SSブログ

【書評】天狗太郎『昭和「将棋指し」列伝』 [書評]

大山康晴十五世名人と同時代人の著者による昭和前半を彩った棋士伝です。


昭和「将棋指し」列伝

昭和「将棋指し」列伝

  • 作者: 天狗 太郎
  • 出版社/メーカー: 時事通信
  • 発売日: 1993/09
  • メディア: 単行本



なにより貴重なのは、明治生まれの棋士たちの伝記です。
著者が長老たちにインタビューをしたのは昭和39年です。
関根金次郎、坂田三吉は故人でしたが、両名を知っている棋士が存命で、貴重なインタビューが収録されています。
坂田三吉はものすごく丁寧な人柄だったそうですが、息子との関係があまりよろしくなかったようです。
近代将棋の礎となったのは、実力名人制です。
このあたりの経緯が評伝の中で描かれており、名人だった関根金次郎の苦悩、主催する新聞社の思惑などが入り乱れ、実に生々しいです。
最後は関根名人の英断によって近代将棋の幕開けとなるのですが、昭和前半の将棋史を語るうえで、大事な本だと思います。
金(こん)易二郎が娘にうっかり「タマ」と名付けてしまった話は、大笑いしましたが本人的にはかわいそうすぎる……

そんなあこれ、将棋の歴史を知りたいひとのために!
nice!(5)  コメント(52) 
共通テーマ: