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第49期棋王戦第3局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]

藤井棋王の1勝1持で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

藤井棋王の記録で注目されているのは、歴代勝率記録の更新なるかどうかです。
歴代最高は1967年の中原誠で47勝8敗の0.8545です。
数々の記録を打ち立てている藤井棋王ですが、いまのところ最高は2018年の0.8490で惜しくも歴代第3位です。
棋王戦が始まった段階33勝5敗の0.868と歴代最高勝率を上回っていますが、なにしろ6勝1敗ペースを続けないと落ちてしまいます。
記録更新のためには負けられない戦いが続きます。
さあ藤井棋王は、記録更新に向けた大きな1勝を上げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202403030101.html

ということで、将棋です。
藤井棋王の先手で始まり、本局も角換わりとなりました。角換わりというと、第1局目に登場した後手番伊藤七段の持将棋定跡が衝撃を与えました。
本局では、その研究を警戒したのか、藤井棋王が5八金と旧式を採用したため前局とは異なる展開へと進みます。
この5八金形の弱点は角の打ち込みの隙が多いことです。
本局でも伊藤七段が角打ちから馬を作り、この馬が働くかどうかが勝負になります。
評価値的に勝負を分けたのは、70手目の2三金です。
藤井棋王の3五一点突破狙いのような角打ちに対して正面から受けて立つ勇者の一手ですが、大さばきになってみると先手優勢になっていました。
後手からすれば角をただで取れそうだし、8一飛車も受けに効いています。
しかし、ここからの藤井棋王の寄せは鮮やかでした。
3一角打ちから20手もしないうちに、後手を投了まで追い込んでしまいます。
藤井棋王といえば長考派で、以前はタイトル戦で1分将棋に追い込まれるのも度々でしたが、本局では持ち時間も絶えずリードして、タイムマネジメントも完璧です。
もはや手の付けられない強さと言っても良いかと思います。

これで藤井棋王の2連勝となり、防衛まであと1勝と迫りました。
棋王戦第4局は、3月17日(日)に栃木県日光市「日光きぬ川スパホテル三日月」にて行われます!
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第50期岡田美術館杯女流名人戦第4局(西山朋佳女流名人VS福間香奈女流四冠) [将棋]


西山女流名人の1勝2敗で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

福間女流四冠は、今年の1月1日に結婚を発表しました。
相手は元奨励会三段の福間健太氏で、子供ネット将棋教室を開催しています。
奨励会は平成27年に年齢制限で退会しているので、もう7年も前になります。第55回奨励会ではあと1勝で昇段という状態から痛恨の3連敗。次の第56回奨励会では6勝12敗と大きく負け越し、ここで無念の退会となりました。
奨励会三段リーグは通算で勝ち越しているので、プロ棋士になれる実力はあったはずです。
ただ、少し運が足りなかった。
そういう印象があります。
福間健太氏の兄も元奨励会員で、将棋バーを経営しています。
将棋カップルの誕生が、また、新たな力を生み出してくれることを期待したいと思います。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/50/joryumeijin202402250101.html

ということで、将棋です。
先手が福間女流四冠、後手が西山女流名人です。
西山女流名人の向い飛車に対して、福間女流四冠は中飛車から居飛車に振りなおす福間女流名人のみが採用しているオリジナル作戦を採用します。
福間女流四冠は、西山女流名人が穴熊を目指しているのをみて、角道をあけないまま右銀を繰り出す急戦をしかけます。
47手目の局面をみると、後手桂得でと金もありますが、銀がそっぽなのでいい勝負のように見えます。
その後、逆に駒得になった先手福間女流四冠が角2枚で後手の龍を押し返し、金と成桂とと金の交換をして局面をすっきりさせたところで先手優勢がはっきりしてきたと思います。
その後、後手陣の急所である7四桂打ちが入ってからは、粘るのが難しい形勢になったと思います。
121手まで福間女流四冠が勝利し、これで3勝1敗で女流名人に復位を果たしました。

福間女流名人おめでとうございます!
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第49期棋王戦第2局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]

1持将棋で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

持将棋と千日手の違いは、前者が引き分けに対して後者は指しなおしになることです。
タイトル戦以外だとすぐに対局が始まるのであまり影響はありませんが、タイトル戦の場合は持将棋は1局として成立するのので、第1局は引き分けで本局が第2局となります。
千日手の場合は何回指しても第1局です。
当日指しなおすのか、後日になるのかは成立時間やタイトル戦によっていろいろ規定が異なり、千日手の可能性がでてくると立会人が対局規定を確認するのが恒例行事です。
持将棋というと、2020年叡王戦で、2局連続の持将棋が話題となりました。
プロ棋士の多くは居飛車党ですが、居飛車はお互いに攻め駒を責める展開になりやすく、対抗形と比べると入玉しやすい傾向にあります。
本局の先手番は伊藤七段です。
さあ2局連続の持将棋はあるのでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202402240101.html

