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【掌編】齊藤想『声神様』 [自作ショートショート]

第7回小説でもどうぞW選考委員版で佳作をいいただいた作品です。
テーマは「神さま」です。
組織としての成長物語ですが、この成長を表現するのに、ちょっとした小道具を利用しています。
具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は4/5発行です。


・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典付き!

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〔小説でもどうぞW選考員会版(第7回・結果発表、選考会)〕
https://koubo.jp/article/23761

〔作品〕※作品はこちかららお読みください。
『声神様』 齊藤想
https://koubo.jp/article/23963

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【SS】齊藤想『影武者』 [自作ショートショート]

第29回小説でもどうぞに応募した作品その1です。
テーマは「癖」です。
これは3のリズムを意識した作品です。
具体的な技法はこちらの無料ニュースレターで紹介します。次回は4/5発行です。



・基本的に月2回発行(5日、20日※こちらはバックナンバー)。
・新規登録の特典付き!

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『影武者』 齊藤 想

 「総統の影武者になれ」と秘密国家警察局長から命じられたのは、演説会のわずか3日前だった。
 選ばれた理由というのが、立ち姿と顔が総統に似ていること、声帯模写の達人であること、そしてなにより私が身寄りのない売れない芸人であり、急にいなくなってもだれも怪しまないことだという。
 怪しげな笑みを浮かべる局長に、私は親しみよりも恐怖を感じた。
「まさか、私が総統の身代わり、ということはありませんよね」
 私は、総統に暗殺予告がでているのではないかと疑った。その私の問いに、局長は沈黙で返した。無言で演説原稿と映像フィルムを手渡してくる。
「いまから三日間で総統になりきってくれたまえ。声帯模写だけでなく、身振りや手振りも全てだ。総統は全身全霊を使って演説をされるのだからな」
 私は人里離れた山荘に連れていかれて、そのまま監禁された。この任務は極秘らしく、仕上がり具合をチェックするのは局長のみ。
 三日間の猛練習の結果、私は声や仕草だけでなく、小指と親指で口ひげを挟むという総統の細かいクセまでコピーすることに成功した。局長は「そこまで真似せんでもよい」と苦笑しつつも、満足の様子だった。
 私は演説会の演壇に立ち、だれにも気が付かれないまま演説を終え、聴衆全員からの拍手喝さいを浴びた。
 最高の一日だった。周りから注目を浴びることが、これほどまでに気持ちがいいとは思わなかった。
 局長から命じられた次の任務は、外国首脳を招いての晩餐会だった。
「君なら大丈夫。だが、例のクセだけは注意するように。君のような庶民には分からないかもしれないが、口ひげに触れることは、貴人たちに対しては失礼に当たるのだ」
 私は局長の忠告に従い、口ひげに触れることなく総統の役割を完全に演じた。
 ひと月も経つと、私にも事情が呑み込めてきた。最初は総統の安全確保上の措置かと思っていたのだが、どうやら総統は重病で表に出られないらしい。
 総統不在による国内の混乱を恐れて、局長は影武者を立てることにしたようだ。おかげで、毎日は何事もなく過ぎていき、国内は平和そのものだった。
 影武者生活が慣れるとともに、私は一日の大半を総統として過ごすようになった。私は本物の総統になった気分で、局長を総統室に呼び出した。
 局長は憮然とした表情をしながらも、周囲に衛兵がいるのをみて、表面上は総統に対する礼を取った。
「何かお呼びでしょうか」
「君が秘密国家警察局長に任じられてから3年だったかな。君の忠節は我が国民の鏡であり、いつも感謝しておる」
「有りがたき幸せ」
 局長は、不思議そうな顔をしながら、頭を下げる。
「そこでだ。いままでの感謝を込めて、君に休暇を与えよう。それも永い休暇だ」
 私は口ひげを親指と小指で挟んだ。総統の例のクセだ。それを見た局長は真っ青になった。衛兵がさっと局長の両脇を固める。
「国内を騒擾させる良からぬ噂を消すのが君の仕事なのに、総統が二人いるという噂を自ら流すとは残念だ」
「そ、それは……」
「いいから連れていけ!」
 局長の言い訳を私は無視した。しばらくして、窓の外からのどかな銃声が響く。
 私は気が付いていた。様々な映像と資料を突き合せた結果、総統の例のクセが秘密の暗殺命令であることを。このクセを初めて局長に見せたときの反応、さらには晩餐会での局長からの注意で、推測は確信に変わった。
 私は局長が残した書類の全てを焼却することを命じた。もう本物の総統の生死はどちらでもよい。いまは私が総統であり、それを疑う者はだれもいない。
 私は地図を広げると、勲章を数えきれないほどぶら下げた将軍たちを呼び寄せた。少し前まで遥か高みにいた将軍たちが、いまではこの私に頭を下げている。
 この高揚感。だれにも止められない興奮。全てが手のうちにある万能感。私の命令ひとつで、数百万の人間が一斉に動き出す。
 私は地図の一点を指さして、シンプルな命令を下した。将軍たちが慌ただしく部屋を出る。官僚たちが命令文を起案する。次々を上がってくる書類に、私は目を通すこともなく機械的にサインをする。
 私は幸福な気分だった。
 戦争の行く末など、知ったことではない。

