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【映画】インセプション [映画評]

ノーラン監督による夢の中を行き来する幻想的なSF映画です。


インセプション [Blu-ray]

インセプション [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2011/07/20
  • メディア: Blu-ray



主人公は夢の中を行き来することができる専門家です。
相手の夢に侵入し、様々な情報を盗みます。
その主人公が、サイトーからライバル会社の御曹司に「自分の会社を崩壊させる」よう意識づけるよう依頼されます。
報酬は、主人公の帰国。主人公は妻殺しの容疑を受けて帰国できず、子どもたちと離れ離れの生活を余儀なくされていました。
主人公はサイトーの依頼を受けて、仲間たちと作戦をたて、御曹司の夢へと侵入します。
ところが、主人公の深層心理にいる亡妻があらわれ、邪魔をします。
夢の中で夢を見て、その中にでさらに夢を見る……という感じでどんどん夢の奥へと主人公たちは侵入してきます。
という感じのストーリーです。
物語より、映像が抜群です。
夢の中なので現実にはないシーンが多数ありますが、ノーラン監督はCGを極力使わない主義なので、かなりのシーンがセットです。
階段がせりあがるシーンも実写ですし、重力がぐるぐる回転する廊下で戦うシーンも、実際にぐるぐる回るセットを作成して撮影しています。
不自然なCGが少ないだけに、映像美は圧倒的です。
「このシーンはこうやって撮ったのかな」とか想像しながら見ました。
映像だけでなく脚本もしっかり練られており、妻の死の真相が後半で明らかになりますが、それで主人公の罪悪感や、亡妻のセリフの意味が分かる仕組みです。
本作では、ダークナイト3部作で登場した俳優が大勢出演しています。
ある意味で、ノーラン一座なのかもしれません。

ノーラン監督が作り出す映像を楽しみたいひとのために!
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【書評】福島ますみ『ポリコレの正体~「多様性尊重」「言葉狩り」の先にあるものは~』 [書評]

ポリコレの危険性について警鐘を鳴らす本です。


ポリコレの正体

ポリコレの正体

  • 作者: 福田ますみ
  • 出版社/メーカー: 方丈社
  • 発売日: 2021/12/10
  • メディア: Kindle版



自分はポリコレの主義主張はともかく、極端な不寛容性に疑念を持っていました。
本書によると、ポリコレの源流は「マルクス学派」の亜種である「フランクフルト学派」であるとのこと。
フランクフルト学派中心人物であるマルクーゼに『純粋寛容批判』という論文集があり、そこで不正義である保守派には徹底的に非寛容であるべき、という論がなされているという。
「目的は手段を正当化せず」というのが自由民主主義の基本原則ですが、これを真っ向から否定しているようです。
なるほど、と思いました。確かに手法が共産主義に近いのかもしれません。
本書は第1章でアメリカの異常ともいえるポリコレ状況をレポートします。
ポリコレに反対する言論は暴力・指弾によって奪われ、実質的に言論の自由は崩壊して言葉狩りが横行し、ポリコレという名前の全体主義が社会を覆っていく様子が描かれています。
第3章のBLM運動でも述べられていますが、激しい暴力に疑念を呈しただけで謝罪に追い込まれる社会は異常です。
また「政治的正しさ」の前に「事実」が覆い隠されていることも述べられています。
黒人容疑者が白人警官に制圧され、死亡した事件がBLM運動の発端ですが、実は黒人容疑者以上に白人容疑者が制圧時に死亡しており、さらに警察官が黒人容疑者に殺害される可能性は、黒人容疑者が死亡する可能性の18倍にも及ぶそうです。
結局のところ、「ある種の神話」が活動家に利用されたのだな、という思いを持ちました。
第4章はでLGBT運動への疑念です。
この中で自分が気になったのが、LGBT法案に反対した市議が差別主義者として指弾され、辞職要求が殺到した事件です。
異論を認めない不寛容なポリコレの問題性が如実に表れています。
当然にここでも「政治的正しさ」が優先され「市内においてLGBTが差別されたとの報告はない」との市議が指摘する事実は抹消されます。
「米国で何世代にも渡って地道に続けられてきた文化マルクス主義運動の結果であり、”革命後の風景”なのだろう」との一文には考えされます。
オールウェル『1984』では主人公は言葉を抹消する作業に従事していています。なぜかというと、言葉を消せば思考することもできなくなるからです。
この1984の世界が、現在進行形で進んでいるのを目撃しているのかもしれません。

ポリコレについて考えたいひとのために!
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