第9期叡王戦挑戦者決定戦(永瀬拓矢九段VS伊藤匠七段) [将棋]
研究量豊富な両者の戦いです。
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/
いま将棋界で研究量が豊富なので、藤井聡太八冠、永瀬拓矢九段、伊藤匠七段の3人だそうです。
最先端の研究、特に角換りは暗記勝負の部分があります。さらに後手番になると条件は厳しくなり、伊藤匠七段がインタビューで「諦めている棋士も多い」と発言していることから、角換り後手番を受けるのはかなりリスクがある選択なのかもしれません。
それでも、伊藤七段は藤井八冠の角換わりを堂々と受け、なかなか結果は伴わないものの、中盤まで互角に戦っているところに研究量の豊富さを感じます
研究勝負は三十代に入ると段々と厳しくなってくると言われます。記憶力の減退もそうですが、多事多忙になり、研究に割ける時間が減少することが避けられないからだと言われています。
永瀬九段は31歳になりました。そろそろ曲がり角になってもおかしくない年齢です。
さあ永瀬九段はこのチャンスを生かし、藤井叡王への挑戦権を獲得することはできたでしょうか!
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/9/eiou202403190101.html
ということで、将棋です。
先手は永瀬九段で、角換わりとなりました。
4八金型の同型は後手苦しいとの認識なのか、伊藤七段は5二金から右玉へと進みます。対する永瀬九段も5八金から雁木に組み替えます。
駒組が終わってみると、角換わり雁木対右玉です。
まずは桂馬交換の小競り合いから戦いが始まりますが、後手が飛車先の歩を切ってきたところの8五桂馬が本にもでてくる手筋。
本だと飛車を捕獲して先手悪くないと言われていますが、評価値的には駒得の後手悪くありません。
永瀬九段は2一飛車打ちと左右挟撃の構えを見せます。ここまで消費時間11分ですが、伊藤七段に2二角と打たれて飛車を封じ込められたところで初めての長考に入ります。
永瀬九段は2五桂馬と打ちますが、飛車角交換のあとでじっくりと歩を伸ばされ、桂馬を取り切られてしまっては苦しいです。
永瀬九段の考慮時間が目立ち、3時間の棋戦で、持ち時間1時間20分以上リードしていたのが溶けていきます。
永瀬九段は入玉を目指しますが、伊藤七段は入玉を妨害して遅らせつつ先手の大駒を削ります。
点数勝負でも勝ち目がないと判断した永瀬九段は142手目を見て投了。
これで伊藤七段の叡王初挑戦が決まりました。
藤井聡太叡王と伊藤匠七段による五番勝負は、4月7日(日)に愛知県名古屋市「か茂免」で開幕します!
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/
いま将棋界で研究量が豊富なので、藤井聡太八冠、永瀬拓矢九段、伊藤匠七段の3人だそうです。
最先端の研究、特に角換りは暗記勝負の部分があります。さらに後手番になると条件は厳しくなり、伊藤匠七段がインタビューで「諦めている棋士も多い」と発言していることから、角換り後手番を受けるのはかなりリスクがある選択なのかもしれません。
それでも、伊藤七段は藤井八冠の角換わりを堂々と受け、なかなか結果は伴わないものの、中盤まで互角に戦っているところに研究量の豊富さを感じます
研究勝負は三十代に入ると段々と厳しくなってくると言われます。記憶力の減退もそうですが、多事多忙になり、研究に割ける時間が減少することが避けられないからだと言われています。
永瀬九段は31歳になりました。そろそろ曲がり角になってもおかしくない年齢です。
さあ永瀬九段はこのチャンスを生かし、藤井叡王への挑戦権を獲得することはできたでしょうか!
