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【映画】ジョーカー [映画評]

バットマンシリーズのスピンオフですが、絶望的に暗い話です。


ジョーカー [Blu-ray]

ジョーカー [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2020/08/05
  • メディア: Blu-ray



舞台はもちろん悪のはびこるゴッサムシティで、富豪で有力者のウェイン家も登場します。
ですが、他のバットマンシリーズとの関連はなく、バットマンも登場しません。
主人公はコメディアンを目指す中年男性です。認知症の気配がある母親と生活しています。緊張すると笑ってしまう奇病に苦しんでいます。
彼の職業はピエロですが、安定した仕事があるわけでもなく、低所得者用のアパートに住んでいます。しかし、ヘビースモーカーでタバコは止められない。
彼は帰宅途中の地下鉄で、ウェイン家が経営する会社の会社員に絡まれ、侮辱されて3人を撃ち殺してしまいます。
その後の彼は暗転を続けます。
予算削減で精神科医、事務所を首になる、母親からは「父はトーマス・ウェイン」と言われていたのに実は単なる妄想であることが判明する、母親を殺害する、コメディの舞台に出演できたのに、笑い出す奇病のせいでまともにネタが披露できない、その映像がテレビで流れますが笑いものにされるだけだった、過去のわだかまりから元同僚を殺してしまう、会社員殺人事件で警察には追われる……。
このどうしもようない暗さは、ダンサーインザダークを彷彿とさせます。
その一方で、ピエロによる殺人は大々的に報じられて、社会の下層に追いやられている人々の蜂起を促し、大規模なデモが発生します。
こうした状況で、主人公は大物司会者の番組にゲストとして呼ばれます。
希望を持つ主人公ですが、実は笑いものにするためだけだった……という感じのストーリーです。
いやあ、本当に暗いです。
社会的に恵まれないひとたちの魂の叫び、成功をつかめないどうしようもな怒りを感じます。
ラストの暴動などBLM運動を彷彿とさせますが、日本的感覚として、そうした怒りを社会的に恵まれているひとにぶつけるのはどうなんだろうと思ってしまいます。
彼らも善良な市民のひとりのはずなのに。フランクフルト学派のようなにおいを感じてしまいます。
監督は「アーサー・フレックという個人がいかにしてジョーカーという悪役へ変遷するかを描く人物研究めいた作品である」とのことですが、おそらく社会派の映画として見る人が多いと思います。
ホアキンフェニックスの怪演が素晴らしいですが、少なくとも、素直に楽しめる映画とは違うと思います。
こうした映画が製作費5500万ドルに対して、興業収入10億7千万ドルを超えるヒットになるところに、いろいろと考えてしまいます。

ブラックな映画を見たい人のために!
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