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【SS】齊藤想『休暇鳥』 [自作ショートショート]

第20回坊ちゃん文学賞に応募した作品その1です。
ネタとしては「ダジャレネタ」ですが、技法としては連作形式を採用しています。

※具体的な技法はこちらのニュースレターで紹介します。次回は3/5発行です。


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『休暇鳥』 齊藤 想

 最近、世界中で休暇鳥(きゅうかんちょう)が飛び回っている。休暇鳥が肩に止まり、その国の言葉で「キューカ、キューカ」と叫ばれると、休暇を取らなくてはならない。
 おかげでオーナーシェフの休暇で三ツ星レストランが臨時休業に追い込まれたり、主演俳優の休暇で映画撮影が中断されたりと、世界中で多少の混乱を引き起こしている。
 休暇鳥には不思議な性質がある。休暇鳥を追いかけると逃げていき、逆に休暇鳥を避けようとするとついてくる。
 社会人一年目の安田博之は、休暇鳥がくることを願っていた。就職したのは同業他社がひれ伏すほどのブラック企業。有給休暇は書類上だけの存在で、休暇のキュの字も言い出せない。定時退社など夢の世界で、終電に乗れたら良い方だ。
 たまには堂々と休んでゲームをしたい。特に今日はオンラインゲームのアップデートの日だ。そういう日に限って、休暇鳥は現れない。
 安田がゲームのことを思い浮かべながら、明日に迫ったプレゼン用の資料を作成していると、窓の外で光沢のある黒い鳥がホバリングしているのが見えた。
 休暇鳥だ。
 安田はさり気ない様子で、窓に近づこうとした。すると、目ざとい上司が即座に咎めてくる。
「窓を開けたらいかん。いまはそれどころではない」
 どうせ大した仕事はしていない。安田は上司を無視した。
「換気ですよ。感染症対策として、空気の入れ替えは必須ですからね」
 窓をさっと開けると、待ち焦がれていたかのように休暇鳥が飛び込んできた。上司が頭を抱える。休暇鳥が獲物を探し回るように、ぐるりと部屋を一周する。
 安田は期待に胸を膨らませた。今日こそ休暇を取りたい。一日中ゲームをしたい。ネット世界では、学生時代からのゲーム仲間が待っている。
 狙いを見定めたのか、休暇鳥がグライダーのようにすっと下りてきた。
「キューカ、キューカ」
 休暇鳥が選んだのは、事もあろうに安田の上司だった。上司の肩の上で、休暇鳥はサイレンのように同じフレーズを繰り返す。
 上司はため息をつくと、無念の表情を浮かべながら帰り支度を始めた。そして、安田の肩を叩く。
「仕方がない。あとは君に任せた。今日中に社長用の資料も仕上げておくように」
「え、なんでぼくなんですか?」
「仕方がないだろ。わが社は慢性的な人手不足の上に、だれかのせいで休暇鳥が来襲したのだから」
 安田は社内を見渡した。休暇鳥はさらに暴れまわっている。酒が入ると愚痴しか言わない同期も、能力不足を棚に上げて当たり散らすベテラン社員も、嫉妬心丸出しで若い女子社員をいじめるお局軍団も、休暇鳥の犠牲になっている。いや、人によってはご褒美か。
「ま、そういうことだ」
 上司は軽く答えた。
 安田は休暇鳥を恨んだ。だが、不思議なことに、ゴミが消えた社内の雰囲気が急に明るくなった。
 生き残った数少ない同期が、安田に声をかけてくる。
「大変だけど、みんなで頑張ろうぜ」
「おれたちの力を、あいつらに見せつけてやろうぜ」
 どこからともなく、お互いを励ましあう声が上がる。
 近くの電線で羽を休める休暇鳥の表情は、誇らしげに見えた。