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/9/eiou202403190101.html
ということで、将棋です。
先手は永瀬九段で、角換わりとなりました。
4八金型の同型は後手苦しいとの認識なのか、伊藤七段は5二金から右玉へと進みます。対する永瀬九段も5八金から雁木に組み替えます。
駒組が終わってみると、角換わり雁木対右玉です。
まずは桂馬交換の小競り合いから戦いが始まりますが、後手が飛車先の歩を切ってきたところの8五桂馬が本にもでてくる手筋。
本だと飛車を捕獲して先手悪くないと言われていますが、評価値的には駒得の後手悪くありません。
永瀬九段は2一飛車打ちと左右挟撃の構えを見せます。ここまで消費時間11分ですが、伊藤七段に2二角と打たれて飛車を封じ込められたところで初めての長考に入ります。
永瀬九段は2五桂馬と打ちますが、飛車角交換のあとでじっくりと歩を伸ばされ、桂馬を取り切られてしまっては苦しいです。
永瀬九段の考慮時間が目立ち、3時間の棋戦で、持ち時間1時間20分以上リードしていたのが溶けていきます。
永瀬九段は入玉を目指しますが、伊藤七段は入玉を妨害して遅らせつつ先手の大駒を削ります。
点数勝負でも勝ち目がないと判断した永瀬九段は142手目を見て投了。
これで伊藤七段の叡王初挑戦が決まりました。
藤井聡太叡王と伊藤匠七段による五番勝負は、4月7日(日)に愛知県名古屋市「か茂免」で開幕します!
第73期NHK杯将棋トーナメント決勝(藤井聡太八冠VS佐々木勇気八段) [将棋]
佐々木八段が初優勝を目指します。
〔中継サイト〕
https://www.nhk.or.jp/goshogi/shogi/index.html
テレビ棋戦では、放映日まで対局結果は秘密にすることが求められます。
例外は○百勝とか表彰がからむ場合で、その場合は発表されていない謎の1勝が増えていたら、未放送のテレビ棋戦の結果が推測することが可能です。
あと、たまに日本将棋連盟の中継サイトで、うっかり未放送のテレビ棋戦まで通算成績に含めてしまい、バレることもがあります。
マニアになると、棋士のスケジュールから逆算することもあります。
ですが、今回の決勝は師匠のYoutubeチャンネルでほぼネタバレという状態になり話題となりました。
直接的な言及はないものの、師匠の表情等でほぼ推測できるというもので、これはアップ前にチェックして、該当部分を削除したりUP日時を変更するなどいろいろな対策があったと思います。
せめて対局前に収録するなど、ネタバレを防ぐ工夫はあったのかなと思います。
今後の改善を望みたいと思います。
〔棋譜〕※後日中継サイトで公開
ということで、将棋です。
佐々木八段の先手で角換わりとなりました。
途中まではよくありそうな展開から、激しい攻め合いになります。お互いに桂馬を銀でもぎ取り、桂馬で攻める。
最初にペースをつかんだのは佐々木八段です。後手玉を端まで追い詰めて、2二歩桂馬を削りにいます。
しかし、これが悪手で、藤井八冠の桂馬のただすてがさく裂して、またたくまに後手優勢から勝勢までもっていきます。
あとは着地だけかと思っていたら、120手目の5五角成が自然に見えて悪手でした。
ここで佐々木八段の2四飛車がさく裂します。同歩ととると銀を討たれて詰みますし、かつ詰めろなので何か受けないといけません。
藤井八冠も先手玉に王手をかけながら自玉の詰めろを解除しますが、最後は佐々木八段が豊富な持ち駒を活かして169手まで後手玉を即詰みに打ち取ります。
この1勝は藤井八冠の年度最高勝率の記録達成を打ち砕く1勝となり、佐々木八段にとって、30連勝を阻止したのと同じく記録阻止の1勝となろました。
記録にも記憶にものこり1勝だと思います。
佐々木八段NHK杯優勝おめでとうございます!
