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【書評】門田隆将・石平『世界が地獄を見る時~日・米・台の連携で中華帝国を撃て~』 [書評]

ノンフィクション作家門田隆将と中国専門家石平による対談です。


世界が地獄を見る時 ~日・米・台の連携で中華帝国を撃て

世界が地獄を見る時 ~日・米・台の連携で中華帝国を撃て

  • 出版社/メーカー: ビジネス社
  • 発売日: 2017/02/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



二人のスタンスは近いので、対談はスムーズに進みます。
中国の目的は「華夷秩序の復興」であり、「力こそ正義」で一貫しています。
まだ抑えられるうちに抑えておかないと大変なことになる、というのが主張のメインです。
門田隆将はまだどこか中国共産党の内部改革に期待している部分はありますが、石平は元中国人だからかのか、徹底的にリアリストだと感じました。
多大なる犠牲を払って誕生した第二次世界大戦後の世界秩序、侵略戦争・現状変更は許さないというルールが崩されそうとしています。
その現実的脅威の日本は最前線にいるという強い危機感がひしひしと伝わってきます。
祈るだけでは平和は維持できません。改めてそう感じました。

リアルに世界を考えたいひとのために!
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第82期順位戦【開幕前予想】 [将棋]


〔A級〕
 [挑戦者予想]
  ○永瀬拓矢王座 ▲豊島将之九段
まだ名人戦は終了していませんが、永瀬王座と豊島九段の争いかと思います。
それに名人戦の敗者が絡みますが、藤井竜王なら大本命。渡辺名人なら▲かなと思います。
新A級ですが、中村太地八段はまずは残留を目指す戦いかなと思います。前期3勝の佐藤天八段もふんばりどころです。
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82a/index.html

〔B級1組〕
 [昇級者予想]
  ◎近藤誠也七段、○糸谷哲郎八段 ▲羽生善治九段
前期の好調を維持できれば羽生善治九段が大本命ですが、理事に当選して会長就任が濃厚であるため、現実的には厳しいかなと思います。好不調の波が激しいですが、B級1組にも慣れた近藤七段が本命、糸谷八段も1年でA級復帰もあると思います。
 ベテランの屋敷伸之九段は踏ん張りところです。佐藤康光九段は会長職から解放されたことで、もうひと華咲かせて欲しいと思います。独自すぎる棋風は、いつもファンを楽しませてくれるので。
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b1/index.html

〔B級2組〕
 [昇級者予想]
  ◎高見泰地七段 ○丸山忠久九段 ▲村山慈明七段
愁眉の一致する本命がいないため、昇級予想は難解です。前期が好成績で、木村九段、増田七段と昇級者を破った高見七段を本命とします。丸山九段は陥落したばかりですが、地力があるので星が集まればB級1組に復帰してもおかしくありません。
村山七段は連続の好成績で、順位が4位になる今年度はチャンスです。
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b2/index.html

〔C級1組〕
 [昇級者予想]
◎伊藤匠五段 ○出口若武六段 ▲三枚堂達也七段
人数が多いので順位が低いと苦しそう。
前期9勝1敗の伊藤五段が大本命です。実力が頭一つ抜けています。前期叡王戦挑戦者の出口六段も有力です。
才能を高く評価されている三枚堂七段ですが、で今年30歳になります。そろそろC級1組を卒業してほしいです。
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c1/index.html

〔C級2組〕
 [昇級者予想]
◎佐々木大地七段 ○本田奎五段 ▲徳田拳士四段
人数が多いのでやはり候補者は上位陣から。
佐々木七段はダブルタイトル戦を決めましたし、C級2組では完全に格上です。今年こその大本命です。本田五段もなぜC級2組なのか不思議な実力者で、タイトル挑戦経験者としてどんどん上がって欲しいです。
昨年度大活躍だった徳田四段も期待の星です。順位を5位に上げた今期は勝負の1年です。
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c2/index.html
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創作状況【5月下旬】 [ぼくの公募状況]

読みたい本がどんどん出てきて、とてもとても時間がたりません。

【第188回のメュー】
◆こんな公募に応募しました(第10回星新一賞の巻)
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第19回)
◆おまけのもう1作
◆さらにおまけのもう1作
◆公募情報9点
 今回のテクニックは、「視線の動きにあわせて描写する」です。
 次回発行は6月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
https://www.arasuji.com/mailmagazine/saitomagazine/


