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【映画】ストックホルム・ケース [映画評]

ストックホルム症候群の語源となった事件を描くスリラーです。


ストックホルム・ケース スペシャル・プライス[Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: Happinet
  • 発売日: 2022/03/02
  • メディア: Blu-ray



題材となった事件は1973年に発生していますが、映画では犯人の名前などが変えられていますし、経過も少し異なっています。
映画のストーリーですが、変装したラースが逃亡資金を得ることと、刑務所にいる親友を助けるために、銀行を占拠して3人を人質に取ります。
最初は犯人を恐れる人質たちでしたが、徐々に犯人との親密度が増して、最後には恋心まで抱くようになってしまいます。
この事件が、ストックホルム症候群の語源となっています。

いやあ、これ、すごく分かります。
人質から見れば、最初は名前のない凶悪犯です。その凶悪犯が人間らしいところを見せることで、被害者側が犯人を見る目が、凶悪犯から人間へと変わってしまいます。
こうなってくると、進展を見せない警察への不満もあいまって、徐々に人質たちが心理的に犯人を頼るようになります。
人質の心理が変化するのと同時並行で、犯人も人質を大切に扱うようになります。
人質が家に電話するのを許します。一緒にラジオを聴いたり、ヒット曲を歌ったりします。
警察との駆け引きのために防弾チョッキを着せてから犯人が人質を撃ち、殺害したふりをするのですが、人質が気絶したことで「本当に殺してしまった!」と犯人がパニックになってしまいます。
乏しい食料もみんなで分け合います。身の上話までします。
最後には犯人たちを助けるために人質がアイデアを出したりします。
もうこうなると、人質たちも犯人と一心同体です。
最後になると被害者なのに凶悪犯を守るような姿勢まで見せます。
傍目には人質たちの行動は変ですが、その心理の動きを克明に描くことで、だれもが納得せざるを得ない映画に仕上がっていると思います。
いろいろと考えさせられる、いい映画だと思います。

ストックホルム症候群について知りたいひとのために!
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【書評】田丸雅智『オバペディア』 [書評]

日本ショートショート界をけん引する、田丸雅智のショートショート集です。


オバペディア

オバペディア

  • 作者: 田丸雅智
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: Kindle版



なにより絶品なのは表題作の『オバペディア』です。
これはインターネットにのらないおばさん知識、オバペディアを活用する話ですが、どちらかと言うと敬遠される”オバサン”という単語を羨望の的にした逆転の発想に加えて、おばさんの知識を極限まで広げた拡大の手法が使われています。
発想法の二重奏が見事です。
あとは『あの日の花火』も印象的です。
誰もが持つ青春時代を振り返りたくなる気持ちにささやきかける、よくある話といえばそうかもしれませんが、やはり琴線に触れてしまいます。
全部で18編収録です。

ショートショートが好きなひとのために!
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【公募情報】第21回貨物鉄道論文賞(論文・8/31〆) [公募情報]


今年度より名称が改称されています。

〔主催者HP〕
https://www.jrfreight.co.jp/shourei

主催者HPより募集要項に飛べますが、A4で4枚となかなかのボリュームです。
学生からシニアまで、物流・鉄道関係にかかわらず幅広い業種から応募があるようですが、昨年度の最優秀賞を読むとかなり実証的で、ある程度の実務経験がないと難しいのかもしれません。
最優秀賞の賞金50万円は魅力です。
制限枚数はA4(40×36)で5~15枚、応募締切は令和5年8月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:論文
テーマ :「貨物鉄道に関する先進的ならびに独創的な提案・研究」「鉄道を基軸とする総合物流に関する提案・研究」※詳細は主催者HP参照
最優秀賞:賞金50万円
制限枚数:A4(40×36)で5~15枚
応募締切:令和5年8月31日
応募方法:主催者HP、郵送
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第64期伊藤園おーいお茶王位戦第3局(藤井聡太王位VS佐々木大地七段) [将棋]

藤井王位の2勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/oui/

王位戦の主催者は新聞三社連合ですが、その中に北海道新聞も入っています。
そのためかシリーズのうち1局は北海道で開催されるのが通例ですが、定宿は決まっていません。
今期は北海道小樽市にある「料亭湯宿 銀鱗荘」で開催されます。
最寄り駅は小樽駅ではなく、その隣の小樽築港駅です。
1900年(明治33年)、余市の大網元、猪俣安之丞氏が築造した個人邸宅が銀鱗荘のはじまりとのことで、小樽市指定歴史的建造物にも選ばれているそうです。
こうした歴史ある宿が対局場に選べれるのは、見る将としても楽しいところです。
この歴史ある宿で、二人はどのような将棋を見せてくれるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202307250101.html