〔中継サイト〕
https://www.nhk.or.jp/goshogi/shogi/index.html
テレビ棋戦では、放映日まで対局結果は秘密にすることが求められます。
例外は○百勝とか表彰がからむ場合で、その場合は発表されていない謎の1勝が増えていたら、未放送のテレビ棋戦の結果が推測することが可能です。
あと、たまに日本将棋連盟の中継サイトで、うっかり未放送のテレビ棋戦まで通算成績に含めてしまい、バレることもがあります。
マニアになると、棋士のスケジュールから逆算することもあります。
ですが、今回の決勝は師匠のYoutubeチャンネルでほぼネタバレという状態になり話題となりました。
直接的な言及はないものの、師匠の表情等でほぼ推測できるというもので、これはアップ前にチェックして、該当部分を削除したりUP日時を変更するなどいろいろな対策があったと思います。
せめて対局前に収録するなど、ネタバレを防ぐ工夫はあったのかなと思います。
今後の改善を望みたいと思います。
〔棋譜〕※後日中継サイトで公開
ということで、将棋です。
佐々木八段の先手で角換わりとなりました。
途中まではよくありそうな展開から、激しい攻め合いになります。お互いに桂馬を銀でもぎ取り、桂馬で攻める。
最初にペースをつかんだのは佐々木八段です。後手玉を端まで追い詰めて、2二歩桂馬を削りにいます。
しかし、これが悪手で、藤井八冠の桂馬のただすてがさく裂して、またたくまに後手優勢から勝勢までもっていきます。
あとは着地だけかと思っていたら、120手目の5五角成が自然に見えて悪手でした。
ここで佐々木八段の2四飛車がさく裂します。同歩ととると銀を討たれて詰みますし、かつ詰めろなので何か受けないといけません。
藤井八冠も先手玉に王手をかけながら自玉の詰めろを解除しますが、最後は佐々木八段が豊富な持ち駒を活かして169手まで後手玉を即詰みに打ち取ります。
この1勝は藤井八冠の年度最高勝率の記録達成を打ち砕く1勝となり、佐々木八段にとって、30連勝を阻止したのと同じく記録阻止の1勝となろました。
記録にも記憶にものこり1勝だと思います。
佐々木八段NHK杯優勝おめでとうございます!
第49期棋王戦第4局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]
藤井棋王の2勝1持で迎えた第4局です。
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/
藤井棋王は純粋居飛車党ですが、プロ入りして1回だけ振り飛車を指したことがあります。
とはいっても公式戦ではなく、サントリーオールスターでの東西リレー将棋でのひとこまです。
初手から5手を受け持った豊島将之九段が、オールラウンダーらしく飛車を振り、その局面も引き継いだ藤井棋王も選択の余地なく振り飛車を指すことになりました。
これは豊島九段が考えたファンサービスかと思います。
慣れない振り飛車が響いたのか、対局は藤井棋王が所属する西軍が負けました。
真剣勝負の世界ですが、準公式戦では、こうしたファンサービス、遊び心は大事かと思います。
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202403170101.html
ということで、将棋です。
藤井棋王というと先後を問わず角換わりの採用率が高いです。
先手の伊藤七段が角換わりに誘導したのに、後手藤井棋王は角換わりを拒否して、なんと村田システムを採用します。
王座戦本線トーナメントで、藤井棋王を苦しめた作戦を、ここで藤井棋王が採用してきました。
伊藤七段は銀交換に成功しますが、その銀を2四と2六に打ち合う格好になると、やや不満です。
形勢が思わしくないとみた伊藤七段は7筋の歩を取らせて7筋に歩を合わせるという角の効きを最大限に生かす攻めを見せますが、藤井棋王に5五歩と冷静に止められると攻めが細くなってしまいました。
歩で攻められた桂馬を幸便に撥ねて攻めかかり、玉形も大差で後手がかなり勝ちやすい局面になります。
そのまま藤井棋王が114手まで押しきり、3勝1持と一度も負けずに棋王防衛を果たしました。
藤井棋王おめでとうございます!
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/
藤井棋王は純粋居飛車党ですが、プロ入りして1回だけ振り飛車を指したことがあります。
とはいっても公式戦ではなく、サントリーオールスターでの東西リレー将棋でのひとこまです。
初手から5手を受け持った豊島将之九段が、オールラウンダーらしく飛車を振り、その局面も引き継いだ藤井棋王も選択の余地なく振り飛車を指すことになりました。
これは豊島九段が考えたファンサービスかと思います。
慣れない振り飛車が響いたのか、対局は藤井棋王が所属する西軍が負けました。
真剣勝負の世界ですが、準公式戦では、こうしたファンサービス、遊び心は大事かと思います。
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202403170101.html
ということで、将棋です。
藤井棋王というと先後を問わず角換わりの採用率が高いです。
先手の伊藤七段が角換わりに誘導したのに、後手藤井棋王は角換わりを拒否して、なんと村田システムを採用します。
王座戦本線トーナメントで、藤井棋王を苦しめた作戦を、ここで藤井棋王が採用してきました。
伊藤七段は銀交換に成功しますが、その銀を2四と2六に打ち合う格好になると、やや不満です。
形勢が思わしくないとみた伊藤七段は7筋の歩を取らせて7筋に歩を合わせるという角の効きを最大限に生かす攻めを見せますが、藤井棋王に5五歩と冷静に止められると攻めが細くなってしまいました。
歩で攻められた桂馬を幸便に撥ねて攻めかかり、玉形も大差で後手がかなり勝ちやすい局面になります。
そのまま藤井棋王が114手まで押しきり、3勝1持と一度も負けずに棋王防衛を果たしました。
藤井棋王おめでとうございます!