ということで、将棋です。
第2局も先後を入れ替えての角換わりとなりました。
途中から前例を離れますが、お互いに了承済みの展開なのか、長考をすることなくスラスラと進みます。
60手目までの局面を見ると、後手1歩得ですが陣形がバラバラで、アマチュア的には後手が勝てるビジョンが見えてきません。
しかし評価値は互角です。
初の長考は68手目です。長考の末に放たれた8六歩を見た伊藤七段も長考に沈みます。
お互いにここで想定から外れたようです。
受けに回る藤井棋王の守備駒は銀と角2枚です。銀はともかく角2枚は守備駒としての適性が高くありませんが、さらに守備駒に向かない桂馬も投入し、気が付いたら先手の攻めを跳ね返しています。
反撃に入ると藤井棋王は早かったです。
守備駒の角を飛び出してスナイパーになると、角の効きを活かして先手玉を一気に寄せてしまいました。
94手までの完勝劇です。藤井棋王の強さが光った一局だと思います。

第3局は3月3日(日)に新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行われます!
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第35期女流王位戦挑戦者リーグ最終一斉対局 [将棋]

紅組で4連勝の大島綾華女流初段が、初タイトル挑戦を目指します。

〔棋戦表〕
https://www.shogi.or.jp/match/jo_oui/35/honsen.html

紅組と白組に分かれていますが、白組は加藤桃子女流四段が優勝を決めています。
渡部愛女流四段が残留を決めており、残り1枠の残留を4人で争います。
そして迎えた最終戦の結果は以下のようになりました。
[白組]
 加藤桃子 女流四段  ○―●  松下舞琳女流初段
 渡部 愛 女流三段  ○―●  香川愛生女流四段
 小高佐季子女流初段  ○―●  野原未蘭女流初段

優勝者は加藤桃子女流四段
残留者は渡部愛女流三段と、最終戦を制した小高女流初段です。
陥落は松下女流初段、香川女流四段、野原女流初段です。来期の巻き返しに期待です。

紅組は大島綾華女流初段が4連勝と星を伸ばしていますが、最終戦で西山女流四冠に負けると4-1で3人が並ぶ可能性があります。
同星が並んだ場合は直接対決が優先され、それでも同星なら前期成績が優先されます。
そのため大島綾華女流初段が勝てば5連勝で文句なく優勝ですが、負けると伊藤沙恵女流四段が勝てば伊藤女流四段優勝、伊藤女流四段が負けると西山女流四冠の優勝です。
そして迎えた最終戦の結果は以下のようになりました。
[紅組]
 大島綾華女流初段  ●―○  西山朋佳女流四冠
 伊藤沙恵女流四段  ○―●  中井広恵女流六段
 千葉涼子女流四段  ●―○  山根ことみ女流二段

大島女流初段は西山女流四冠相手に何度も勝勢になりながら決めきれず、金星を逃しました。その結果、最終戦に白星を飾った伊藤女流四段が逆転で優勝を決めました。
残留者は大島女流初段と西山女流四段。
陥落は山根ことみ女流二段、中井広恵女流六段、千葉涼子女流四段となりました。

挑戦者決定戦は3月15日に行われます!
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第82期順位戦【終盤戦】 [将棋]

※◎○▲は開幕前の予想です。
〔A級〕 ◎永瀬拓矢王座 ○豊島将之九段 ▲渡辺明九段 
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82a/index.html
ラス前まで終わって、挑戦者も降級者も決まらない大激戦。最終局で挑戦も降級も絡まないのは渡辺明九段だけです。
挑戦権レースに残っているのは、豊島将之九段・永瀬拓矢九段・菅井竜也九段の3人ですが、豊島菅井の直接対決があります。最近の菅井九段の調子からすると、豊島九段の挑戦濃厚です。菅井九段が勝利するとプレーオフです。
残留争いを盛り上げた最大の功労者は中村太地八段です。だれもが残留は厳しいと思っていましたが、ここまで4勝4敗と残留濃厚です。