 田尻幸三は、会社のデスクの上に飾ってある写真を手に取った。窓の外は気持ちの良いほどの快晴。しかも土曜日。
 今日は長男と次男の運動会。だが、幸三は仕事で会社にいる。子供の運動会は何年も見ていない。妻も夫はこないものと決めつけて誘わない。話もしない。
 夫婦のあこがれだったタワーマンションを購入したのは十年前だ。そこからはローンの返済に追われ、土日も関係なく働き続け、気がついたら、家族から離れてひとりぼっちになっている。
 幸三が外回りに出かけると、空から黒い鳥が下りてきた。休暇鳥だ。その鳥は蝶のようにゆったりと舞うと、幸三の肩に止まった。
 この鳥が「キューカ」と叫ぶと、休まざるを得なくなる。その分、給与が下がる。家のローンのことを考えると、休むわけにはいかない。
 幸三の願いが届いたのか、休暇鳥は肩に止まったまま一言も発しない。だが、飛び立つこともない。まるで長年連れ添ったペットのように、幸三の肩に座り続ける。
「仕事だから、早く飛び去ってくれよ」
 幸三は休暇鳥に話しかけるが、休暇鳥は幸三の言葉を無視するかのように、毛づくろいを始めた。休暇鳥は首をぐるりと回すと、大きなあくびをした。
 幸三は休暇鳥の頭を撫でた。休暇鳥の喉が鳴る。
「お前の言いたいことは分かったよ。だが、マンションのローンがなあ」
 ぼやいても、休暇鳥は動かない。ついに、首を羽の間に隠して眠り始めた。
 そのとき、幸三は休暇鳥が小さなメダルを握りしめていることを発見した。そのメダルは、幸三の子供たちがパパの日に贈ってくれた手作りのメダルだ。
 もしかしたら、子供たちがこの休暇鳥にメダルを渡して、空に放ってくれたのかもしれない。子供たちは待ってくれている。春休みも夏休みも冬休みも仕事で、正月やゴールデンウィークも家族をどこにも連れていけないどうしようもないパパなのに。
 幸三の目に涙がにじむ。
「そうだよな、いまだけだよな」
 幸三は決意をすると、自ら叫んだ。
「キューカ」
 その声を聞いた休暇鳥は、羽から首を出すと、すっと飛び去って行った。
 幸三は腕時計を見た。ここから小学校まで三駅だ。運動会には、まだ間に合うかもしれない。

 ある日、世界中から休暇鳥が消えた。渡り鳥のように、一斉に旅立ったのだ。
 休暇鳥が向かった先は、数年間続ている戦争の最前線だった。
 休暇鳥の大群は睨みあう両軍の兵士たちの肩に止まると、声が枯れるまでその国の言葉で叫び続けた。
「キューカ、キューカ」
 兵士たちは次々と武器を投げ捨て、家路についた。あるものは喜び、あるものは戦友との別れを惜しんだ。
 兵士たちが続々と戦場から引き揚げてくる様子を見た将軍たちは、兵士を戦場に留まらせようと銃を向けた。すると、その将軍の肩にもどこからともなく休暇鳥がやってきた。
「キューカ、キューカ」
 将軍も頭をかきながら、銃を下ろすしかなかった。
 この戦争を始めた最高指導者は、戦場を放棄する兵士たちを銃殺する命令に署名しようとした。だが、窓をつつく休暇鳥の姿を見て、諦めるしかなかった。
 休暇鳥は、帰りゆく兵士の後をついていった。そして、彼らを追い立てるように叫び続ける。
「キューカ、キューカ」
「キューカ、キューカ」
 もはや、だれも武器を取ろうとしなかった。
 兵士たちの故郷はもうすぐだ。
 母の温かいご飯とともに、戦争が終ろうとしている。

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【掌編】齊藤想『ライオンの時間』 [自作ショートショート]

2022年超ショートショートに応募した作品です。
テーマは選択制ですが、「ライオンの像」を選びました。
本作は「掌編」と「ショートショート」の差を意識して書いた作品です。