第35期女流王位戦挑戦者決定戦(加藤桃子女流四段VS伊藤沙恵女流四段) [将棋]
やはりこの2人は強いです。
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/
二強に次ぐ存在としてだれもが認めるのが加藤桃子女流四段と伊藤沙恵女流四段です。
しかし、ライバル陣の追い上げも急速で、加藤女流四段は山根ことみ女流三段に負け越していますし、伊藤女流四段は今期の勝率が6割を切っています。
それでも、この2人が白組・紅組優勝を果たし、挑戦者決定戦まで勝ち残ってきたのはさすがです。
対戦成績としてはやや加藤女流四段が押していますが、ここ4戦は2勝2敗と五分です。
福間女流王位への挑戦権をかけた1戦。さあ、ライバル同士の決戦はどうなったでしょうか!
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/35/joryu-oui202403150101.html
ということで、将棋です。
女流棋界は振り飛車が多いですが、加藤女流四段は居飛車党ですし、伊藤女流四段も基本は居飛車なので、相居飛車となりました。
伊藤女流四段はウソ矢倉などややトリッキーな作戦を好む傾向があり、本局でも袖飛車を採用します。
中盤で加藤女流四段が端角を打ちますが、この角を銀の力で押し返し、2枚替えになったところでは後手伊藤女流四段が指しやすかったと思います。
しかし、抑え込みに行った2五銀からが変調で、その銀を逆に狙われて桂馬をボロッと取られては逆転です。
加藤女流四段は狙われていた飛車をバサっと切って、自玉の堅さを背景にして勢いよく攻めていきます。
伊藤女流四段も中段玉でふわふわしながら活路を見出そうとしますが、玉の堅さが違いすぎて、攻め合いにならないのが辛いところです。
145手とやや長手数となりましたが、加藤女流四段が勝ちきり、福間女流王位への挑戦を決めました。
第35期女流王位戦五番勝負は、4月25日(木)に徳島県板野郡「樫野倶楽部樫野邸」で開幕します!
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/
二強に次ぐ存在としてだれもが認めるのが加藤桃子女流四段と伊藤沙恵女流四段です。
しかし、ライバル陣の追い上げも急速で、加藤女流四段は山根ことみ女流三段に負け越していますし、伊藤女流四段は今期の勝率が6割を切っています。
それでも、この2人が白組・紅組優勝を果たし、挑戦者決定戦まで勝ち残ってきたのはさすがです。
対戦成績としてはやや加藤女流四段が押していますが、ここ4戦は2勝2敗と五分です。
福間女流王位への挑戦権をかけた1戦。さあ、ライバル同士の決戦はどうなったでしょうか!
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/35/joryu-oui202403150101.html
ということで、将棋です。
女流棋界は振り飛車が多いですが、加藤女流四段は居飛車党ですし、伊藤女流四段も基本は居飛車なので、相居飛車となりました。
伊藤女流四段はウソ矢倉などややトリッキーな作戦を好む傾向があり、本局でも袖飛車を採用します。
中盤で加藤女流四段が端角を打ちますが、この角を銀の力で押し返し、2枚替えになったところでは後手伊藤女流四段が指しやすかったと思います。
しかし、抑え込みに行った2五銀からが変調で、その銀を逆に狙われて桂馬をボロッと取られては逆転です。
加藤女流四段は狙われていた飛車をバサっと切って、自玉の堅さを背景にして勢いよく攻めていきます。
伊藤女流四段も中段玉でふわふわしながら活路を見出そうとしますが、玉の堅さが違いすぎて、攻め合いにならないのが辛いところです。
145手とやや長手数となりましたが、加藤女流四段が勝ちきり、福間女流王位への挑戦を決めました。
第35期女流王位戦五番勝負は、4月25日(木)に徳島県板野郡「樫野倶楽部樫野邸」で開幕します!
