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【映画】スパイダーマン3 [映画評]

サムライミ監督のスパーダマン3部作の最終作ですが、監督の苦労がしのばれます。


スパイダーマン3 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2017/06/07
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監督の構想としては、敵を絞るつもりだったそうです。
ところが会社からスパイダーマンシリーズの人気ヴィランであるヴェノムを登場させるよう強要され、それで脚本が二転三転したようです。
さてストーリーですが、前作で葛藤を解消したピーターは順風満帆な生活を送っています。一方で、МJは俳優として壁にぶつかります。
二人は喧嘩してしまい、記憶を取り戻したハリーの策謀もあって、傷ついたピーターは悪い心にとりつく地球外生命体ヴェノムに乗っ取られてしまいます。
しかし、我に返ったピーターは自力でヴェノムを追い出します。
これが1本目の軸。
親友ハリーは、ピーターを親の仇だと信じています。そのため一度は襲いますが、逆襲されて記憶を失います。しかし、記憶を取り戻して、ピーターへの復讐を開始します。
これが2本目の軸。
3本目の軸がサンドマンです。
彼の正体は難病の娘を治療するためにお金を稼がなくてはならない脱獄犯で、強盗をするのですがそれをスパイダーマンに阻止されてスパイダーマンの排除を狙います。
サンドマンはピーターの叔父を殺害した過去を持っています。
4本目の軸がライバルカメラマンです。彼はスパイダーマンを撮影するカメラマンでしたが、その座をピーターに奪われ、恋人のグエンも取られ、スパイダーマンを恨むようになったことでヴェノムにとりつかれます。
最後は執事の言葉に目を覚ましたハリーが、ピーターの仲間になり、ともにサンドマンとヴェノムと戦います。
正直な感想を書くと、物語がとっちらかってまとまりがありません。
テーマとしては「赦し」かと思います。
ハリーはピーターを赦し、ピーターはハリーを赦し、サンドマンも赦します。
となると、ヴェノムは完全に余計です。
ライバルカメラマンもおそらくヴェノムに乗っ取らせる体として登場させた感じで、そのため彼は赦すことも赦されることもなく終わります(ピーターは彼をたすけようとしますが)。
最後の戦いも、サンドマンが爆弾で致命傷を負うのもよく分かりませんし、ヴェノムが高音に弱いという設定も唐突感があります。
いちおう伏線はあるのですが。
ヴェノムに乗っ取られたピーターがイケイケになるシーンはけっこう長いですが、痛々しくて見るのがちょっと辛かったです。
スパイダーマン4、5の構想もありましたが、サムライミ監督が満足できる脚本ができる環境にないことを理由に、降板しました。
そのため続編の製作は中止され、スパイダーマン3が最終作になりました。
それでよかったのかもしれません。
製作費は2億6千万ドル、興行収入は8億9千万ドルといずれもシリーズ最高になりました。

サムライミ監督スパイダーマンシリーズの最終作を楽しみたいひとのために!
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【書評】田丸雅智・編『ショートショートの缶詰』 [書評]

ショートショート作家が選ぶショートショート集です。


ショートショートの缶詰

ショートショートの缶詰

  • 出版社/メーカー: キノブックス
  • 発売日: 2016/05/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



かなりバラエティに富んだラインナップです。
江坂遊、高井信、太田忠司といったショートショート作家の作品もあれば、詩人の谷川俊太郎、ミステリ作家の泡坂妻夫、純文学の川端康成、江國香織など、意外な名前が並んでいます。
もちろん星新一も入っており、どの作品を選ぶのかなと思ったら『鍵』でした。
これも、なかなかしっとりとくる、星新一の充実期を代表する作品のひとつだと思います
個人的には安土萌の『”海”』が収録されているのがうれしかったです。
第5回星新一ショートショートコンテストで最優秀に選ばれた作品で、非常に印象的な風景が広がります。

ショートショートのいいとこどりをしたいひとのために!
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