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【映画】アメイジング・スパイダーマン [映画評]

ガーフィールドが新しいスパイダーマンを演じたヒット作ですが、やや脚本にまとまりを欠くかもというのが素直な印象です。


アメイジング・スパイダーマン 4K ULTRA HD&ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2017/07/05
  • メディア: Blu-ray



本作はリブートなので、再び高校時代から始まります。
両親を亡くしたピーター・パーカーは、叔父の家で生活しています。
父の遺品であるカバンの中に資料が残っており、父の同僚だったコナーズ博士に近づくため、公開研修を利用してオズコープ社に入り込みます。
そこでクモに刺されて彼はスパイダーマンの能力を得てしまいます。
その後、父の資料にあった数式をコナーズ博士に教えることで博士の歓心を得て、研究室に入れるようになります。
その数式を使うことで、ネズミに爬虫類のDNAを混ぜ、四肢が損失しても回復する力を与えることに成功します。
コナーズ博士は片腕がありません。オズコープ社から依頼された人体実験を拒否したことで解雇の危機に陥り、コナーズ博士は開発した薬を自らに注入します。
その結果、全身が爬虫類のリザードマンとなり、暴れまわります。
それをスパイダーマンが阻止する……というのがざっくりとした流れです。
うーん。いろいろな要素が盛り込まれていますが、どうも一貫性がないというのが素直な印象です。
主敵はコナーズ博士が変身したリザードマンですが、映画の半分以上が過ぎてからの登場はさすがに遅すぎます。
また主人公がコナーズ博士に近づいたのは父のことを知るためでしたが、そのことを本作の主人公は途中から忘れてしまったようです。
忘れるといえば、主人公が正義に目覚めるのは、叔父が通りすがりの強盗犯に殺されて、その犯人が腕に星の刺青があることを知ったからです。
その刺青を探すために悪党を捕まえていたのですが、これも途中から忘れ去られています。
冒頭で主人公がいじめられるシーンがあります。
これは主人公の劣等感を表しているのですが、この葛藤はスパイダーマンの能力を得ることであっという間に克服です。
ちなみにいじめっ子のスラッシュが体育館で看板を描いていた女性のペンキ缶を倒すことでピーターが怒るのですが、そもそも、そんなところで看板を描くのがどうかと。
逆恨みとしか思えません。
あとコナーズ博士が欠損した腕を回復させるために薬を自分に注射するのですが、うーん、それなら片腕にもっと劣等感を持たせないとなあと。
さりげなく小さなエピソードは交えていますが、基本的にはコナーズ博士は成功者であり、わざわざ危険な注射をする必然性を感じません。
いろいろと無理しているように思います。
製作費2億3000万ドルに対して興行収入7億5000万ドル。北米では2億6000万ドルと製作費を辛うじて上回るレベルにとどまりました。
世界的にはヒット作ですが、微妙な成績かも。
スパイダーマンシリーズではおなじみですが、原作者スタン・リーがカメオ出演しています。

スパイダーマンファンのために!
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第64期伊藤園おーいお茶王位戦第1局(藤井聡太王位VS佐々木大地七段) [将棋]

Wタイトル戦の第2幕が開けます。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/oui/

佐々木大七段のタイトル初挑戦は棋聖戦ですが、そこから連続してタイトル挑戦者となるのは、おそらく初めてではないかと思います。さらに両タイトルとも同じ棋士が保持し、Wタイトル戦になるのは、空前絶後となるかもしれません。
過去にWタイトル戦は多数行われて来ましたが、それは実力が飛びぬけた両者だから起こるべきして起こったものです。
佐々木大七段は実力者とはいえ、飛びぬけた存在ではありません。だからこそ、勢いのある棋士と言えると思います。
相手はタイトル戦無敗の藤井王位ですが、勢いのある佐々木大七段が風穴を開けることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/64/oui202307070101.html

ということで、将棋です。
後手番の佐々木大七段は横歩取りに誘導しますが、そこから飛車先の歩を交換しないという奇策に出ます。
類型のない序盤なので、藤井王位も慎重に時間を使います。誘導した佐々木大七段も時間を使っているので、早々に研究から外れたのだと思います。
横歩取りは先手有利で固まりつつありますが、まだまだ、鉱脈は残されていました。評価値も互角です。
二日目に入り、盤面左側での局地戦となります。
しかし藤井王位に誤算があったのか、評価値は佐々木大七段側に振れていきます。
ただ藤井王位はじっくりと金銀を盛り上げて厚く指し、自らは崩れません。
佐々木大七段は5四歩と突きあげて駒をほぐしますが、藤井王位は後手の手に乗って銀を前進させます。
ここからの藤井王位の攻めは流れるようでした。3五歩と金を釣り上げてから銀を刷り込みます。
長考もなくスラスラと進むので、お互いに想定していた局面ではないかと思ったのですが、気が付いたら藤井王位が必勝形になっていました。
佐々木大七段は最後に19分の考慮をしますが、手がないとみて投了しました。
佐々木大七段は敗れたとはいえ、先手藤井王位をここまで苦しめたのは見事だと思います。後手横歩取りに新しい鉱脈がでてきたかもしれません。

七番勝負第2局は13、14日の両日に兵庫県神戸市「中の坊瑞苑」で行われる。

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【書評】青柳碧人『赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。』 [書評]

赤ずきんを主人公とした奇想天外連作短編ミステリです。


赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。

  • 作者: 青柳碧人
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2020/08/19
  • メディア: Kindle版



収録されているのは4編です。それぞれ元となる童話があります。
ミステリのパターンを散らしく、それぞれ工夫を凝らしています。
『ガラスの靴の共犯者』はシンデレラ。
 細かい違和感が最後につながるエルキュールポアロ的な作品です。
 偶然がかなり重なる必要があり、かなり強引ではありますが。
『甘い密室の崩壊』はヘンデルとグレーテル。
 倒叙式で密室トリック。
 魔法がカギとなりますが、バカミスに近いかも。ちょっと笑ってしまいました。
『眠れる森の秘密たち』は眠れる森の美女
 これはパズル系統ですね。なかなかイメージが付かなくて大変でした。
『少女よ、野望のマッチを灯せ』はマッチ売りの少女です。
 マッチを擦ると夢が見られるのですが、これが麻薬のような効果を発揮して、マッチ売りの少女が大企業の社長になっています。
 囚われて牢獄に収監された赤ずきんが消えるのですが、このトリック?はさすがにないだろうと。

とまあ、奇抜な意欲作ではあるのですが、個人的にはすっきりしない感じです。
自分はミステリマニアではないので、そのあたりの感覚の差なのかもしれません。

奇抜な短編ミステリを体験したいひとのために!
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