ということで、将棋です。
先手藤井王位で、藤井王位のエースとも言える先手角換わりへと進みます。
AI将棋では角換わりは先手必勝とも言われていますが、人間同士ではまだまだ鉱脈は残されています。
相手の得意戦法に飛び込むからには、対策がなければなりません。
戦形は7月に行われた千田翔太七段VS木村一基九段戦がベースとなりました。後手の構えは玉の頭に金がぽつんといるだけで、金銀3枚は玉を放り出して反対側に銀矢倉を構えています。
かなり異形に見えますが、これが現代将棋なのでしょう。
そして、戦いは玉のいない銀矢倉の頭から始まります。
二日制らしくお互いに長考する濃密な時間が過ぎてきます。
最初に馬を作ったのは佐々木大七段ですが、藤井王位は慌てずに馬を押し返してから反撃します。
気が付いたら玉が固く、攻めて、切れないという理想的な展開に持ち込んでいます。
そうした中でも佐々木大七段は先手玉に嫌味を付けてから玉を固めるべく4三馬と引き寄せます。
しかし、ここがチャンスだったようです。攻めあえば互角の展開が望めた可能性があったようです。
すかさず藤井王位が香車の犠打で強引に馬を元の位置に戻すと、1一角打ちが佐々木陣の急所に突き刺さりました。
佐々木大七段もなんとか粘ろうとしますが、藤井王位は許しません。
最後は後手玉を即詰に討ち取り、131手まで藤井王位が見事な勝利をあげました。

これで藤井王位の3連勝です。
第4局は8月15・16日に佐賀県嬉野市「和多屋別荘」で行われます!
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最近の日常【令和5年7月第4週】 [日常]

〔カーナビの修理が完了した話〕
代金3万円弱なり。
修理が終わった後、担当のひとが修理内容を説明してくれた。
交換したのは小さなボタンの部品4つのみ。このボタンが押しっぱなし状態になっていたため、カーナビが動かなくなったという。
逆に言えば、十数年経っているのに、ボタン以外は壊れていないのが驚異的。
日本の技術力はすごいですねえ、とただただ感嘆です。

〔インボイス制度の話〕
自分のところに某出版社から「インボイス制度の登録の可否」についての問い合わせが来た。
執筆関係で定期的な収入があるわけではないので、「予定なし」で返信する。
自分レベルにまで問い合わせがあるとはマメですねえ、と思った次第です。
このインボイス制度について、いろいろと反対論があるけど、決められた税金は払わないとなあ。
インボイスに限らず税制はかなり複雑なので、できるだけ簡易にできればいいなあとは、願っていますが。
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第5期大成建設杯清麗戦第2局(里見香奈清麗VS西山朋佳女流三冠) [将棋]

里見清麗の先勝で迎えた第2局です。

〔主催者中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/seirei/

第4期から主催は大成建設に変わりましたが、第2局は2年連続して「ホテルオークラ新潟」です。
大成建設の源流は大倉喜八郎が創設した大倉商会ですが、「ホテルオークラ」も大倉財閥グループになります。創設者は大倉喜八郎の息子、大倉商会の二代目である大倉喜七郎です。
ちなみに第1局の「ホテルニューオータニ」は大成建設の施工と、やはり大成建設とつながりがあります。
大企業だと関連企業だけでなく、様々な繋がりがあります。
こうした繋がりで、様々な会場が選ばれるのは楽しいことだと思います。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/seirei/kifu/5/seirei202307250101.html

ということで、将棋です。
戦型はいつものように相振り飛車ですが、相三間飛車となりました。
序盤から見慣れない形になりましたが、先手西山女流三冠の左桂馬は跳ねて攻撃参加してのに対して、後手里見清麗の桂馬は初期位置のままなので、その分だけ先手が良さそうです。
先手陣も薄くて怖いところですが、早指しの西山女流三冠が40分の長考で選んだ4七玉の仁王立ちでしのぎにかかります。
感想戦だと60手目がポイントだったようです。
ここで攻めあわずに、じっと金で角にひもをつけておけば、まだまだ長い戦いになったようです。
以降は一直線の攻め合いとなり、西山女流三冠が抜け出して、93手まで勝利しました。
これで5番勝負は1勝1敗のタイです。

第3局は8月8日(火)、大阪府大阪市「センタラグランドホテル大阪」で行われます!