第82期順位戦【最終結果・C級2組】 [将棋]
〔C級2組〕◎佐々木大地七段 ○本田奎五段 ▲徳田拳士四段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c2/index.html
最終戦まで昇級者は決まっていないハイレベルな争いとなっています。2敗したら順位が高くないとほぼアウトといった感じです。
1敗勢は勝てば昇級決定です。それぞれの結果は以下のようになりました。
冨田誠也四段 ○ - ● 小林裕士八段
高田明浩四段 ○ - ● 上村 亘五段
山本博志五段 ● - ○ 藤本 渚四段
全員勝利で見事にスッキリ昇級を決めました。9勝1敗が昇級、8勝2敗が残留と分かりやすい結果です。8勝2敗の梶浦宏孝七段はなんと3度目の次点です(佐々木大地七段と並んで最多記録だと思う)。今期タイトルに2回挑戦した佐々木大地七段ですが、6勝4敗となんともいえないフィニッシュです。
C級2組は降級点3つで降級です。
棋界最年長の青野照市九段は3つめの降級点となり、規定により全棋戦が終了した時点で引退となります。いままでお疲れさまでした。
今期フリークラスへの転出となったのは竹内雄悟五段、長沼洋八段です。竹内五段はまだ三十代なので、ちょっと早いかなあ、と思います。
佐藤慎一五段は6勝4敗と勝ち越しに成功し、降級点をひとつ消しました。これは大きいです。
これで今期の順位戦は終了です。来季も楽しみです!
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c2/index.html
最終戦まで昇級者は決まっていないハイレベルな争いとなっています。2敗したら順位が高くないとほぼアウトといった感じです。
1敗勢は勝てば昇級決定です。それぞれの結果は以下のようになりました。
冨田誠也四段 ○ - ● 小林裕士八段
高田明浩四段 ○ - ● 上村 亘五段
山本博志五段 ● - ○ 藤本 渚四段
全員勝利で見事にスッキリ昇級を決めました。9勝1敗が昇級、8勝2敗が残留と分かりやすい結果です。8勝2敗の梶浦宏孝七段はなんと3度目の次点です(佐々木大地七段と並んで最多記録だと思う)。今期タイトルに2回挑戦した佐々木大地七段ですが、6勝4敗となんともいえないフィニッシュです。
C級2組は降級点3つで降級です。
棋界最年長の青野照市九段は3つめの降級点となり、規定により全棋戦が終了した時点で引退となります。いままでお疲れさまでした。
今期フリークラスへの転出となったのは竹内雄悟五段、長沼洋八段です。竹内五段はまだ三十代なので、ちょっと早いかなあ、と思います。
佐藤慎一五段は6勝4敗と勝ち越しに成功し、降級点をひとつ消しました。これは大きいです。
これで今期の順位戦は終了です。来季も楽しみです!
第82期順位戦【最終結果・B級1組】 [将棋]
※◎○▲は開幕前の予想です。
〔B級1組〕◎近藤誠也七段、○糸谷哲郎八段 ▲羽生善治九段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b1/index.html
昇級者のうち1枠は、最終戦を前に千田翔太八段が獲得。残り1枠ですが、増田康宏七段が勝てば決定。大橋貴洸七段は自信が勝利した上でのキャンセル待ちです。
残留争いは、最終戦を前にして横山泰明七段、木村一基九段が決定。残り1枠は5敗勢4名のうち1名です。順位が低い屋敷伸之九段は負けたら即降級決定です。
ということで、1局を除く残り5局が昇級降級に絡む大激戦です。
屋敷伸之九段 ● - ○ 増田康宏七段
大橋貴洸七段 ● - ○ 千田翔太八段
山崎隆之八段 ● - ○ 近藤誠也七段
羽生善治九段 ○ - ● 三浦弘行九段
佐藤康光九段 ○ - ● 糸谷哲郎八段
となり、最終戦を勝利した増田七段が最後の1枠をゲットして、来季A級への昇級者は千田八段と増田七段(昇級により八段)です。
残り1枠の降級者は、優勢な局面もあったも惜しくも敗れた屋敷九段です。
よって、降級者は屋敷九段、木村一基九段、横山泰明七段の3名です。
来季は50代3名、40代1名、30代8名、20代1名というメンバー構成になります。
来季はさらなる激戦となりそうです!
