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棋士編入試験第2局(岡田怜央四段VS里見香奈女流五冠) [将棋]

里見女流五冠の黒星スタートで始まった第2局です。

〔日本将棋連盟HP〕
https://www.shogi.or.jp/news/2022/08/post_2134.html

里見女流五冠の師匠は森けい二九段です。
終盤の魔術師と呼ばれ、里見女流五冠とは系統が異なりますが、終盤型であることは共通しています。
その森けい二九段のインタビューが掲載されています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e89f048179192f8d07bf254cc00aaa3dc1bb11fa
そこに、10年前の森九段の後悔が記されています。
女流三冠だった里見が、女流棋士をやめて奨励会に入りたいと森九段に相談しました。
当時は奨励会と女流棋士との兼務が許されていませんでした。
森九段は後押しをするつもりでしたが、米長会長から呼び出しを受けて、奨励会受験を諦めさせるよう説得されます。
里見が女流棋界から抜けると、棋戦のスポンサーから下りるという社が複数あったそうです。
当時はまだ女流棋界も立場が弱く、新しい棋戦やスポンサーを見つけるのは容易なことではありません。
森九段としてもその苦労を知っていただけに、苦渋の決断だったと思います。
そのときから10年がすぎ、里見・西山・加藤・伊藤といったスター女流棋士が登場し、山口恵・香川・室谷・鈴木環といった人気女流棋士も増えました。
10年間の苦労が、いま、報われつつあるのかなと思います。
いまは、後顧の憂いなく、編入試験に挑むことができます。
黒星スタートとなった里見女流五冠ですが、第2局で巻き返すことはできたでしょうか!

〔棋譜※徹底解説!将棋の定跡さんより〕
https://www.youtube.com/watch?v=QTeRwiGMm80

ということで、将棋です。
本局の先手は里見女流五冠です。いつものゴキゲン中飛車に構えると、後手岡部四段は穴熊+四手角に構えます。
駆け引きの末に、里見女流五冠が8筋に飛車を振り直したすきに岡部四段が五筋から攻めます。
いつの間にかに、岡部四段が中飛車を採用したかのようです。
中盤の捩じり合いから里見女流五冠が抜け出したかと思いましたが、5九角に手堅く2七金と埋めたのが痛恨のミスでした。
ノータイムで角を切り飛ばされて、吊り上げられた金を2四桂と狙われると受けが難しくなっています。
食いつく形になれば、穴熊の強さが十分に生きます。
132手まで後手岡部四段が勝利し、里見女流五冠は連敗となり後がなくなりました。
惜しい将棋だっただけに、悔しさもひとしおだと思います。

第3局の試験官は狩山幹生四段です!

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【書評】芦沢央『悪いものが、来ませんように』 [書評]

芦沢央の第2作です。


悪いものが、来ませんように (角川文庫)

悪いものが、来ませんように (角川文庫)

  • 作者: 芦沢 央
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 文庫



共依存の関係にある二人の大人の女性が中心となって物語が進みます。
親友を救うために片方が殺人事件を起こし、死体を隠しますがあっさりと発見されてしまいます。
警察に逮捕されますが、その後に本当の真実が明らかになります。
この最後がどんでん返しの連続です。
物語の前半は、ひたすら共依存の関係にあることが繰り返し語られ、二人の関係性はどこか曖昧にされます。
そこが仕掛けと言えば仕掛けなのですが、やはり前半は退屈で、何か工夫が欲しかったなあという気がします。
後半はどんでん返しの連続で、さすがと思わせます。

芦沢央ファンのために!
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