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【映画】オブリビオン [映画評]

トム・クルーズ主演のSF映画です。


オブリビオン [Blu-ray]

オブリビオン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2014/04/09
  • メディア: Blu-ray



舞台は近未来の地球です。
異星人との戦争に人類は辛うじて勝利したものの、核兵器による汚染で地球は住めなくなり、人類は土星の衛星タイタンへの移住を余儀なくされます。
そのエネルギーを得るために地球上の水に含まれる重水素(核融合の燃料)を収集するプラントが多数建築されています。
主人公は、そのプラントを守るドローンの整備、修理を行う作業員です。
小さな基地には本部からの中継役である恋人がいて、すべての指示は本部のサリーから出ています。
地球にはまだ異星人が生き残っており、地上には危険があふれています。
主人公は墜落した宇宙船内にいる生存者を発見しますが、なぜかドローンが生存者を攻撃します。
二人は異星人に捕まりますが、そこで異星人が実は人類で、サリーこそ侵略者であることを知らされます。
主人公たちは、実はサリーによって作り出されたクローンでした。
主人公は人類の側に立ち、サリーを相手に戦うことを決意します。
という感じの映画です。
素直に楽しめる映画だと思います。
設定がやや多いため冒頭のプロローグで一気に説明してくれるのはありがたいです。
観客目線の映画です。
前半で主人公と異星人(実は生き残った人類)とのアクションシーンで盛り上げてくれますし、ファン向けにトム・クルーズのバイクシーンも見せてくれます。
ストーリーも、恋人とのラブシーンを通じて体制側と思わせつつ、中盤で前提条件を一気に逆転させ、生き残った人類の代表に「お帰り指揮官」と告げられたシーンがミッドポイントになります。
そこから主人公はサリーとの戦いに集中します。
打倒サリーの最初の作戦が失敗するもの良いですが、ぜいたくを言えば2度目の作戦も失敗して、3度目の作戦で成功が理想でしょうか。
前半で登場したフライトレコーダーや、主人公のクローンも伏線としてきっちり回収されるなど、手堅い脚本だと思います。
映画は砂漠のシーンが多いですが、緑で終わるのも良いです。ほっとしますし、鑑賞後の余韻が気持ちよくなります。ただ、通じてみると、人間の葛藤が不足しているかな、という気もします。
製作費1億30百万ドルに対して、興行収入2億86百万ドルなので、ぼちぼちという成績でしょうか。

素直に楽しめるSF映画を鑑賞したいひとのために!
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第17期マイナビ女子オープン戦第1局(西山朋佳女王VS大島綾華女流二段) [将棋]

大島女流二段がタイトル初挑戦です。

〔中継サイト〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/thisseason/

大島女流二段は現在レーティング急上昇中です。和5年度の勝率は0.780です。1年でレーティングを約150も上げてライバルたちをごぼう抜きです。
勝利した相手には、福間香奈・加藤桃子・伊藤沙恵というTOP4の面々もおり、西山女王にも女流王位戦挑戦者決定戦で勝勢まで持っていきました。
令和4年度、令和3年度は勝率6割代だったので、プロの水に慣れたのか、令和5年度の快進撃は素晴らしいです。
令和6年度は、令和5年度の快進撃が勢いなのか、実力なのかが問われるシーズンになると思います。
さあ大島女流二段は、初タイトルに向けた白星を挙げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/17/mynavi202404090101.html

先手は西山女王で三間飛車を選択します。
大島女流二段はこの戦型を予想していたのか、早々と8四飛・7三桂・6四銀の形から速攻を仕掛けます。
3筋の歩交換から7四歩とあえて控えて打つあたり、準備していた作戦という雰囲気が濃厚です。
ただ、中盤にはいると、徐々に西山女王が力を発揮します。
西山女王が後手の攻め駒を押し返しますが、大島女流二段は敵陣に馬をつくります。
その馬で飛車を追われますが、守りの金を出動させて飛車にひもを付けたのが力強いです。
馬飛車交換となり金が守りから離れますが、角2枚の力で駒得を拡大させ、後手玉の船囲いを崩壊させ、自玉は鉄壁とまさに負けない将棋です。
115手まで、持ち時間を1時間以上残す西山女王の圧勝劇です。
大島女流二段としたら苦しい局面が続きましたが、1分将棋になりまで考え、1分将棋で10手近く指しているところに好感が持てます。

第2局は4月17日(水)山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われます!

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【書評】井上靖『楼蘭』 [書評]

西域小説8編に、国内4編の短編集です。


楼蘭 (新潮文庫)

楼蘭 (新潮文庫)

  • 作者: 靖, 井上
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2021/05/17
  • メディア: 文庫



有名なのは表題作の『楼蘭』ですが、主人公がなく教科書のような記述です。
西域の歴史から題材をとったのが『異境の人』(班超の伝記)、『宦者中行説』(中行説の伝記)、『褒娰の笑い』(美女である褒娰の笑いを見るために国を滅ぼしてしまう)です。
個人的に印象に残ったのは、日本国内の風習を題材にした『補陀楽渡海記』です。
徳を積んだ僧が海に繰り出して観音浄土を目指す(目指させられる)というものですが、同じような風習はかつて国内何か所かあったようです。
海に漕ぎ出した僧に待っているのは、もちろん死です。
主人公は渡海の決心がつかないまま、風習や慣例に従って、61歳になったときに渡海します。
たまたま助かるのですが、村人たちの手によって、ふたたび箱の中に封印されて、海へと送りだされます。
本音は嫌なのに、ベルトコンベアーのように海に押し出されてしまう人間社会の恐ろしさがあります。

井上靖の歴史短編を読みたいひとのために!
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