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【映画】オールドボーイ [映画評]

2003年公開の韓国映画のリメイクですが、原作は日本漫画です。


オールド・ボーイ [Blu-ray]

オールド・ボーイ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2014/11/05
  • メディア: Blu-ray



主人公は酔っ払いで自堕落なビジネスマン。
妻とは離婚し、養育費の支払いを忘れ、娘の誕生日にも駆け付けません。
仕事はいい加減で、友人からも見放されます。
そうした主人公が、突如として監禁されます。
監禁中にテレビを見て、娘が成長していることを知ります。そして、自分を蘇らせようと努力します。
解放されたのは20年後。
主人公は自分がなぜ監禁されたのか、だれに監禁されたのかを知ろうとします。
という感じのストーリーです。
韓国版も面白いですが、配役の都合か、主敵が同級生の兄に見えないという欠点がありました。
米国版は年齢関係もしっくりきます。
評論家の評価は割れたようですが、ラスト寸前までは素直に面白いと思います。
グロテスクで無駄に暴力的なシーンも散見されますが、これはハリウッド的なエンタメということなのでしょう。
偶然知り合った医療関係の娘と、ステップを踏みながら、真相に近づいていきます。
監禁前はつれない態度だった友人も、主人公が変わった様子を見て、今度は協力的になります。
ただ、いま見るとラストが微妙かもしれません。
復讐劇にしてはあまりに大掛かり過ぎて、主敵の悲しみとのバランスが取れていない気がします。
儒教精神が強い韓国だからこそ、罠にはめられた主人公の嘆きがしっくりくるし、主敵の悲しみとのバランスが取れるといいますか。
これを解決する方法もあったと思いますが、するとまた別の面でひっかかる可能性がありますし。
いろいろと難しいところがあると思います。
結果として、製作費30百万ドルで、興行収入5百万ドルの爆死映画となってしまいました。

名作日本漫画を原作とする映画を楽しみたいひとのために!
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【書評】倉知淳『過ぎ行く風はみどり色』 [書評]

猫丸先輩シリーズの初長編です。


過ぎ行く風はみどり色【新版】 (創元推理文庫)

過ぎ行く風はみどり色【新版】 (創元推理文庫)

  • 作者: 倉知 淳
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 文庫



ストーリーはというと、金持ちで勇退した不動産会社の元経営者が離れで撲殺されます。
その犯人が分からないまま交霊会が行われ、今度は交霊会の最中に怪しげな霊媒師が殺害されます。
家族と霊媒師を否定する科学者たちがいるなかでの事件です。
そこから科学者が事件の真相を暴いている途中で、さらに科学者が毒殺されます。
さて、著書はあとがきで「これが最期の本になるかもしれないと思って、アイデアを全てつぎ込んだ」とあるように、アイデアのてんこ盛りです。
密室殺人、心霊現象、叙述トリック、手品に推理合戦と、サービス精神満点です。
かといって複雑なトリックがあるわけではなく、サブストーリーがこんがらがっているわけでもなく、物語は直線的で読みやすいです。
そうした直線的なストーリーラインに散りばめられた伏線が、ラストで一気につながり、解決する。
この開放感が本書の魅力です。
複雑なトリックを使わずに、プロットと構成でミステリを成立させる。
登場人物のさわやかさと言い、なかなかの傑作だと思います。

猫丸先輩シリーズファンのために!
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