〔B級1組〕◎近藤誠也七段、○糸谷哲郎八段 ▲羽生善治九段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b1/index.html
昇級者のうち1枠は、最終戦を前に千田翔太八段が獲得。残り1枠ですが、増田康宏七段が勝てば決定。大橋貴洸七段は自信が勝利した上でのキャンセル待ちです。
残留争いは、最終戦を前にして横山泰明七段、木村一基九段が決定。残り1枠は5敗勢4名のうち1名です。順位が低い屋敷伸之九段は負けたら即降級決定です。
ということで、1局を除く残り5局が昇級降級に絡む大激戦です。
屋敷伸之九段 ● - ○ 増田康宏七段
大橋貴洸七段 ● - ○ 千田翔太八段
山崎隆之八段 ● - ○ 近藤誠也七段
羽生善治九段 ○ - ● 三浦弘行九段
佐藤康光九段 ○ - ● 糸谷哲郎八段
となり、最終戦を勝利した増田七段が最後の1枠をゲットして、来季A級への昇級者は千田八段と増田七段(昇級により八段)です。
残り1枠の降級者は、優勢な局面もあったも惜しくも敗れた屋敷九段です。
よって、降級者は屋敷九段、木村一基九段、横山泰明七段の3名です。
来季は50代3名、40代1名、30代8名、20代1名というメンバー構成になります。
来季はさらなる激戦となりそうです!
第82期順位戦【最終結果・B級2組】 [将棋]
※◎○▲は開幕前の予想です。
〔B級2組〕◎高見泰地七段 ○丸山忠久九段 ▲村山慈明七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b2/index.html
最終戦を前に大石直嗣七段の昇級が決定。残り2枠を2敗勢の髙見泰地七段、深浦康市九段、石井健太郎六段、青嶋未来六段が争います。
数字上は3敗勢にも可能性はありますが、さすがに確率は低そうです。
昇級戦線は以下のような結果となりました。
高見泰地七段 ○ - ● 杉本昌隆八段
深浦康市九段 ● - ○ 佐々木慎七段
戸辺誠七段 ● - ○ 石井健太郎六段
青嶋未来六段 ○ -● 阿部 隆九段
昇級者は大石七段、高見七段、石井六段の3人です。深浦九段は最終戦に敗れ、青嶋六段は順位の差で惜しくも昇級を逃しました。来季に期待です。
B級2組は降級点2つで降級です。
今期降級となったのは阿部隆九段、中村修九段、畠山鎮八段、飯島栄治八段、井上慶太九段の5名です。
長年B級2組で踏ん張ってきた中村九段と井上九段が揃って降級となってしまいました。
大ベテランの谷川浩司十七世名人は7勝3敗と奮闘し順位が大幅にアップしました。来季も頑張ってほしいです!
〔B級2組〕◎高見泰地七段 ○丸山忠久九段 ▲村山慈明七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b2/index.html
最終戦を前に大石直嗣七段の昇級が決定。残り2枠を2敗勢の髙見泰地七段、深浦康市九段、石井健太郎六段、青嶋未来六段が争います。
数字上は3敗勢にも可能性はありますが、さすがに確率は低そうです。
昇級戦線は以下のような結果となりました。
高見泰地七段 ○ - ● 杉本昌隆八段
深浦康市九段 ● - ○ 佐々木慎七段
戸辺誠七段 ● - ○ 石井健太郎六段
青嶋未来六段 ○ -● 阿部 隆九段
昇級者は大石七段、高見七段、石井六段の3人です。深浦九段は最終戦に敗れ、青嶋六段は順位の差で惜しくも昇級を逃しました。来季に期待です。
B級2組は降級点2つで降級です。
今期降級となったのは阿部隆九段、中村修九段、畠山鎮八段、飯島栄治八段、井上慶太九段の5名です。
長年B級2組で踏ん張ってきた中村九段と井上九段が揃って降級となってしまいました。
大ベテランの谷川浩司十七世名人は7勝3敗と奮闘し順位が大幅にアップしました。来季も頑張ってほしいです!