※具体的な技法はこちらのニュースレターで紹介します。次回は3/5発行です。


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『ライオンの時間』 齊藤 想

 デパートの前に飾られているライオン像。このライオン像が深夜に散歩していることを知る顧客はまだ少ない。
 デパートとしての威厳を守るため、昼間のライオン像は仕方なくすまし顔で座っている。子供に鼻面を叩かれたり、荷物置き場として使用されたり、さらには背中に乗られて写真を撮られても、まばたきもせず我慢している。
 だからこそ、人通りが絶える深夜はライオンの時間なのだ。特に定休日前の深夜は最高だ。最後の従業員が帰宅し、終電が終わり、タクシーの波も途絶えたころを見計らって、ライオンは走り出す。
 街灯を避けながら路地を疾走し、ときには漆黒の空に咆哮を轟かせる。野良犬も野良ネコもドブネズミも、みんなが百獣の王たるライオンにひれ伏す。
 人間どもは恐れるに足りない。目撃されても、睨みつけるだけで、人間どもの記憶を吹き飛ばす力をライオン像は持っているのだ。
 十分に体を動かし、満足したらライオン像はデパートに戻る。そして、元と同じ姿勢で座り続ける。
 ライオン像はデパートの威厳を守るため、今日も行き交う人々を見守り続けている。

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【SS】齊藤想『禁酒禁煙禁ギャンブル』 [自作ショートショート]

第28回小説でもどうぞに応募した作品その2です。
テーマは「誓い」です。
これは「擬人法」の応用と、エスカレーションの技法を組み合わせた作品です。

※具体的な技法はこちらのニュースレターで紹介します。次回は3/5発行です。


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『禁酒禁煙禁ギャンブル』 齊藤想

 おれは、これ以上にないほどの強い決意で誓いを立てた。
 禁酒、禁煙、禁ギャンブル。
 なにしろ、この3つを止めない限り別れると彼女から通告されている。昨日も彼女から着信があり「誓いを一週間守るまで電話もしないで」とけんもほろろだ。
 確かにスナックで深酒をしすぎて強面のお兄さんに店から叩き出されたり、寝たばこでボヤ騒ぎを起こしてアパートから追い出されたり、ボーナス全額を競馬につぎ込んで彼女に迎えに来てもらったりして、彼女からはたびたび怒られている。
 だからこそ、今度こそ誓いを守らないといけない。おれは変わったことを彼女に認めてもらい、プロポーズにОKをもらうのだ。
 まずは禁酒だ。冷蔵庫から日本酒とワインとビールを取り出す。
 しかし、酒は飲むだけではない。日本酒は料理酒として使えるし、ワインも煮込み料理に欠かせない。ビールなんて水みたいなものだから、酒に入らない。
 よし、これで禁酒は完了。次は禁煙だ。
 決断したからには、紫煙とは潔く縁を切らないといけない。おれは吸いかけの煙草の箱を取り出すと、親の敵とありとあらゆるものをハサミで細かく切り刻む。
 テーブルの上にできた山を見て、おれはひらめいた。酒は料理に使えるように、刻まれた葉もアロマとして使えるのではないか。
 おれは刻まれた葉を皿の上に盛り、いろいろと混ぜてから火をつけた。柔らかな煙が立ち上がる。
 うん、これはいい。気持ちよくなる香りが部屋を包み込む。皿がインテリアに早変わりだ。
 おれはソファーに深く腰を下ろすと、輸入物の缶を開けて、水とよく似た液体をぐっと腹の底に注ぎ込んだ。パチパチとした炭酸が喉をすり抜けていく。
 やってみれば、禁酒も禁煙も簡単じゃないか。おれはやればできる子だ。
 残る誓いは禁ギャンブルか。
 ギャンブルからは完全に足を洗う。そもそも、ギャンブルなんて子供の遊びだ。チンケなお金を賭けて、勝った負けたと騒ぐのはバカらしい。
 大人がたしなむのは投資だ。株式にFXに先物投資。最近はネット環境が整備されて、美術品や切手など素人には手を出しにくかった分野にも気軽に参加できる。
 投資は、自分がよく知る分野に注ぎ込むのが鉄則だ。素人が玄人に戦いを挑んではいけない。
 こうしておれはギャンブルから足を洗い、投資に力を注ぐことに決めた。もちろん、自分が良く知る競馬という分野に。
 あとは一週間、誓いを守るだけだ。
 月曜日が終わり、火曜日になった。水曜日に禁断症状が出たが、なんとか水と料理酒とアロマと競馬投資で我慢する。
 木曜日になると先が見えてくる。金曜日を迎えたころには自信がでてきた。
 そして、ついに土曜日も乗り越え、日曜日の夜になった。あともう少しで、時計の針が0時を越える。
 ついに一週間。たかが一週間。だが、自分にとって、どれほどまでに長く、辛い一週間だったか。
 時計の針が0時を越えた瞬間に、おれは彼女に連絡した。そして、誓い守ったことを伝える。
「ありがとう。ここまで頑張れたのも、レナのおかげだよ」
「本当に? いまから確かめに行くから、そのままの状態で待ってて」
 レナはおれが止めるのも聞かずに、部屋まで押しかけてきた。荒れ放題の部屋を見て、レナが呆れる。
「この空き缶の山は何よ。さらに、馬だらけの雑誌まで山積みになって」
 おれは一生懸命言い訳する。
「好きなことを我慢するには、代替品が必要なんだよ。ビールの代わりに外国産の炭酸水をがぶ飲みして、競馬の代わり一口馬主に投資をして……こいつが将来有望で……」
 レナはおれの言い訳を無視して、アロマの皿の焦げかすを指につけて、匂いを嗅ぐ。
「これ大麻じゃない。妙な匂いの原因はこれだったのね。辛うじて認めていいのは炭酸水だけど、これも高い輸入物はやめて国内産にしなさい。あとは全部禁止よ」
 レナは紙にでかでかと「禁大麻、禁輸入炭酸水、禁一口馬主」と書いて、壁に貼り付けた。
 おれの部屋は、この手の禁止事項で埋まりつつある。禁寝坊、禁徹夜、禁浮気、禁万年床、禁朝食抜き、禁課金、禁煙草、禁酒、禁ギャンブル、禁大麻、禁輸入炭酸水、禁一口馬主、さらに……。