〔B級1組〕◎近藤誠也七段、○糸谷哲郎八段 ▲羽生善治九段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b1/index.html
最終戦を前にして千田七段がA級昇級決定。期待されていた若手が順番にA級に到達してきています。残り1枠は増田康宏七段、大橋貴洸七段の争いです。中盤まで独走していた増田七段は踏みとどまれるかどうかです。
降級は3名中2名は決定。横山泰明七段、木村一基九段は残念。残り1枠は5勝勢の争いで、ここまで降級ラインが上がるのは初めてかもしれません。

〔B級2組〕◎高見泰地七段 ○丸山忠久九段 ▲村山慈明七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b2/index.html
最終戦を前にして大石直嗣七段が8勝1敗でB級1組昇級決定です。残り2枠を7勝2敗の4人が争います。数字的には村山慈明七段、松尾歩八段にも可能性はありますが、ちょっと難しいかな、という印象です。
降級点はすでに7人中6人が決まっています。2度目の降級点で陥落が4人か5人という大量降級です。

〔C級1組〕◎伊藤匠五段  ○出口若武六段 ▲三枚堂達也七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c1/index.html
最終局を前にして服部六段が昇級決定です。9連勝ですから立派です。順位の不利をものともせず、C級2組からの連続昇級です。
自力昇級の目が残っているのが、古賀悠聖五段と伊藤匠七段。出口若武六段、都成竜馬七段、斎藤明日斗五段の3人はキャンセル待ちですが、可能性があるのは出口六段ぐらいまででしょうか。

〔C級2組〕◎佐々木大地七段 ○本田奎五段 ▲徳田拳士四段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c2/index.html
昇級は1敗勢3人が走り、2敗勢はキャンセル待ち。レーティング上位の佐々木大地七段は今期も残留確定。八代弥七段は2人のキャンセル待ちなので厳しい。順位戦の不思議さです。
棋界最年長の青野照市九段は最終戦を待たずに引退決定です。対四間飛車に対する急戦でも有名ですが、なにより横歩取り青野流に名前を残しています。いままでお疲れさまでした。
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第17回朝日杯将棋オープン戦(準決勝・決勝) [将棋]

今期も藤井聡太八冠がベスト4に名前を連ねました。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/asahi/index.html

朝日杯は第17回ですが、全日本プロトーナメントを発祥とする歴史ある棋戦です。
第1回全日本プロトーナメントは1982年に開催。第20回まで続き、第21回から第25回までは朝日オープン将棋選手権に名称が変更されます。
決勝戦は番勝負で行われ、第8回までは3番勝負、それ以降は5番勝負になっています。持ち時間も3時間ありました。
2007年から朝日杯将棋オープン戦と名称が変更されるとともに、持ち時間40分の早指し棋戦へと衣替え。決勝も1番勝負となりました。
優勝賞金750万が公開されている珍しい棋戦です。朝日新聞の経営状況からするとなかなかの負担だと思うのですが、特別協賛の三井住友トラスト・グループの力が強いのかもしれません。
もっと特別協賛の名前を前面に出してほしいところです。
さあ今年の優勝賞金を獲得するのはどの棋士になるでしょうか!

【準決勝】
[○藤井聡太八冠 — 糸谷哲郎八段●]
 後手糸谷八段の作戦は雁木からの袖飛車という異彩を放つ戦型です。
 序盤は互角以上に戦いますが、終盤で8五桂という打ち得にように見える桂馬が実は悪手で、ここから一気に藤井八冠が優勢から勝勢へとなだれ込みます。
 藤井八冠、強しです。

[○永瀬拓矢九段 — 西田拓也五段●]
 振り飛車党の西田五段は四間飛車を採用。先手の居飛車穴熊に対して、後手西田五段は金銀を中央に集めての独創性あふれる形です。
 後手玉は先手の猛攻になんとか入玉を果たしますが、点数が足りません。
 219手の長手数となりましたが、永瀬九段の貫録勝ちです。

【決勝】
[○永瀬拓矢九段 — 藤井聡太八冠●]
 永瀬九段の作戦は意表を突く矢倉でした。藤井八冠はバランス形で、早さ指し棋戦らしく序盤早々に乱戦の様相を呈します。盤面全体を使う複雑な戦いですが、永瀬九段は藤井八冠相手に互角に戦います。
 永瀬九段の攻めが刺さり出したのは97手目ころからです。お互いに秒読みです。
 109手目に桂馬のくさびを入れてから龍を切りますが、この龍を取り返す余裕がないところが後手の辛いところです。その後もリードを広げ、129手まで永瀬九段が初優勝を飾りました。
 この1敗で、藤井八冠は年度勝率記録更新が黄色信号となりました。
 永瀬九段おめでとうございます。
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第73期王将戦第4局(藤井聡太王将VS菅井竜也八段) [将棋]

