーリーです。

ストーリーはエンタメの定番をおさえています。
冒頭で主役二人の活躍を描き、それぞれのキャラをしっかり立たせます。
二人は考え方も行動も異なり、最初は反発しますが、徐々にお互いを理解して協力し合うようになります。
それを象徴するシーンが、敵のアジトに突入する前に、お互いの文化、技能を教えあうところです。
ここから二人は明確な協力体制に入ります。
冒頭の2人の活躍ですが、このシーンも使い捨てではなく、後半でちゃんと伏線として活きてきます。
ほどほどの派手さといい、ジャッキーの持ち味である、コミカルなアクションといい、十分に楽しめるエンタメ作品だと思います。
エンドロールでNG集を見ることができます。
ちょっとうれしいサービスです。
製作費33百万ドルに対して興行収入2億45百万ドルなので、大ヒット作品といえるでしょう。
ジャッキー主演の米国映画で、初の米国内興行収入1億ドル突破作品だそうです。
それにしてもクリスタッカーの目力はすさまじいです。

ヒット映画を楽しみたいひとのために!
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【書評】中村文則『私の消滅』 [書評]

ドゥマゴ文学賞受賞作です。


私の消滅 (文春文庫)

私の消滅 (文春文庫)

  • 作者: 文則, 中村
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2019/07/10
  • メディア: 文庫



wikiでは重厚で陰鬱な作風と評されている著者ですが、本作でもその陰鬱さが存分に発揮されています。
ストーリーはミステリと純文学の融合です。
物語は、”小塚”になり替わろうとする男が、小塚が残した手記を読むところから始まります。
そこに医者が登場し、「あなたは小塚だ」と言われます。自分は誰かと考えたとき、主人公は自分の名前を思い出せないことに気が付きます。
テーマとしては、後書きにも書かれているように、「人間とは何か」だと思います。
小説には、宮崎勤や、洗脳の技法が描かれています。
人間の記憶を入れ替えようとする試みを通じて、人間が人間らしくいられるのは、なぜなのか、というのを逆説的に問いかけているような気がします。
ラストになって、冒頭のシーンが本当は何を表していたのかが明かされます。
個人的には、非常にあくどい医者である吉見のキャラに惹かれます。

純文学とミステリの融合を楽しみたいひとのために!
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