第82期順位戦【最終結果・C級1組】 [将棋]
※◎○▲は開幕前の予想です。
〔C級1組〕◎伊藤匠五段 ○出口若武六段 ▲三枚堂達也七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c1/index.html
最終戦を前に服部慎一郎六段が昇級決定。残り2枠を1敗勢と2敗勢が争います。
古賀悠聖五段は勝てば昇級決定ですが、負けると順位が低いため圏外という最終戦は鬼勝負です。前期昇級を逃した伊藤七段は、勝てば昇級決定という一番です。
その結果は以下のようになりました。
古賀悠聖五段 ○ - ● 窪田義行七段
宮田敦史七段 ● - ○ 伊藤 匠七段
古賀五段、伊藤七段とも勝利し、そろって昇級です。
C級1組は降級点2つで降級です。
今期降級となったのはベテラン2名、高橋道雄九段と、日浦市郎八段です。来季はいよいよ後のないC級2組なので、踏ん張りどころです。
〔C級1組〕◎伊藤匠五段 ○出口若武六段 ▲三枚堂達也七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c1/index.html
最終戦を前に服部慎一郎六段が昇級決定。残り2枠を1敗勢と2敗勢が争います。
古賀悠聖五段は勝てば昇級決定ですが、負けると順位が低いため圏外という最終戦は鬼勝負です。前期昇級を逃した伊藤七段は、勝てば昇級決定という一番です。
その結果は以下のようになりました。
古賀悠聖五段 ○ - ● 窪田義行七段
宮田敦史七段 ● - ○ 伊藤 匠七段
古賀五段、伊藤七段とも勝利し、そろって昇級です。
C級1組は降級点2つで降級です。
今期降級となったのはベテラン2名、高橋道雄九段と、日浦市郎八段です。来季はいよいよ後のないC級2組なので、踏ん張りどころです。
第17期マイナビ女子オープン挑戦者決定戦(北村桂香女流二段VS大島綾華女流初段) [将棋]
どちらが勝っても、タイトル初挑戦です。
〔中継サイト〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/thisseason/
大島女流初段は女流王位戦でも挑戦あと1歩に迫りました。
西山女流四冠(当時)相手に勝勢までいきながら、時間切迫と西山女流四冠の粘りの前に最後の最後で間違え、その隙を突かれて逆転負けを喫しました。
しかし、そのすぐ後に再びタイトル挑戦のチャンスが回ってくるのは、実力のある証拠です。
これから女流四強に食い込んできてもおかしくありません。
さあ勢いに乗る大島女流初段ですが、タイトル挑戦ができたでしょうか!
〔棋譜〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/17/mynavi202403040101.html
先手は北村女流二段で女流棋界では珍しい横歩取りの青野流となりました。
非常に激しい展開になる戦型で、後手の大島女流初段はさらに激しい相横歩取りを志向します。
棋界では後手不利が定説で、そうそう見ない形です。
北村女流二段は7七角と受けてから、角交換に金を立ちます。
基本的に先手有利の戦型のはずですが、この時点ですでに評価値は後手に振れています。
金が上ずり、先手まとめにくいです。
北村女流二段はアクロバティックな手で後手玉に迫ろうとしますが、大島女流初段から玉頭に嫌味を付けられ、桂馬を跳ねられ、5三歩を入れられてはもう粘れません。
74手までの完勝で、大島女流初段は嬉しいタイトル初挑戦を決めました。
マイナビ女子オープン戦は、4月9日(火)「元湯 陣屋」から始まります!
〔中継サイト〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/thisseason/
大島女流初段は女流王位戦でも挑戦あと1歩に迫りました。
西山女流四冠(当時)相手に勝勢までいきながら、時間切迫と西山女流四冠の粘りの前に最後の最後で間違え、その隙を突かれて逆転負けを喫しました。
しかし、そのすぐ後に再びタイトル挑戦のチャンスが回ってくるのは、実力のある証拠です。
これから女流四強に食い込んできてもおかしくありません。
さあ勢いに乗る大島女流初段ですが、タイトル挑戦ができたでしょうか!
〔棋譜〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/17/mynavi202403040101.html
先手は北村女流二段で女流棋界では珍しい横歩取りの青野流となりました。
非常に激しい展開になる戦型で、後手の大島女流初段はさらに激しい相横歩取りを志向します。
棋界では後手不利が定説で、そうそう見ない形です。
北村女流二段は7七角と受けてから、角交換に金を立ちます。
基本的に先手有利の戦型のはずですが、この時点ですでに評価値は後手に振れています。
金が上ずり、先手まとめにくいです。
北村女流二段はアクロバティックな手で後手玉に迫ろうとしますが、大島女流初段から玉頭に嫌味を付けられ、桂馬を跳ねられ、5三歩を入れられてはもう粘れません。
74手までの完勝で、大島女流初段は嬉しいタイトル初挑戦を決めました。
マイナビ女子オープン戦は、4月9日(火)「元湯 陣屋」から始まります!
