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【映画】宇宙戦争 [映画評]

HGウェルズ『宇宙戦争』を原作にした、トム・クルーズ主演の壮大なSF大作です。


宇宙戦争 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

宇宙戦争 スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray



映画は平凡なシーンから始まります。
主人公はレイですが、離婚し、週末だけ子供たちがやってきます。
しかし、子供たちとの関係は悪く、趣味・食生活・会話のすべてが合いません。
そんなとき、突如として宇宙人がやってきます。彼らは地下に隠してあった巨大な兵器に乗り、アメリカの都市を次々と壊滅させていきます。
地球上の兵器は、シールドに阻まれて届きません。
レイは子供2名を連れて逃げますが、宇宙人が次々と襲ってきます。逃げながらも、レイと子供たちはすれ違いを続けます。喧嘩もします。ちょくちょく、レイがいかに子供を見ていなかったのか示すシーンも挟まれます。
ピーナツアレルギーを知らなかったこと、子守唄を知らなかったこと、などなどです。
逃げ続けるレイに愛想をつかしたロイは戦いにために前戦に向かいます。レイは娘を守るため、地下に隠れます。
しかし、そこにも宇宙人はやってきて、レイと娘はついに捕まってしまいます。
宇宙人の咥内で手榴弾を爆発させるという奇策で脱出に成功しますが、宇宙人の進撃は止まりません。
しかし、突如として宇宙人は死滅します。その理由は……という感じの映画です。
基本的には宇宙人から逃げるだけですが、よくできた映画だと思います。
最初に主人公と子供たちの関係という葛藤が明瞭に示されます。その葛藤が解決するのはレイがロイの意思に任せたとき、そしてロイがレイチェルが守るために戦う……危険を引き寄せるオグルビーを殺害し、宇宙人を撃破した時です。
映像も圧倒的な強者である巨大な兵器と、逃げ惑う人間たちの群れの迫真の演技、さらに実写とCGを混ぜた巧みな映像で見せてくれます。
巨大な宇宙船というマクロの恐怖だけでなく、宇宙船の指先が迫りくるミクロの恐怖も出すことで、一本調子になることを防いでいます。Wの効果ですね。
原作は古典ですが、現代でも通用する古典であることを見せてくれたと思います。
製作費1億32百万ドルで、興行収入6億4百万ドルの大ヒット作品となりました。

古典SFを原作とした映画を堪能したいひとのために!
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第9期叡王戦第1局(藤井聡太叡王VS伊藤匠七段) [将棋]

伊藤七段が3度目のタイトル挑戦です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/

同級生でタイトル戦3回はかなり珍しいと思います。
何度もタイトル戦を戦ったライバルという存在はいますが、いずれも世代が異なり、まったくの同級生でタイトル戦で3回以上対戦は、羽生世代同士の羽生善治―森内俊之、羽生善治―郷田真隆、羽生善治―藤井猛ぐらいかなと思います。
しかしいずれもタイトル戦中は勝ったり負けたりで、2戦連続でスイープということはありません。
いまのことろ伊藤七段は藤井叡王に2戦連続スイープで、負けなかったのは持将棋1回だけです。勝ったことはありません。
さすがに3戦連続スイープとはいかないと思います。
さあ伊藤七段は、対藤井戦の秘策を用意しているでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/9/eiou202404070101.html

ということで将棋です。
先手は藤井叡王。本局はお互いに自信を持つ角換わりとなりました。
先後同型は先手優勢、待機戦術は先手の攻めを受けきるのは大変。ということで、後手の戦術は右玉が増えている印象がありますが、本局も後手伊藤七段は右玉を採用します。
後手陣は玉周りにいるのがヘルメットの金だけという見慣れない形ですが、この局面についても共通認識があるのか長考もなくスラスラと進んでいきます。
戦いが始まったのは、藤井叡王が飛車先の歩を切ったときです。この瞬間に、伊藤七段は玉頭方面から反撃にでます。
藤井叡王は先に桂得したものの、その桂馬を守りに打つ必要に迫られたため、駒得した感じはありません。
勝負を分けたのは、評価値的には94手目だったようです。ここで歩をなり捨ててから角を切れば優勢を維持できたようです。
伊藤七段は銀取りを優先しましたが、藤井叡王が角を取った手がそのまま後手玉を狙う絶好の飛車回りとなります。
以降は本当にあっというまです。
藤井叡王は後手玉の飛車の頭を叩いて位置をずらすと、ぐいぐい攻めこんで、107手まで伊藤七段を投了に追い込みました。
これで対伊藤七段戦は11連勝(1持将棋)となりました。

第2局は、4月20日(土)、石川県加賀市「アパリゾート佳水郷」で行われます!
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【書評】西尾明『コンピューターは将棋をどう変えたか?』 [書評]

コンピューターが将棋界に与えた影響を多くの図とともに説明します。


コンピュータは将棋をどう変えたか? (マイナビ将棋BOOKS)

コンピュータは将棋をどう変えたか? (マイナビ将棋BOOKS)

  • 作者: 西尾 明
  • 出版社/メーカー: マイナビ出版
  • 発売日: 2018/11/05
  • メディア: Kindle版



本書はマニアックな本です。
棋力の向上したコンピューターが、様々な人間の先入観を打ち崩してきましたが、それを実際の棋譜を用いて説明します。
大まかな流れというより、プロ向きの課題局面での一手や、有名な将棋で現れた新手、さらには定跡の進化の流れまで詳細に書いているので、これを理解するのは大変です。
かなりの高段者向けだと感じました。
矢倉戦における有名な羽生森内戦も紹介されており、将棋の歴史を振り返るには、良いかもしれません。
また、コンピューター同士の対戦も多数掲載されています。

コンピューター後の定跡の歴史を振り返りたいひとのために!
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