【ショートショートガーデン】
これは「小説でもどうぞ」のテーマ「仕事」のボツネタです。アイデア自体は悪くないとは思いますが、5枚にするのはしんどいかなと。
〔天使と死神のかけおち〕
https://short-short.garden/S-uCTuRT


【小説でもどうぞ】
今月のテーマ「祭り」の推敲を繰り返す。手を入れるたびに文章がどんどん変わっていく。
いまいちパットしないなあと思いつつ、キリがないので投稿する。ちょっと2カ月連続で駄作を投稿した気分。
来月のテーマは趣味です。とりあえず第1作を書いたものの、これをテーマ「趣味」とするのは無理があるよなあ。
第2作は思いっきり趣味になるように考えます。はい。


【yomeba!】
6月上旬に結果発表のようです。


【星新一賞】
第10回受賞作を順番に読んでいきます。
・ジュニア部門 準グランプリ『future candy communication』中川泰明
言葉にできない思いを伝える飴を作る機械の話です。
その機械を少女がつかい、政治家がつかい、飼い犬がつかい、野生動物たちがつかい、そして最後に地球がつかいます。
地球が作った飴を、この機械を発明した教授が舐め、むせます。
というストーリーです。
極端に改行が多い、やや独特の文体です。飴が5個でてきますが、そのうち4個は作るまでで食べるシーンがありません。食べられるのは最後の1つのみ。
パターン的には前半4つの飴玉の結果を最後にまとめて提示するところですが、1つだけ途中で示唆されたぐらいで、残り3つはスルーされています。
子供らしい発想が良いと思うのですが、細かい章分けといい、大人向けに書こうと背伸びしてしまった感じがあります。
素直に書いたらどうなるのか、というのを読みたかった気がします。


【ラストで君は「まさか!」と言う】
制限文字数4000字、締切は5月31日です。「キャラクターの描写力」が評価ポイントです。
3作目を書き上げたのが5月第3週。冒頭が決まらずに迷走して、3シーンを2シーン構成に変更してなんとかなった感じです。
ただ主人公が高校生で、少し大人向き。いちおう主人公が高校生までОKなのだが、キャラ重視で美少女を出そうと思ったらこうなってしまった。
あとはひたすら推敲して、締め切りまでになんとか仕上げないと。
ということで、細かく推敲をくり返して、月末に3作まとめて投稿しました。
1次選考は6月末発表予定とのこと。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-03-11


【超ショートショート】
2022受賞作はこちらから読めます。
https://www.ehime-np.co.jp/online/information/short_short/prize2022.html
・特別賞『かぞくしんぶん』藤原チコ<テーマ「新聞紙」>
 「家族新聞」というワードで世代が想像できる……と思ったら、1985年生まれでした。分からないものです。
 前半のほっこりから中盤のシリアスな展開。そして最後のキレイなオチと、500字でよくぞここまで盛り込んだと思える素晴らしい作品です。
 超ショートショートのレベルの高さを思わせる見事な作品だと思います。


【ひらづみ文学賞】
締切が7月31日。
創元SF短編で落選した作品を出す予定ですが、テーマがAIなので、大幅に改稿が必要であることに気が付く。
この分野は日進月歩ですからね。6月から改稿を始める予定です。はい。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-03-15-1


【坊っちゃん文学賞】
締め切りは例年と同じく9月30日、制限文字数4000字も同じです。
今年は「Yomeba!」や「小説でもどうぞ」の落選作のうちお気に入りを応募します。
ということで、時期が近づいたら選別して推敲します。はい。


【NIIKEI文学賞】
3作応募したので結果待ちです。
発表日が不明なので、ときおりチェックする予定。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-02-16-3


【その他モロモロ】
・エコカレンダー2024に応募しました。なかなか難しい。9月下旬発表です。
・おーいお茶新俳句はツバメ3句で応募しました。楽しかった。10月下旬発表。
・第9回朝礼川柳は落選しました。後日、TOP100の発表もあるそうです。
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【SS】齊藤想『攻防』 [自作ショートショート]

