【書評】中村文則『私の消滅』 [書評]
ドゥマゴ文学賞受賞作です。
wikiでは重厚で陰鬱な作風と評されている著者ですが、本作でもその陰鬱さが存分に発揮されています。
ストーリーはミステリと純文学の融合です。
物語は、”小塚”になり替わろうとする男が、小塚が残した手記を読むところから始まります。
そこに医者が登場し、「あなたは小塚だ」と言われます。自分は誰かと考えたとき、主人公は自分の名前を思い出せないことに気が付きます。
テーマとしては、後書きにも書かれているように、「人間とは何か」だと思います。
小説には、宮崎勤や、洗脳の技法が描かれています。
人間の記憶を入れ替えようとする試みを通じて、人間が人間らしくいられるのは、なぜなのか、というのを逆説的に問いかけているような気がします。
ラストになって、冒頭のシーンが本当は何を表していたのかが明かされます。
個人的には、非常にあくどい医者である吉見のキャラに惹かれます。
純文学とミステリの融合を楽しみたいひとのために!
wikiでは重厚で陰鬱な作風と評されている著者ですが、本作でもその陰鬱さが存分に発揮されています。
ストーリーはミステリと純文学の融合です。
物語は、”小塚”になり替わろうとする男が、小塚が残した手記を読むところから始まります。
そこに医者が登場し、「あなたは小塚だ」と言われます。自分は誰かと考えたとき、主人公は自分の名前を思い出せないことに気が付きます。
テーマとしては、後書きにも書かれているように、「人間とは何か」だと思います。
小説には、宮崎勤や、洗脳の技法が描かれています。
人間の記憶を入れ替えようとする試みを通じて、人間が人間らしくいられるのは、なぜなのか、というのを逆説的に問いかけているような気がします。
ラストになって、冒頭のシーンが本当は何を表していたのかが明かされます。
個人的には、非常にあくどい医者である吉見のキャラに惹かれます。
純文学とミステリの融合を楽しみたいひとのために!
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