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第94期棋聖第3局(藤井聡太棋聖VS佐々木大地七段) [将棋]

藤井棋聖の1勝1敗で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/

棋聖戦が始まるまで、佐々木大七段は藤井棋聖と2勝2敗の五分でした。
先手番は2勝1敗で1つ勝ち越し。後手番は0勝1敗で1つ負け越しです。
棋聖戦第1局と第2局の結果を加えると……
佐々木大七段の師匠は深浦康市九段ですが、対戦数が少ないとはいえ3勝1敗と藤井棋聖に勝ち越している数少ない棋士のひとりです。
棋風や得意戦法が似ているというわけではありませんが、師弟そろって藤井棋聖に善戦しているところが面白いです。
ちなみに深浦師匠とは第29期銀河戦で当たっており、師匠が弟子に貫禄を見せています。
棋聖戦第3局は「沼津御用邸東附属邸第1学問所」で開催されます。
沼津御用邸は明治26年に大正天皇(当時は皇太子)の御静養のために造営された御用邸で、昭和44年に廃止されるまで皇室が使われていたそうです。
タイトル戦が行わるのは初めてかと思います。
こうした名跡が舞台として選ばれるのは、個人的には素晴らしいことだと思います。
対局者は大変かと思いますが、ぜひとも、全国を飛び回って欲しいなと思います。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kisei/kifu/94/kisei202307030101.html

ということで、将棋です。
後手番の佐々木大七段は「秘策がある」ことを明言していますが、その秘策は角換わりの右玉だったようです。
右玉は独特の感覚が必要でスペシャリストが用いる印象がありましたが、バランス型が一般的になってきたので、佐々木大七段の棋風との相性が良いかもしれません。
ただ、序盤の時間の使い方は先後互角で、地下鉄飛車に構えた藤井棋聖45手目、異筋の9七桂に56分も長考してます。
秘策を出した側が先に長考する展開は変調ですし、苦しいです。おそらくは早々に想定局面から外れてしまったのだと思います。
本局はまさに藤井曲線という将棋になりました。
先手の玉が最前線に立ち、いかにも危ない格好ですが、そこは深い読みでカバーです。
最後は後手の攻めを完全に切らせた藤井棋聖が、107手まで完勝です。
これで2勝1敗となり、棋聖戦4連覇まであと1勝となりました。

五番勝負第4局は、7月18日(火)に新潟県新潟市「高志の宿 高島屋」で行われます!
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【掌編】齊藤想『場違い』 [自作ショートショート]