第19回小説でもどうぞに応募した作品その2です。
テーマは「ものを食う話」です。

―――――

 『攻防』 齊藤 想

 女性は何種類もの顔を持つという。
 世の男性たちは女性たちが作り出す様々な顔に恋をして、心音を高鳴らせ、ときには翻弄されながら泣き笑いを繰り返す。
 しかし、駅前の一等地にある高級フレンチレストランの山田店長にとっては、笑いごとではなかった。
 山田の店にフォックスと呼ばれる食い逃げ常習犯が現れるようになったのは、半年前からだった。
 彼女は不思議な顔をしている。
 美人でありながら全体的に平凡で、記憶にはまったく残らない。年齢不詳。性別ですら定かではない。
 彼女は来店するたびに服装、化粧、髪型を変えてくる。さらに体形も毎回変わり、シークレットブーツを利用しているのか身長まで日替わりという難敵だ。
 そのため、フォックスが目の前に座っていても、だれも気がつかない。
 彼女はまるで空気のようだ。食事が終わると、ゆっくりと立ち上がり、煙のように消えていく。
 テーブルに残されるのは、皿とグラスと何本かのナイフとフォークのみ。
 フォクスが現れたと気がつくのは、いつも閉店後だ。
 山田店長は、店の売上を毎日本社に報告する必要がある。レジを集計すると売り上げと現金が合わず、そこで初めてフォックスにやられたことが判明する。
 いまのところ本社からのお咎めはないが、これだけ被害が続くと、いつ左遷されてもおかしくない。
 なんとかして被害を食い止めなければならない。山田店長は監視カメラを何度も再生して、フォックスの手口を分析した。
 彼女の手口はいつも同じだ。
 彼女が座るのは、最も出入口に近いテーブル席。逃げやすいからだろう。彼女の狡猾なところは、その席を自ら希望するわけではなく、その席しか空いていないときを見計らってやってくるところだ。
 つまり、一番忙しいディナータイム。警戒の目が行き届かない絶好の時間帯だ。
 注文する料理も決まっており、それは「本日のおすすめ」だ。当店の一番人気であり、これも目立たないための作戦だろう。
 テーブルに料理が届くと、彼女は堪能するように眺め、香りを楽しみ、ときには写真を取り、それから優雅な仕草でフォークとナイフを手に取る。
 食事を終えると、フォックスは監視カメラに向かって微笑む。まるで、ごちそうさまでしたと言わんばかりだ。
 実に憎たらしい。ここまでコケにされていいのか。
 山田店長は、地団太を踏んで悔しがったが、フォックスを捕まえる良い思案が浮かばなかった。

 社長はいつも苦労していた。店舗チェックをするのに、社長が堂々と来店しても意味がない。普段の様子を見るには、一般客を装うのが一番だ。
 ときには外部の人間を頼むこともあるが、やはり自分の目で確かめたい。社長は丹念に変装をしてから、店に出向く。
 狙いはディナータイム。忙しい時間こそ、店の実力が試される。
 社長はいつもの席に腰を下ろすと、さっそく「本日のおすすめ」を注文する。このメニューは当社の看板メニューであり、一番力を注いでいる。
 提供された料理は細かくチェックする。盛り付けや見た目、さらには香りも確かめる。
 合格と見なしたら、ゆっくりと口にする。
 うん、旨い。やはり山田店長が運営しているだけのことはある。食材の選択からコックへの気配りまで、あらゆることに精通していないとこの味は出せない。
 レストランとは、いい食材と練達のコックを揃えるだけではダメなのだ。やはり店長の力量が物を言う。
 食事中に山田店長がホールに出てきた。見回りのつもりらしい。すぐ横を通り過ぎるが社長とは気が付かない。
 社長はふっと笑みを浮かべた。
 合格を見極めると、監視カメラに笑みを浮かべ、社長はこっそりと店を出る。お忍の難しさは、お忍びであることを最後まで悟られないことだ。警戒されないための知恵だ。
 支払いはカードを使うと正体がバレるので、いらずらの意味でそのまま出ている。この程度は社長特権だろう。
 それにしても、こんなときに長年の趣味が役に立つとは思わなかった。
 社長に女装趣味があることは、本社の幹部にも極秘にしている。

―――――

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【サイトーマガジン】
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第8期叡王戦第4局(藤井聡太叡王VS菅井竜也八段) [将棋]

