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【映画】ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦 [映画評]

ナチス親衛隊の幹部暗殺作戦を史実に沿って描きます。


ハイドリヒを撃て! 「ナチの野獣」暗殺作戦 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2018/02/02
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作戦名は「エンスラポイド作戦」で、暗殺されたナチス幹部はラインハルト・ハイドリヒです。
舞台はチェコです。
当時のチェコはナチスに占領されて、その占領政策の指導者としてラインハルト・ハイドリヒを送り込みます。
ハイドリヒですが、調べると超有能な人物だったようです。
ユダヤ人絶滅計画を推進する冷酷な人物(金髪の野獣とのあだ名がある)である一方で、ヒムラ―の頭脳と呼ばれて数々の重要任務を担当し、成果を上げていきます。
そのせいで、ナチス内部では敵も多かったようです。
チェコ占領政策ですが、反乱の指導者層を徹底的に弾圧する一方で市民には食料や年金を増やし、市民の陳情に耳を傾けるなどして順調だったようです。
この状態に焦ったイギリスとチェコ亡命政府の命令で、ハイドリヒ暗殺計画は進みます。
映画はかなり史実を丁寧に描きます。
襲撃自体は完全な成功とはいいがたいですが、ハイドリヒは襲撃時のケガが原因で死亡し、目的を果たします。
しかし、暗殺にかかわったひとたちが次々と悲劇を迎えます。
かくまった家族や、関係ない村人たちが犠牲になります。
襲撃前にも、仲間内で口論があります。この襲撃に意味あるのか、ハイドリヒを殺害しても後任がくるだけではないのかと。
結果としては作戦関係者は追い詰められて全員死亡し、チェコは報復を受けることになります。
しかし、その報復が酷すぎたために、結果的にイギリスがミュンヘン会談の内容を破棄し、戦後にズデーテンランドがチェコに戻されることなりました。
映画全体として、特定のテーマは感じません。あるとしたら、作戦関係者が迎える悲劇です。
直接的に実行したのは軍人であり、英雄として扱われていますが、日本人的には暗殺という手段にやはり違和感を覚えます。
平穏だったチェコが、ナチスの圧政にさらされる結果になってしまい、しかも予想できたことなので。
いろいろ考えさせられる映画です。

エンスラポイド作戦のことを知りたいひとのために!
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【書評】三沢明彦『刑事眼~伝説の刑事の事件簿~』 [書評]

スリ、窃盗を追う刑事たちの事件簿です。


刑事眼―伝説の刑事の事件簿-

刑事眼―伝説の刑事の事件簿-

  • 作者: 三沢 明彦
  • 出版社/メーカー: 東京法令出版
  • 発売日: 2010/05/31
  • メディア: 単行本



明治から昭和にかけて、その名を轟かす大物スリや泥棒がいました。
仕立て屋銀二などスリの大親分も跋扈していました。
本書は昭和に活躍した刑事たちと、伝説的な技術を持つスリや泥棒との戦いの実録です。
もちろん犯罪は悪いことですが、アーメンお文、昭和のルパン、蜘蛛の陣十郎など、不思議と泥棒たちに魅力を感じてしまいます。
それだけ泥棒たちの書き方がうまいのだと思います。
いまは荒っぽい外国人窃盗団が増加し、日本式の技術で盗む泥棒は減少しているようです。
スリの親分が、引退した刑事に「若いもんは少し怒るとこなくなる」といって技術の伝承が途絶えてしまうことを嘆くシーンがあります。
基本的には良いことのはずですが、なんともかんとも。

昭和の刑事と泥棒たちとの戦いを知りたいひとのために!
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