藤井王将の3連勝で迎えた第4局です。

〔中継サイト〕
https://mainichi.jp/oshosen2024

第4局の会場は、東京都立川市の料亭「オーベルジュときと」です。
オープンは2023年4月なので、まだ1年も経っていません。
この若い料亭が、対局の会場として名乗りを上げるのも異例ですし、選ばれるのも異例です。
それだけ評価が高い施設なのかもしれません。
宿泊施設はあるものの4室と少なく、ひとへや106㎡はあるものの収容人数は限られるので、スタッフは近隣のホテルに分散して泊まるのか、都内なので日帰りかもしれません。
こうした小さな施設でも対局場として選ばれる実績が増えれば、運営の経験値も増していき、さらに対局場の間口が広がるかもしれません。
新しいチャレンジを、応援したいと思います。

〔棋譜〕
https://mainichi.jp/oshosen2024/240207.html

ということで、将棋です。
本局の菅井八段の作戦は、角交換振り飛車からお互いに馬を作りあう乱戦です。
圧倒的王者に対して、力勝負を挑みました。
お互いに小刻みに時間を使う展開ですが、藤井王将は金を寄せて玉を固めていまきます。自陣の馬が強くて、打ち込むすきがありません。
玉の堅さで劣る菅井八段は馬を動かして攻めの糸口を探そうとしますが、先手に竜を作られて自陣に引かれると、先手陣は鉄壁です。
優勢になってからの藤井王将は手堅いです。
玉頭方面を厚くして、後手の手を消して、丁寧に優勢を拡大していきます。
ここまで手も足も出ない菅井八段は始めてかもしれません。
これはもう、藤井王将の強さ、大局観の良さを褒めるしかありません。

121手まで藤井王将が完勝し、これで4連勝で王将防衛を決めるとともに、タイトル戦20連勝の新記録を達成しました。
藤井王将おめでとうございます!
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第49期棋王戦第1局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]

伊藤匠七段が竜王戦につづいての挑戦です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

竜王戦では伊藤匠四段は4連敗と一方的に押し出されました。
しかも優勢な局面はほとんどなく、まさに完敗です。
竜王戦は2日制持ち時間8時間ですが、棋王戦は1日制の持ち時間4時間と条件が大きく異なります。
羽生善治が王座戦19連覇するなど持ち時間5時間で圧倒的な成績を残したように、棋風等によって持ち時間の得意不得意はあるかと思います。
藤井棋王は長考派で持ち時間が長いほど強い傾向にあります。
さあ伊藤四段は、持ち時間4時間のタイトル戦で、藤井棋王の牙城を崩すことはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202402040101.html

ということで、将棋です。
先手は藤井棋王で角換わりとなりました。
後手待機戦術から先手が歩を突き捨てて仕掛け、後手は6三角と打って桂頭を守る。その後も☗千田翔太七段-☖羽生善治九段戦の手順をなぞります。
これが、いまのテーマ図なのかもしれません。
前例から離れたのは62手目ですが、以降もお互いに了解済みなのか82手まで長考もなく進みます。
始めて藤井棋王が長考に沈んだのは83手目です。
先手の玉頭方面は後手の攻め駒を一掃して成り駒も待っているので、玉が動けば入玉ほぼ確定です。
あとは後手の入玉を阻止するのか、それとも後手の点数を削りにいくかです。
ただ長考で無理と思ったのか、以降は考慮時間をこまめに使いつつ、お互いに入玉を目指し、そのまま持将棋となりました。対局を行う。開幕局が引き分けとなる異例の幕開けとなった。タイトル戦での持将棋は、2020年第5期叡王戦(永瀬拓矢叡王VS豊島将之竜王名人※両者とも当時)以来となります。
後手番の伊藤七段としたら次局が先手番になるので作戦成功かと思いますが、先手番の藤井棋王としたら悔しい持将棋です。
今後の角換わりは、先手が後手の持将棋を防げるのかがテーマになるかもしれません。

棋王戦第2局は2月24日に金沢市「北國新聞会館」で行われます!
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第50期岡田美術館杯女流名人戦第3局(西山朋佳女流名人VS福間香奈女流四冠) [将棋]

