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第79期名人戦第5局(渡辺明名人VS斎藤慎太郎八段) [将棋]

渡辺名人の3勝1敗で迎えた第5局です。

〔中継サイト〕
http://www.meijinsen.jp/

斎藤八段は、自他ともに認める詰将棋愛好家です。
解くのも得意なら、詰将棋作家としても活躍しています。
その作風は、個人的な印象では、詰将棋らしい作図だと感じます。
古くから将棋の鍛錬として詰将棋は解かれてきましたが、あまり技巧的過ぎる作品は実戦には繋がらない、というのが概ねの共通認識のようです。
谷川浩司もどこかのコラムで、詰将棋に没頭しなければもう少しタイトルを取れていたかもしてない、という主旨のことを書いていた記憶があります。
将棋界には伊藤完寿の『将棋図巧』という難解な詰将棋を全部解ければプロになれる、という話があります。
これは技術を磨くのではなく「将棋がどれだけ好きか試す」意味があるそうです。
さあ詰将棋愛好家の斎藤八段ですが、本局では詰め将棋能力を発揮する場面があったでしょうか!

〔棋譜〕※棋譜はロック将棋さんから
https://6shogi.com/79meijinsen5/

ということで将棋です。
後手番の渡辺名人が角換わりを拒否して雁木模様に進みます。
先手の斎藤八段は玉をコンパクトに囲い、右四間飛車から1日目の午前中から仕掛けます。
歩を突き捨ててから桂馬を跳ねるのが呼吸で、スピードアップの手筋です。
お互いに引かず、真っ向から切り合います。
攻め込まれた渡辺名人も控えの桂で反撃の構えを取りますが、先手の斎藤八段がいち早く5三に成桂を作り、攻めが一歩早そうな雰囲気です。
勝負の分かれ目は封じ手だったと思います。
渡辺名人が金の頭を歩で叩いた手に対して、誰もが予想する同金ではなく、斎藤八段は8九金と引きました。
安全策だったようですが、結果としてこの1手でいままでの優位を不意にしてしまいました。
さらに4四歩から攻め立てますが、中央の馬が強く、厳しい情勢です。
最後は下駄を預けた斎藤八段に対し、渡辺名人はきっちり先手玉を詰ましに入った段階で斎藤八段は投了しました。

これで4勝1敗となり、盤石の態勢で渡辺名人が防衛を果たしました。
渡辺名人おめでとうございます!
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