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【SS】齊藤想『悪役とヒーローの誓い』 [自作ショートショート]

第28回小説でもどうぞに応募した作品その1です。
テーマは「誓い」です。
これは「糸」の技術を使って作った作品です。

※具体的な技法はこちらのニュースレターで紹介します。次回は3/5発行です。


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『悪役とヒーローの誓い』 齊藤想

 わが悪役プロダクションにようこそ。どの業界も人手不足で大変だが、とくにわが悪役業界は厳しくてなあ。君のような若くてやる気の溢れる人材は大歓迎だ。
 わがプロダクションの待遇は最高だぞ。初任給は三十万。しかも出勤は週1日。おまけに実働時間は正味一時間という超絶ホワイト企業だ。
 契約書も用意した。さあ早くここにサインしてくれ。
 え、裏にあるこの紙はなんですかって?
 単なる誓約書だ。細かいことは気にするな、と言いたいところだが、これも時代だな。説明するが内容は門外不出。取り扱いにはくれぐれも注意してくれたまえ。
 まず第1条。
 正義のヒーローを殺さないこと。
 当たり前だよな。我々の仕事はヒーローがいなければなりたたない。ヒーローがいない悪役なんて、医者のいない世界の病気のようなものだ。
 なんか違うか。まあいいってことよ。
 次に第2条。
 ヒーローを殺すのは厳禁だが、ヒーローを捕まえるのはОK。
 お前はスパイ映画を見たことがあるか。スパイ映画では、主人公やその仲間は、必ず一回は捕まるのがお約束だ。悪役に捕らわれたヒーローは、盛り上がりに欠かせないシチュエーションなのだ。
 盛り上がりとは何のことですかって? それは大人の事情だよ。先があるから、次の条文に行くぞ。
 第3条は、ヒーローの変身中には攻撃しないこと。
 ヒーローの変身は最も盛り上がるシーン……という大人の事情はさておき、変身中はいわばカブトムシの蛹みたいなものだ。わずかな衝撃で崩れてしまう。
 想像してみてくれ。変身中に攻撃してヒーローの手足が六本になったり、目と口の位置が逆にになったり、体が半分に割れたりしたら子供たちが泣くだろう。
 そんな危ない場所に子供たちがいるのかって? その場にはいなくても、見ている子供は何百万人もいるんだよ。そうそう、大人の事情というやつだ。お前もこの業界ことが分かってきたじゃないか。
 さらに第5条。ヒーローの必殺技から逃げてはならない。
 お前はプロレスを見たことがあるか? 一流のレスラーは、対戦相手をリスペクトした上で、全ての技を受け止めるのだ。
 これは、ヒーローに対する悪役なりのリスペクトなのだよ。
 怪我がいやだって?
 バカだなあ、そこは上手くやってくれ。受け身の取り方は、先輩たちからよく聞くように。一度や二度やられたぐらいでは、みんなピンピンしているさ。
 第6条、全治一週間以上の怪我は禁止。
 前条と矛盾しているという賢い指摘は嫌いだよ。いいか、おれたちの仕事は一週間に1回だ。おいそれと代役は呼べない。そこを十分に考えてくれ。
 え、ヒーローにやられて爆発する先輩たちはどうするんですかって?
 ああ、先輩たちはいいんだ。メインの悪役に来週はないからな。お前たちはまずは駆け出し戦闘員として経験を積み、いつかは殉職した先輩たちのような立派な悪役となって……おい、どこへいく。話はまだ終わっていないぞ!
 やれやれ、また失敗か。
 ヒーロープロダクションはいいよなあ。努力しなくても、希望者が殺到しているだろうから。

