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【映画】CUBE [映画評]

低予算ながら世界を震撼させた傑作SFサスペンスです。


CUBEキューブ Blu-ray

CUBEキューブ Blu-ray

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2016/02/17
  • メディア: Blu-ray



映画はわけもわからず立方体の部屋に閉じ込められた5人(ほかに冒頭で死亡した1名)から始まります。
元警察官、脱獄の名人、数学家専攻の学生、精神科医、建築家です。5人は状況を把握できないまま移動しますが、その先には罠が仕掛けられており、間違って足を踏み入れると死んでしまいます。
5人は力を合わせて、脱出を試みます。
本作は低予算ですが、ワンシチュエーションで心理的恐怖を高める手法で、wikiによるとカルト的人気を博しました。
SAWも基本的には同じ構造ですし、映画だけでなく小説でも模倣した作品が多数生み出されました。
それだけ革新的で、影響の大きい作品だと思います。
脚本もよく考えられています。
5人はそれぞれ特徴を持っています。全員で協力すれば、キューブの謎を解き、脱出する可能性があったのですが、それぞれの思惑や主義主張がありうまくいきません。
1人死に、2人死に、そして仲間割れしていきます。
元警察官がリーダー的役割を担いますが、これが権威主義的な男性で、次第に周囲を圧迫・威嚇するようになります。
キューブの恐怖だけでなく、仲間内の恐怖という二重の恐怖を演出しています。
キューブの謎についても、解けたと思ったらそれがダミー。
間違いに気が付いたときに、前半の細かい伏線の意味が見えてくる仕掛けです。
本作は製作費は37万カナダドルで、興行収入が50万ドルなので、とても成功したとは言えません。
しかし、後世への影響という意味で、大きな足跡を残した作品だったと思います。

革新的なサスペンス映画を見たいひとのために!
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【書評】渡辺清『海の城 ~海軍少年兵の手記~』 [書評]

著者の武蔵乗艦の経験を反映した軍記小説です。


海の城―海軍少年兵の手記 朝日選書209

海の城―海軍少年兵の手記 朝日選書209

  • 作者: 渡辺 清
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 1982/07/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



本書はあくまで小説です。
戦艦名も武蔵ではなく播磨になっています。しかし、内容は武蔵そのものです。
主人公は戦局が悪化しつるある昭和18年に武蔵に乗艦します。1年間の経験があるとはいえ新兵なので、ベテランの兵長が軍曹からの過酷なイジメを受けます。
甲板整列に呼び出され、大した理由もなく棒で尻を殴られます。
そうした私的制裁が原因で同年兵から脱走騒ぎが起き、さらには死者や自殺者もでます。
しかし、事なかれ主義に陥った上層部により事件は隠ぺいされ、原因を作った本人は軍事裁判にかけられることもなく訓戒ですまされます。挙句の果てには、進級するものもでる始末。
そうした艦隊勤務の憤りを、生々しい筆で描いていきます。
本書には戦闘シーンは一切なく、艦隊勤務の日常がつづられています。

リアルな艦隊勤務の日常を知りたいひとのために!
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