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【映画】セブン [映画評]

ブラビとモーガンフリーマン共演の有名サスペンスです。


セブン [WB COLLECTION][AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2018/01/17
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「七つの大罪」をモチーフとした連続殺人が発生します。この殺人事件を追うのは、定年まであと1週間のベテラン刑事(モーガンフリーマン)と若手刑事(ブラビ)です。
「七つの大罪」とは人間が陥る悪徳としてキリスト教が戒めているもので「虚栄」「嫉妬」「怠惰」「憤怒」「貪欲」「色欲」「淫蕩」です。
中世の絵でよく題材とされ、ヒエロニムス・ボスの作品が有名です。
犯行が進むにつれて狂気に捕らわれた容疑者を徐々に追い詰めていきますが、「嫉妬」と「憤怒」が残っている段階で犯人が出頭してきます。
そして犯人は刑事2人を指名し「残り2つの死体の場所を教える」と持ち掛けます。
そこで2人が待っていたものは……というストーリーです。
2人の刑事の考え方の相違、衝突はありますが、基本的にはラスト1発勝負の構成です。
オチを生かすために、冒頭の描写から組み立てられています。「メメント」と似たような構成といえるかもしれません。
こういう構成だと途中ダレそうになりますが、連続殺人であることと、刑事2人のキャラの違い、主演のレベルの高さ、映像効果の巧みさでぐいぐい見させます。
それにしても、このラストは救われませんね。それがまた、印象深いのですが。

ブラビとモーガンフリーマンの演技を堪能したいひとのために!

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【書評】呉善花『スカートの風~日本永住を目指す韓国の女たち~』 [書評]

著者が評論家としてデビューするきっかけとなった一冊です。


スカートの風 日本永住をめざす韓国の女たち (角川文庫)

スカートの風 日本永住をめざす韓国の女たち (角川文庫)

  • 作者: 呉善花
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2012/10/01
  • メディア: Kindle版



著者は27歳で韓国から留学生として日本にやってきました。
そのときの戸惑い、孤独感を抱えながら日本で生活し、日本を理解していくことで日韓文化のギャップが見えてきます。
初版は平成2年なので、現代では変わっている部分も多いと思います。
けど「韓国では能力があるものが主張し、聞いている側は能力が不足しているとみなされる」など、今でも変わらない部分も多いと思います。
受け身を多用する日本語の特殊な表現が、日本人の人格に影響を与えているという分析には納得と同時に「泥棒に入られる」という日本語では普通の表現が特殊であることにびっくりです。
韓国人からみた日本人論を知りたいひとのために!
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【SS】齊藤想『交流会』 [自作ショートショート]

2022年超ショートショートに応募した作品です。
テーマは選択制ですが、「老人ホーム」を選びました。

―――――

『交流会』 齊藤 想

 今日は、老人ホームの入居者が楽しみにしている園児との交流会だ。
「みんな、おじいちゃんやおばあちゃんの言うことを聞くんですよ」
 幼稚園の先生はそう言ってたしなめるが、園児たちからすると老人ホームも楽しい遊び場だ。広々としているホールを無邪気に走り回ったり、展示されている入居者の作品を眺めたり、入居者に人生で一番の思い出を聞いたりしている。将棋やオセロで対戦する園児もいる。
 園児たちは同じ名前の入居者を見つけると、積極的に話しかけた。年齢差を忘れて盛り上がっている様子は、まるで古くからの友人のようだった。
 入居者も園児たちも大満足な一日だった。
「意外と元気そうで安心した。ぼくも八十年後には、こうなるんだね」
「私がおばあちゃんになったらどうなるかと思ったけど、幸せそうで安心した」
「絵が上達していてびっくりだ。おれもやればできるじゃない」
 そう言って、園児たちは元の世界に帰るためにタイムマシンに乗り込んだ。八十年後の自分との交流で、受け取った元気を胸に抱きながら。

―――――

この作品を題材として、創作に役立つミニ知識をメルマガで公開しています。
無料ですので、ぜひとも登録を!

【サイトーマガジン】
https://www.arasuji.com/mailmagazine/saitomagazine/

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最近の金融・投資【令和5年7月第4週】 [金融・投資]

〔先週の株式市場〕
先週はマイナスでしたが、今週は上昇2日、下落2日でトータルプラス。
月トータルでもプラスに転じました。
値上がりすればもう少し買っておけばなあとか思うのもいつものことで、下がったときに買いすぎたと思うのもいつものことなので、一喜一憂してはいけなのですが。
そろそろ調整でどーんと下がるだろうとずーっと言い続けていますが、いまところ大きな下落は発生せず。
様子見みの夏ですね、これでは。

〔配当金が振り込まれた話〕
6月と12月は配当金が振り込まれる会社が多い。
ということで、先月は自分的なボーナス月間でした。
日付はバラバラなので、少しずつ振り込まれてくる。
基本的に少額分散投資なので1件あたりの金額は大きくないが、ちりも積もれば、という感じでしょうか。
このお金は、基本的には株式再投資に回ります。
とはいえ、最近の状況から来年のNISA用かなあと思いつつ。

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