第49期棋王戦第3局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]
藤井棋王の1勝1持で迎えた第3局です。
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/
藤井棋王の記録で注目されているのは、歴代勝率記録の更新なるかどうかです。
歴代最高は1967年の中原誠で47勝8敗の0.8545です。
数々の記録を打ち立てている藤井棋王ですが、いまのところ最高は2018年の0.8490で惜しくも歴代第3位です。
棋王戦が始まった段階33勝5敗の0.868と歴代最高勝率を上回っていますが、なにしろ6勝1敗ペースを続けないと落ちてしまいます。
記録更新のためには負けられない戦いが続きます。
さあ藤井棋王は、記録更新に向けた大きな1勝を上げることはできたでしょうか!
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202403030101.html
ということで、将棋です。
藤井棋王の先手で始まり、本局も角換わりとなりました。角換わりというと、第1局目に登場した後手番伊藤七段の持将棋定跡が衝撃を与えました。
本局では、その研究を警戒したのか、藤井棋王が5八金と旧式を採用したため前局とは異なる展開へと進みます。
この5八金形の弱点は角の打ち込みの隙が多いことです。
本局でも伊藤七段が角打ちから馬を作り、この馬が働くかどうかが勝負になります。
評価値的に勝負を分けたのは、70手目の2三金です。
藤井棋王の3五一点突破狙いのような角打ちに対して正面から受けて立つ勇者の一手ですが、大さばきになってみると先手優勢になっていました。
後手からすれば角をただで取れそうだし、8一飛車も受けに効いています。
しかし、ここからの藤井棋王の寄せは鮮やかでした。
3一角打ちから20手もしないうちに、後手を投了まで追い込んでしまいます。
藤井棋王といえば長考派で、以前はタイトル戦で1分将棋に追い込まれるのも度々でしたが、本局では持ち時間も絶えずリードして、タイムマネジメントも完璧です。
もはや手の付けられない強さと言っても良いかと思います。
これで藤井棋王の2連勝となり、防衛まであと1勝と迫りました。
棋王戦第4局は、3月17日(日)に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」にて行われます!
〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/
藤井棋王の記録で注目されているのは、歴代勝率記録の更新なるかどうかです。
歴代最高は1967年の中原誠で47勝8敗の0.8545です。
数々の記録を打ち立てている藤井棋王ですが、いまのところ最高は2018年の0.8490で惜しくも歴代第3位です。
棋王戦が始まった段階33勝5敗の0.868と歴代最高勝率を上回っていますが、なにしろ6勝1敗ペースを続けないと落ちてしまいます。
記録更新のためには負けられない戦いが続きます。
さあ藤井棋王は、記録更新に向けた大きな1勝を上げることはできたでしょうか!
〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202403030101.html
ということで、将棋です。
藤井棋王の先手で始まり、本局も角換わりとなりました。角換わりというと、第1局目に登場した後手番伊藤七段の持将棋定跡が衝撃を与えました。
本局では、その研究を警戒したのか、藤井棋王が5八金と旧式を採用したため前局とは異なる展開へと進みます。
この5八金形の弱点は角の打ち込みの隙が多いことです。
本局でも伊藤七段が角打ちから馬を作り、この馬が働くかどうかが勝負になります。
評価値的に勝負を分けたのは、70手目の2三金です。
藤井棋王の3五一点突破狙いのような角打ちに対して正面から受けて立つ勇者の一手ですが、大さばきになってみると先手優勢になっていました。
後手からすれば角をただで取れそうだし、8一飛車も受けに効いています。
しかし、ここからの藤井棋王の寄せは鮮やかでした。
3一角打ちから20手もしないうちに、後手を投了まで追い込んでしまいます。
藤井棋王といえば長考派で、以前はタイトル戦で1分将棋に追い込まれるのも度々でしたが、本局では持ち時間も絶えずリードして、タイムマネジメントも完璧です。
もはや手の付けられない強さと言っても良いかと思います。
これで藤井棋王の2連勝となり、防衛まであと1勝と迫りました。
棋王戦第4局は、3月17日(日)に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」にて行われます!