 わがヒーロープロダクションにようこそ。どの業界も人手不足で大変だが、とくにわがヒーロー業界は厳しくてなあ。君のような若くてやる気の溢れる人材は大歓迎だ。
 わがプロダクションの待遇は最高だぞ。初任給は三十万。しかも出勤は週1日。おまけに実働時間は正味一時間という超絶ホワイト企業だ。
 契約書も用意した。さあ早くここにサインしてくれ。
 え、裏にあるこの紙はなんですかって?
 単なる誓約書だ。細かいことは気にするな、と言いたいところだが、これも時代だな。説明するが内容は門外不出。取り扱いにはくれぐれも注意してくれたまえ。
 まず第1条、悪役を一撃で倒さないこと。一撃で終わったら盛り上がらないからな。
 第2条、悪役の必殺技は避けないこと。なあに、痛みなどすぐになれるさ。
 第3条、一度は捕まって敵のアジトに連れていかれること……おい、最後までちゃんと聞かないか!

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【SS】齊藤想『フノイさん』 [自作ショートショート]

ちくま800字文庫に応募した作品です。
テーマは特にありません。

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『フノイさん』 齊藤想

 うちの食品工場には、フノイという大先輩がいるらしい。
 定年間際の工員まで”さん”付けで呼んでいるので、たぶんОBなのだろう。彼の名前がでてくると、先輩たちはそろって深いため息をつく。
 どうやら困ったОBのようだ。
 休憩時間。みんなでインスタントコーヒーを飲みながら雑談をしていると、先輩の口からフノイさんの名前がでてきた。ぼくは先輩に聞いた。
「いまも、困っているのですか?」
「そりゃそうよ」
 先輩は忌々しげに吐き捨てた。
「そいつのせいで、おれらはいまも苦しめられている」
 どうやらフノイさんは現役のようだ。定年を迎えて再雇用されたのかもしれない。どこのプラントにいるのだろうか。
「いや、プラントとかの問題じゃなくて、工場全体の話だから。建てられたときから、問題だったんだよ」
 なんと、フノイさんは創立メンバーのひとりだった。それだけのベテランなら、場合によっては役員になっても良いはず。それがまだ現役工員ということは、かなりの問題児らしい。
「本当に問題だよ。だいたい、なんでこんな住宅街のど真ん中に工場を建てたんだよ。うちの食品はスパイスとニンニクの匂いが強いから、苦情が殺到するのは目に見えているのに」
 驚くべきことに、工場の建設場所を決めたのはフノイさんだった。つまり、フノイさんは創立メンバーというだけでなく、わが社の幹部だったのだ。ということは、問題を起こして幹部から降任となり、工員に落とされたのだろう。
 その恨みはいかほどか。彼の呪いが工場全体を覆っている。ぼくは、ますますフノイさんのことが気になった。
 本日も近所からの苦情に対応してきた先輩は、ひときわ深いため息をついた。
「まったく困ったものだよ。負の遺産には」

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【SS】齊藤想『家伝の家電』 [自作ショートショート]