福間女流四冠の2連勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

女流名人戦は第3局までが定番の会場となっています。

 第1局 箱根町・岡田美術館 開化亭
 第2局 出雲市・出雲文化伝承館 松籟亭
 第3局 野田市・関根名人記念館

第4局と第5局は東京・関西将棋会館のパターンが多かったですが、今期は第4局まで会場が用意されています。
これは西山・福間戦になれば第4局以降にもつれ込む可能性が高く、第4局になれば決着局になる可能性が高まります。
会場としてもやはり決着局の方が価値が高いので、そうした期待も込められているのかなと想像します。
第4局は「宮島弥山大本山 大聖院」が予定されています。観光地宮古島にある西暦806年(大同元年)開基の伝統ある寺院です。
宮古島は平家ともなじみが深く、平家物語でも何度も登場します。重要文化財である梵鐘と木造不動明王坐像があり、梵鐘には平宗盛が寄進した旨の銘があるそうです。
大聖院で対局された記憶がないので、もしかしたら始めてかもしれません。
ただここまで西山女流名人は連敗しており、あとがありません。
さあ西山女流名人は第4局「宮島弥山大本山 大聖院」での対局実現に向けて、反撃となる白星を挙げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/50/joryumeijin202402040101.html

ということで、将棋です。
先手は西山女流名人。ぱっと見は相振り飛車の出だしから、福間女流四冠は突如として居飛車を宣言します。
2五歩まで突いて居飛車というのはかなり異様で、あえて作戦名を付けるとしたら陽動居飛車でしょうか。
後手陣は左銀も3三に押し込まれて角は使いにくいし、2五歩と余計な空間があるので玉を左側に囲っても堅くなりません。
居玉のまま開戦ですが、ぱっと見は後手勝ちにくいです。おまけに先に銀損をしての攻めです。
さすがに作戦に無理があったのか、評価値は徐々に離されます。
一瞬だけ互角に戻った瞬間はあるものの、玉の安定度が段違いで、最後は西山女流名人の鮮やかな寄せが決まりました。

これで1つ返して1勝2敗です。
第4局は2月25日(日)に広島県廿日市市「宮島弥山大本山 大聖院」で行われます!
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第73期王将戦第3局(藤井聡太王将VS菅井竜也八段) [将棋]

藤井王将の2連勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
https://mainichi.jp/oshosen2024

菅井八段は「熱い棋士」というイメージがあります。
過去に電王戦に出場したことがあります。
結果は負けましたがAIに追いつく気満々でしたし、当時の若さもありますがこう違和感なく発言できるのは菅井八段だけだと思います。
同門弟子にもツィッターで叱咤激励したことも話題になったことがあります。
今回の王将戦前インタビューでも、藤井王将の詰将棋能力を認めながらも、読みの力を恐れることなく、直感を信じて対抗するような発言をしています。
実際、菅井八段の将棋は、評価値がかなり上下することが多いです。お互いに読み切れない部分を、直感で指し、ときには正解し、ときには相手に間違えやすい局面を突きつけるなどしている結果なのかなと思います。
ただ、今回の王将戦では、持ち時間が長いせいか藤井王将が盤石の構想で挑戦者を寄せ付けず、菅井八段の良さがでるような局面になっていない印象です。
前局も1日目の時点でかなり評価値が藤井王将側に振れていたので、こうなるといかに菅井八段の勝負術をもってしてもいかんともしがたいのかもしれません。
ここまで菅井八段は連敗で、かなり苦しくなっています。
さあ本局では菅井八段の直感を活かせる局面に持っていき、反撃ののろしを上げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
https://mainichi.jp/oshosen2024/240127.html

ということで、将棋です。
本局の菅井八段は愛用してきた三間飛車ではなく、角交換振り飛車を採用します。
角交換形になるとお互いに穴熊には組みにくいです。
お互いに低い陣形のまま、手損をしている先手は早めに7五歩としかけていきます。
36手目に藤井王将は7四歩と打って銀を引き込んでから8六歩とついていきます。
菅井八段は7五飛車と事前に当たりから避けますが、5七角と打ち込まれた時点ですでに後手ペースになっています。
気が付いたら居飛車ペースというと藤井王将の序盤感覚の卓越さが光ります。
厳しい局面になった菅井八段ですが、後手陣に隙を作ろうとあの手この手を使い、5六角という奇手も放って局面の複雑化を図ります。
しかし、藤井王将は乱れません。
最後は歩の攻めが止まらなくなり、菅井八段は後手玉に迫るところか後手陣に侵入しているのはそっぽの金のみという局面で投了しました。
駒割は金得ですが、局面としては大差です。なによりと金攻めが止まらないうえに攻め合いも望めません。菅井八段にとってはつらい終局図です。
これで藤井王将は3連勝となり、王将防衛まであと1勝と迫りました。

王将戦第4局は2月7、8両日、東京都立川市の「オーベルジュときと」で行われます!

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