第21回小説でもどうぞに応募した作品その1です。
テーマは「学校」です。

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 『場違い』 齊藤 想

 亜妃がこの小学校に入学したのは、明らかに場違いだった。
 なにしろ、この中学校は都内の高級住宅街の真ん中にあるお嬢様学校だ。通っている生徒は大企業の重役の娘、芸能人の息子、さらには政治家の跡取りなと、いわゆるセレブの子供たちばかりだ。
 亜紀は貧しい母子家庭の娘だ。その亜紀がこの場違いな中学校に通うことになった理由は、母が富豪の住み込みの家政婦になったからだった。
 それまで、二人は生活保護で細々と生活していた。それがある日突然、富豪の執事がやってきた。モーニングに蝶ネクタイという正装だ。
 彼は、丁寧に、亜紀の母に頭を下げた。
「わが家の住み込み家政婦として、母娘を迎えたいと思います」
 理由は分からないが、母には予感があったようだ。
「時期がきたのですね」
「もうよい頃合いかと」
 こうして、亜紀と母は富豪の家に引き取られた。
 とはいえ、家政婦は家政婦にすぎない。あてがわれた部屋は母屋ではなく、日陰の離れだ。服もいままでのままなので、小学校にいけば亜紀のみすぼらしさは一目瞭然だ。
 富豪の娘は瑠璃子といった。亜紀は瑠璃子と一緒に小学校に行くよう執事から命じられた。
「お嬢様を、しかとお守りするのです」
 とは言われても、小学校における亜紀のヒエラルキーは最低だ。同級生はいかにもブランド物と思われる服装に身を固め、髪型もカリスマ美容師のお手製だ。百均の文房具を使っている児童も見たことがない。
 先生も何かが違う。言葉はハキハキして声も良くとおり、いつも背筋が伸びている。
 この学校は、全てが特別なのだ。
 亜紀は瑠璃子の身を守るどころか、ひたすら体を縮めて下校時刻を待つだけだった。
 執事は毎日聞いてくる。
「今日のお嬢様の様子はいかがですか?」
 亜紀はたどたどしく答える。
「いつもとお変わりありません。ほがらかで、お友達とも楽しそうに談笑されていました」
「どのような内容でしたか」
「それは……」
 亜紀は口ごもった。中には亜紀に話しかけてくれる同級生もいるのだが、瑠璃子からは門を出たら十メートル以内には近づくなと命令されている。
 執事は眉をひそめた。
「いけませんなあ、このままでは」
 亜紀は、ただ下を向くだけだった。
 しばらくして、亜紀は富豪の養子になることになった。
 富豪が母の仕事ぶりを気に入り、家族として迎えることになったのだ。部屋も離れから母屋に移された。庭を一望できる、二階の見晴らしの良い部屋だ。
 執事は、うやうやしく亜紀に言った。
「これもお嬢様のためです。いままでご苦労様でした」
 この日を境に、富豪の家から瑠璃子が消えた。富豪も執事も、まるで瑠璃子が最初からいなかったように、その名前を口にすることすらない。
 亜紀は瑠璃子の服を着て、小学校へ登校することになった。もちろんブランド物だ。
「あら、亜紀ちゃん」
 いままで視線すら合わせなかった同級生たちが、亜紀に声をかけてくる。
「ねえねえ、あの俳優さん、チョーかっこいいよね」
 セレブの子供たちといっても、会話は普通の小学生と変わらない。服装と持ち物が少し違うだけ。
 いままでの日常はなんだったのだろうか。
 しばらくして、同じクラスに転校生がやってきた。かつての亜紀と同じく、みすぼらしい服装をして、卑屈な表情をしている。
「瑠璃子といいます」
 彼女はそう自己紹介した。
 亜紀は理解した。全ては順番だったのだ。
 富豪たちは子供が生まれると貧しい家庭へ養子に出し、苦しい生活を体験させる。それを耐え抜いた子供だけ、呼び寄せられる。
 執事がつぶやいた「いけませんなあ」は、亜紀ではなく、瑠璃子に向けられた言葉なのだ。瑠璃子は失格の烙印を押され、里子に出されたのだろう。
 戻れるかどうかは、瑠璃子しだい。瑠璃子が耐え抜き、どこかの富豪に気に入られれば、元の世界に帰ることができる。
 これは瑠璃子のためなのだ。
 亜紀は嗜虐心を胸に秘めながら、瑠璃子に声をかけた。
「ねえねえ、あたなはどこから来たの?」

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最近の金融・投資【令和5年7月第1週】 [金融・投資]

〔先週の株式市場〕
プリゴジンの反乱は土日で収束したため株式市場に大きな影響は与えず。
自分の持株については、極めて平穏な値動き。2日上昇、3日下落。トータルだとプラス。
水曜日に入り、再び円安傾向が鮮明になる。株式市場的には上昇要因だし、企業収益も上昇すると見込まれる。
個人的には無理して是正せず、そのまま様子見をして欲しいなあと。
ちなみに自分の株式評価額ですが、6月は大幅に上昇しました。率にして8%ぐらい。
ちょっと上がりすぎ。いつかくる反動が不安になります。

〔第四北越ファイナンスグループの株主優待の話〕
地方銀行の株主優待は、地域特産品の優待品がもらえるのが嬉しい。
第四北越FGは100株で2500円相当です。
プリンを頼もうかと思ったけど、子供がアイスをイチゴのアイスとジェラートのセットを求めたので、それに決定。6個です。
地域特産品は、ちょっとした楽しみということで。
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