yomeba!に応募した作品です。
テーマは「家電」です。

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『家伝の家電』 齊藤想

 老舗には長年継ぎ足し続けた秘伝のタレがある。
町中華屋であるわが家には秘伝のタレこそないが、機能を継ぎ足して使い続けている電気釜がある。
 これぞ父が自慢する「家伝の家電」だ。
 本当は丸い電気釜なのだが、機能を継ぎ足しすぎて、追加した装置がタコ足のようになっている。その奇妙な形状から、我が家ではタコ型炊飯器と呼んでいる。
 父は常々言い続けている。
「当店は常連さんたちに支えられている。常連さんが求めるのは、うまい料理でも新しい料理でもなく、食べ慣れた味だ」
 炊飯器を新調すると、味が変わる。味が変わると常連さんは逃げる。だから壊れたら直し、壊れたら直して、同じ炊飯器を何十年も使い続けている。
「つまりは信用なんだなあ」
 よく分からないが、そういうことらしい。
 父はすっかりと変色した電気釜に、名店に伝わる「秘伝のタレ」と同じだけの価値を感じている。
 名店が名店であるためには、秘伝のタレといえども時代に合わせて改良を続けている。
 秘伝のタレは継ぎ足しているからこそ、味の変化は緩やかで、改良しても常連客が逃げることはない。
 父の考えでは、うちの炊飯器も同じだという。激しく変化させてはいけないが、止まり続けることも許されない。
 父は新しい炊飯器が発売になると、必ず電気屋でチェックする。ネットでの評判も加味して、良さそうだと判断すると似たような機能を継ぎ足していく。
 マイコン制御だの、遠赤外線だの、最新式の機能はほぼそろっている。ここまで器用な父が、なぜ電気屋に転職しないのか不思議でならない。
 ご飯が炊きあがると、着メロのような音楽が鳴る。
 父が炊飯器の蓋を開けると、まるで仙人が登場したかのような湯気が上がる。父は若返りの秘薬のようにその湯気を全身で浴びると、大きなしゃもじでほぐし、本日の炊きあがりを確認して満足そうな笑みを浮かべる。
 常連にしても、父の笑顔を見るために来店しているようなものだ。スマイルゼロ円。
 そんな父も年を取り、町中華屋を閉める日がやってきた。中華料理は尋常ではない火力を前に、重い中華鍋をふるい続ける過酷な仕事だ。頑健だった父も腰を痛め、中華料理を続けることができなくなったのだ。
 店内を整理し、売れる物は売り、ゴミにしかならないものは人手を頼んで処分してもらった。食器類は常連さんに譲り、最後に珍妙な炊飯器だけ残された。
 父は腕を組んで考えている。
「なにせ、こいつは「家伝の家電」だ。捨てるわけにはいかない。お前の家で使うわけにはいかないか」
 自分は丁重にお断りした。うちは平凡なサラリーマン家庭だ。業務用の炊飯器は必要ないし、置くスペースもない。
「わが家の守り神みたいなものだから、神棚に飾って拝めばいいんじゃないかなあ」
「ばかもーん」
 父が怒った。
「秘伝のタレを神棚にまつる老舗があるか」
 根拠はないが、ありそうな気がする。そう思ったものの、自分は黙っておいた。老舗が閉店したら聞いてみたい気もするが、そのような機会は一生訪れないだろう。
「それなら、お札で封印してから地下に埋めておくのはどうか」
 再び、父が怒る。
「ばっかもーん。こいつはタコの化け物ではない。秘伝のタレと同じく、使い続けることに意味があるのだ」
 じゃあ、どうするんだよ。
 自分が黙っていると、腕を組んで考えていた父がぼそっとつぶやいた。
「仕方が無い。寿司屋でも始めるか」
「すしや?」
「このタコ型炊飯器を使いづけるには、寿司屋が一番だと思うんだよな」
「腰を痛めたから廃業するのに、なんでまた店を開くんだよ。いまさら修行する年齢でもあるまいし」
 父は自分のことをじっと見た。
「お前は、このタコさんがかわいそうに思わないのか」
「だから大切に祭って上げれば」
「ばっかもーん。お前が寿司屋を開業すればよいではないか。おれだって、父からこの炊飯器を継いだのだ。お前をサラリーマンとして電気メーカ―に送り込んだのはなんのためだと思っているのか。この家伝の家電の改良を続けさせるためではないか」
「そんなこと知らないよ。たまたま選んだのが電気メーカーだっただけで」
「ばっかもーん。お前はいつから、そんなに親不孝者になったのか」
 父は一歩も引かない構えだ。
 どうやら、家伝の家電を継ぐしかなさそうだ。

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【掌編】齊藤想『彫刻家』 [自作ショートショート]

2022年超ショートショートに応募した作品です。
テーマは選択制ですが、「ライオンの像」を選びました。

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『彫刻家』 齊藤 想

 彫刻家が最初に造形したのは、雄ライオンの像だった。
 出来映えには満足したが、よく考えたらペアにすべきだよなと思い、次に雌ライオンの像を造った。
 しばらくしてライオンは群れで生活するものだと気がつき、三頭の雄ライオンと七頭の雌ライオンと子供。さらには獲物も必要だとサバンナの動物も作り上げた。次にはサバンナの動物たちが生きるために必要な植物と昆虫。
 作り始めたら止まらなくなった。
 ようやく一通り揃ったところで、最後に彫刻家は人類のペアを作り、できたてのアフリカの大地にそっと放した。
 天地創造はなんて大変なんだ。彫刻家である神様は地球創造で疲れ切ってしまった。
 だからこそ、地球人が宇宙人と出会えるのは、まだまだ先らしい。

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【SS】齊藤想『恋の病』 [自作ショートショート]