藤井叡王の2勝1敗で迎えた第4局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/

将棋界、囲碁界ともに棋戦スポンサーは長らく新聞社が務めてきました。
もちろんいまも新聞社が中心ですが、叡王戦は初めて新聞社以外が主催として開催されたタイトル戦です。
創設時のスポンサーであるドワンゴは撤退しましたが、不二家が引き継ぎ、叡王戦は継続となりました。
特別協賛に社長が将棋ファンで知られるひふみ、さらに中部地方の産業界を代表するような中部電力、トヨタグループの豊田通商、豊田自動織機。さらに藤井叡王の繋がりでAMDも協賛で入っています。
なお、日本将棋連盟の名古屋対局場はトヨタ本社ビルを間借りしています。
新聞界以外にもスポンサーを広げる努力が結実したのが、この叡王戦だと思います。
九州地方、北海道地方、沖縄地方といった地域出身のヒーローが登場すれば、それぞれの地域企業が応援に名乗り出てくれるかもしれません。
今後も全国の天才の発掘とともに、様々な業界との繋がりを確保する努力を続けて欲しいと願います。

〔棋譜1〕千日手1局目
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/8/eiou202305280101.html

〔棋譜2〕千日手2局目
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/8/eiou202305280102.html

〔棋譜3〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/8/eiou202305280103.html

ということで、将棋です。
タイトル戦史上、まれにみる激戦です。
第1局は10時51分に44手で成立、11時30分より指しなおし。
第2局は18持32分に116手で成立、19時15分より指しなおしです。
第3局は藤井叡王が残り1時間、菅井八段�が残り1時間6分でスタートです。
お互いに4枚穴熊に組み、飛車交換からお互いにと金を作って寄せ合うという、いかにも短時間らしいストレートな展開です。
先に相手穴熊にと金が張り付いたのは菅井八段でした。しかし、先に桂馬を手にした藤井叡王が4七桂馬と小駒で張り付くと、藤井叡王の攻めが一手早い形勢です。
紛れをもとめて菅井八段は端歩を突きますが、藤井叡王はなんとこの歩を角でもぎ取ります。
大きな駒損ですが、端歩を逆襲する攻めが早いという判断だと思います。
藤井叡王は80手目に2分の考慮を記録し、ここで全てを読み切りました。歩しか余らない15手詰めです。
菅井八段は残り4手まで指して、そこで投了しました。
90手まで藤井叡王が勝利し、指しなおし局も含めて250手の激闘を制しました。

これで3勝1敗となり藤井叡王が3連覇を達成しました。
おめでとうございます!
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【映画】ダークナイト [映画評]

ダークナイト3部作の2作目ですが、バットマンシリーズ屈指の傑作です。


ダークナイト (2枚組) [Blu-ray]

ダークナイト (2枚組) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2016/02/24
  • メディア: Blu-ray



舞台はいつものゴッサムシティ。悪がはびこる都市です。
マフィアは犯罪で得た金銭を、銀行を回してマネーロンダリングをしていますが、バットマンと勇気溢れる新任検事の活躍でマフィアは危機感を覚えます。
そこで登場するのが狂人、ジョーカーです。
ジョーカーはピエロのメイクをして、犯罪を楽しむ愉快犯です。神出鬼没で、脅迫その他の手法であらゆる場所に仲間を持ち、知能も高く暴力より様々な作戦で警察の裏をかき続けます。
マフィアはジョーカーにバットマンを殺害するよう依頼します。
ジョーカーはバットマンには正体を現せなければ市民を殺すと突きつけ、容赦なく実行します。追い詰められるバットマンですが、新任検事との作戦でジョーカーをおびき寄せ、逮捕することに成功します。
しかし、これこそジョーカーの作戦でした。ジョーカーはまんまと留置所から脱出すると同時にマフィアの幹部を連れ出すことに成功します。
そして、ジョーカーは逆にマフィアを乗っ取ります。
ジョーカーの恐ろしいところは、被害者に選択を求めることです。
殺すか殺されるかを選べ、復讐をするかしないかを選べ。そして、だれもが悪に染まることを証明しようとします。
たとえ、正義感溢れる新任検事だったとしても。
そして、ジョーカーのバットマンの戦いは、多数市民を巻き込み、どんどん拡大してきます。安全が欲しい市民と、悪を憎むバットマンとの対立・葛藤が深まり、バットマンは悩み続けます。
という感じのストーリーです。
とても面白い映画でした。
何より敵役のジョーカーが魅力的です。奇想天外な策略で警察の裏を付き、さらには金銭や権力ではなく独特の価値観によって行動するので先が読めません。
登場する新兵器も面白く、アクションシーンで魅力を十分に生かしています。
最初から最後まで敵が一貫しているので、エンタメとして非常に分かりやすいです。
タイムリミットの設定、ミッドポイントの設定、主人公の葛藤と成長も描かれており、細かい伏線も回収されています。ストーリーに必要なあらゆる要素が詰め込まれています。
最後、バットマンは町の希望を守るため、英雄が犯した悪をかぶる覚悟を決めます。
バットマンは嫌われ者のダークヒーロー、つまりダークナイトとして生きることを決意します。
評論家により高評価も納得の映画だともいます。弱点を上げるとしたら、第1作を見ないと第2作の魅力が半減するぐらいでしょうか。
個人的には、映画の後半で、ある受刑者が起こした行動が印象に残っています。これがテーマに対する答えだと思います。

