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【映画】スパイラルソウ/オールリセット [映画評]

大ヒットしたホラー映画、ソウシリーズの9作目です。


スパイラル:ソウ オールリセット Blu-ray

スパイラル:ソウ オールリセット Blu-ray

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2022/02/02
  • メディア: Blu-ray



今回のターゲットは警察官です。
冒頭から偽証をした警察官が何者かに捕らわれ、そして死のゲームによって地下鉄に挽かれて轢死します。
主人公はたたき上げの熱血ですが署内で浮いている警察官です。
原因は過去に警察官の不正を告発したからです。
そんな主人公に、エリート街道を走っている若手警官が相棒として付けられます。
捜査を開始しますが、署員は協力せず、なかなか進みません。
そうした中で、次々と過去に不正をした警察官が死のゲームによって血祭りにあげられていきます。
ソウシリーズらしく、グロテスクなゲームは健在です。思わず声を上げそうになりました。
単にグロテスクなだけでなく、主人公の背景や立場もしっかり考えられており、かといって複雑にもなりすぎず、サスペンスとしても十分に鑑賞できるレベルに達しています。
ミッドポイントは署長が殺されたシーンです。防犯カメラの映像に加工がされていることに気が付き、そこから五里霧中だった犯人が一気に絞られます。
そして、主人公は反撃にでますが、これもジグソウの罠で……という感じで何重にも仕掛けがほどこされています。
ジグソウは死亡しているため、今回のゲームを仕掛けるのは別人です。声も違いますし、ビデオ映像も少し方向性が違います。
それでも、ジグソウを象徴する渦巻きといい、ソウシリーズだなあと思います。
ホラー要素もありますが、映画はサスペンス要素が強いです。
主人公が悪戦苦闘しながら捜査を続けますが、その中でちりばめられた細かい伏線、エピソードが、ラストシーンで活きてきます。
また主人公の父親がミスディレクションの役割を果たしており、最後まで鑑賞者を悩ませます。
素直に楽しめる映画だと思います。

ソウシリーズのファンのために!
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【書評】井上靖『孔子』 [書評]

井上靖最後の長編で、野間文芸賞受賞作です。


孔子(新潮文庫)

孔子(新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/02/07
  • メディア: Kindle版



小説の主人公は架空の弟子、エンキョウです。
孔子の死後三十年ほどたち、孔子の言葉を残し、まとめようとする会議が開かれます。その会議に孔子の直弟子の生き残りであるエンキョウが招かれ、ときに孔子の生涯を語り、ときに孔子に関する質問を受け付けます。
あくまで小説でなので架空ではありますが、孔子の言葉の解釈を求められ、エンキョウの口を借りて、著者の考えが前面に出てきます。
孔子は諸国遊説を続け、楚の昭王と会談する機会を待ち続けますが、為されぬまま昭王が死去します。
夢破れた孔子は「帰えらんか、帰えらんか」との言葉を発して、故郷に戻り、後進の育成に励むことになります。
物語の最後で、旅を通じて、エンキョウは孔子が昭王に訴えたかったことを悟ります。
小説の主題は「天命」だと感じました。
天命には逆らえない。もし天命が納得いかないのなら、天命とケンカして、討ち死にするしかない。
エンキョウの悟りが井上靖の到達点かもしれないと感じました。

井上文学の集大成を堪能したいひとのために!
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