第27回小説でもどうぞに応募した作品その2です。
テーマは「病」です。

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『恋の病』 齊藤想

 黄ばんだ白衣を身にまとった老人が、ハエを引き連れて研究室に飛び込んできた。英字新聞を開きながら刺身を食べている助手のマユミは、教授に冷ややかな視線を返す。
「神聖なる研究室にお友達を連れて来ないでください。それとも、ハエと仲良くなる研究成果でも披露したいのですか」
 マユミは教授にスプレーを吹きかけた。教授が咳き込み、ハエがさっと散る。
「わわ、止めてくれ。マユミ君はいつも手厳しいのう。だが、今回は本物だ。ついに政府から依頼された新薬が完成したのだ。それがこの秘薬、恋の病じゃ」
「鳥インフルエンザの魚版みたいなものですか?」
「勘違いしないでくれたまえ。”鯉の病”ではなく”恋の病”だ。少子化対策として、政府から依頼された若者たちを恋愛体質にする秘薬が完成したのだ」
「政府といっても、正確には政府の外郭団体の協力会社の下請け会社の隣にすむ怪しい老人からの依頼でしたよね」
「その通り。その老人とは、何を隠そうこのワシ……と、余計なことは言わんでよい。この秘薬の効力を見てくれ」
「人体実験ならお断りです。他の誰かに依頼してください」
「ふふふ、マユミ君は甘いのう。もう人体実験は進んでおる。実はこの薬をいけすの餌に混ぜておいたのだ。日本人の刺身好きは有名だからのう」
 教授は、マユミの手元にある刺身に目をやった。マユミは軽蔑の眼差しを教授に返す。
「残念でした。これは今朝スーパーで購入した刺身です。冷蔵庫にある刺身など、危なくて食べるわけがありません。半分はそこらへんの野良猫にあげときましたけど」
 教授はぶぜんとした。
「どうりで、うちの近所の猫が発情期でもないのにミャーミャーと。それで、残りの半分はどうしたのだ」
「外に捨てたら、ハエがぶんぶんと」
「だから、ワシの体にハエがたかっているのか。近くにいるハエたちも、研究の成果だと思うと愛おしいのう」
「それは違うと思います。それはともかく、少子化対策なら自分も考えました。いまからその研究成果をお見せします」
 マユミは悩まし気な目線を教授に向けた。教授の期待がドキンと跳ね上がる。マユミは小瓶をテーブルの上に出した。小瓶の中で、茶色い液体が揺れる。
「これは”病の恋”です」
「なぬ、ワシと同じ発明か」
「違います。その逆です。世の中には、異性に恋をすると害悪を及ぼす存在がいます。例えばストーカーとか、性犯罪者とか、黄ばんだ白衣を着た老人とか」
「ふむ、それは誰のことかのう」
「彼らがいるから、世の女性たちは恋に臆病になってしまうのです。彼らの特徴は、自分たちが異性に害悪を及ぼす自覚がないことです。そういった自覚のない人たちにこの薬を使うと、異性に好意という名の性欲を感じたとたんに、病気になるのです」
「どのような症状がでるのかね」
「強烈な発熱と吐き気に頭痛。好意を持った異性を諦めるまで症状は収まりません」
「それは凄い発明だ。性犯罪を撲滅することができそうだが、正常な恋愛も妨害することにならないかね」
「大丈夫です。相思相愛なら発動しません」
「なるほど、それなら安心だ。それにしても、この研究室は熱いのう。それに急に頭痛と吐き気が襲ってきたような。これはマユミ君に介抱してもらわないと。奥の部屋には宿泊用のベッドもあるしのう」
「私は涼しいぐらいです。教授にはお伝えしませんでしたが、いま人体実験をしているところです。どうやら教授に”病の恋”が発動したようです。実験成功です」
「なぬ、もしかして入室したときに吹き付けたあのスプレーか。無許可で人体実験とはなんと酷い」
「薬入りの刺身を食べさせようとした教授の言葉とは思えませんが」
「細かいことは気にするな。それにしても、なぜマユミ君は人体実験の相手にワシを選んだのかね。ワシとマユミ君は相思相愛だから”病の恋”が発動するわけがない」
「異性に迷惑をかけている自覚がないことも発動条件です。いいから倒れる前に帰宅してください。救急車を呼びたくないので」
「なにを言うかね。わたしは熱などこれっぽっちも……吐き気も頭痛も……うーん」
 ついに倒れた教授の周りに、ハエが嬉しそうに集まる。その一方で、マユミに近づくハエはぽたぽたと落ちていく。
「どうやら教授はハエと相思相愛のようですね。おめでとうございます」

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