最高の映画体験を楽しみたいひとのために!
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第16期マイナビ杯第3局(西山朋佳女王VS甲斐智美女流五段) [将棋]

西山女王の連勝で迎えた第3局です。

〔主催者HP〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/

甲斐智美女流五段の師匠は中原誠十六世名人です。
永世名人は多忙のためか、恐れ多いためか、それほど弟子を取らないイメージがあります。
谷川浩司十七世名人は都成竜馬七段のみ。森内俊之十八世名人は女流棋士2名のみで1名は退会しています。羽生善治十九世名人は弟子がいません。
それに対して、中原誠十六世名人は甲斐智美女流五段だけでなく、佐藤秀司八段など5人が棋士になっています。
甲斐女流五段は中原誠十六世門下で一番若いです。
さあ甲斐女流五段は師匠にタイトル戦でも白星をプレゼントすることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/16/mynavi202305280101.html

ということで、将棋です。
後手西山女王の三間飛車に対して、先手甲斐女流五段は4五歩早仕掛けを見せます。
角交換となりますが、そこからはお互いにじっくりと駒組をして、先後ともに地下鉄飛車を見せ合う珍しい展開となります。
甲斐女流五段は決断の2六角打ちを放ち、後手飛車をくぎ付けにしてから玉頭方面で戦いを起こします。
お互いに薄いところで怖いところですが、西山女王も強気に対応します。
最初に抜け出したのは西山女王です。
8九飛車打ちから香車を取りながら引き成って、手厚い形勢です。
しかし、そこから甲斐女流五段が粘ります。
1分将棋の中で、持ち歩を5枚使う目一杯の受けで、いつしか形勢は混として、ついに逆転から勝勢までひっくり返します。
しかし、後手には入玉ルートがちらつき、しかも竜2枚が待機しています。
甲斐女流五段は西山玉を13手詰めまで追い込みますが、入玉型の詰将棋、1分では読み切れませんでした。
それでも評価値上は先手優勢ですが、流れは絶体絶命を切り抜けた後手です。
131手目の悪手でついに逆転して、138手まで甲斐女流五段が投了しました。

これで西山女王は3連勝で女王を防衛しました。これで6連覇です。
西山女王おめでとうございます!
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【映画】バットマン・ビギンズ [映画評]

ダークナイトシリーズ3部作の第1作です。


バットマン ビギンズ [Blu-ray]

バットマン ビギンズ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2016/02/24
  • メディア: Blu-ray



バットマンの映画は多数ありますが、ビギンズとあり3部作の第1作なので、ブルース・ウェインがなぜバットマンになったのかも丹念に描かれています。
ウェインは幼いころの記憶から、コウモリに対する恐怖と自己嫌悪がありました。前者は古井戸に落ちてコウモリに襲われたため。
自己嫌悪はコウモリへの恐怖でオペラを見ることができなくなり、途中退場したために強盗にあい、目の前で両親が殺されたこと。
その恐怖を克服するために、なぜか忍者修行(日本人の目には奇怪ですが))を行い、恐怖を克服することに成功します。
しかし、その集団が腐りきったゴッサムシティを滅ぼすことだと知り、決裂します。
そして、ウェインはバットマンとなり、ゴッサムシティを滅ぼそうとする集団と対決します。
その過程で、相棒となるゴードン刑事とも出会っています。
本作ですが、忍者修行のシーンはかなり違和感がありますが(欧米から見たら、これが忍者のイメージなのでしょう)、よくできたエンターテイメント映画だと思います。
両親を殺した犯人を自ら殺害しようとして果たせず、恋人から呆れられるところが転機で、修行を終了したところがミッドポイントでしょうか。
ここからストーリーは佳境に入っていきます。
普段の主人公とダークヒーローのときのの主人公の二面性も強調されており、変身物の王道といった感じがします。
変身するとキャラ変するのが、よいと思います。
敵の兵器は、恐怖を増幅する精神薬です。
最初はこの薬にやられますが、2回目は克服します。けど、新薬で対抗する、というのがやや安易な気もしないでもないかな。
ラストは次回作へ続くことを強調して終わります。
最後まで満足して楽しめる快作だと思います。

バットマンシリーズのファンのひとのために!
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【書評】乾くるみ『イニシエーション・ラブ』 [書評]

恋愛小説と見せかけて、実は違う。これは傑作だと思います。


イニシエーション・ラブ (文春文庫)

イニシエーション・ラブ (文春文庫)

  • 作者: 乾 くるみ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/09/20
  • メディア: Kindle版



舞台は1980年代の後半の静岡と東京です。
物語はサイドAとサイドBに分かれています。
素直に読むと、マユとたっちゃんとの出会いから別れです。
サイドAは大学生だったたっちゃんがマユと出会い、幸せなクリスマスを過ごすまで。
サイドBはたっちゃんが就職して東京転勤となり、次第にすれちがい、意図せぬ妊娠~胎児となり、二人が別れるまで。
イニシエーションは通過儀礼のこと。タイトルのイニシエーション・ラブは、通過儀礼としての恋愛、成就しない大人になるための恋愛、そういう意味です。
ストーリーもしっかりしており、テーマも盛り込まれています。
内容のあるしっかりとした恋愛小説でありながら、最期の2行目を読むと、いままでの物語が別の意味をもってくる。そして、もうひとつのイニシエーション・ラブについても。
そういう構造です。
この手の作品は、最期のどんでん返しにこだわるあまり、地のストーリーがおざなりになることがあります。
本作は地のストーリーをしっかりさせながら、どんでん返しを成立させているところが素晴らしいです。
たぶん、恋愛小説と読んでいると気が付きません。だれもがどんでん返しに気が付くような親切設計ではありません。
なので、いつかはどんでん返しがあると思って読むのがおススメです。

自信をもってお勧めできる恋愛・ミステリ小説を読みたいひとのために!

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第34期女流王位戦第3局(里見香奈女流王位VS伊藤沙恵女流四段) [将棋]

里見女流王位の1勝1敗で迎えた第3局です。

〔主催者サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/

棋士としてのピークは20代後半かなと思います。
羽生善治が七冠を達成したのは25歳で、谷川浩司が四冠になったのは29歳。
20代後半でピークを迎え、30代前半までは維持して、30代後半から落ち始める。
棋士によって差は激しいのですが、そのようなイメージを持っています。
女流棋界で圧倒的な成績を残し続けている里見女流五段ですが31歳になりました。
清水女流七段が最後にタイトルを獲得したのが41歳です。
いまの女流棋界はライバルも多く、争いはさらに激しくなっています。
里見女流王位は振り飛車でも中飛車一本というかなり特異な棋風ですが、AI研究全盛のなかでいつまで強さを維持できるのか注目したいと思っています。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/34/joryu-oui202305250101.html

ということで、将棋です。
後手番の里見女流王位ですが、本局は珍しく向い飛車を採用します。隙あらば先手の飛車先を逆襲する攻撃的な作戦です。
伊藤女流四段は穴熊を目指して9八香と上がりますが、この瞬間を捉えて里見女流王位が動きます。
2四で歩交換して飛車が向き合います。
通常は居飛車側が飛車交換を拒否するところですが、伊藤女流四段は踏み込みます。
しかし、やはり飛車交換は後手の利が大きかったようです。
里見女流王位はバッサリ角を切り飛ばして先手玉を危険地帯におびき出して飛車を打ち込みます。午前中の局面で、評価値は大差です。
伊藤女流四段は玉頭戦でキャンセル待ちともたれかかりますが、里見女流王位は間違えません。
86手まで持ち時間を2時間21分残す圧勝劇で、これで2勝1敗となりま、防衛まであと1勝となりました。
伊藤女流四段も持ち時間を1時間45分も残しているので、序盤での誤算が痛かったと思います。

女流王位戦第4局は、6月7日(水)徳島県徳島市「JRホテルクレメント徳島」で行われます!
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