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【書評】黒崎視音『警視庁心理捜査官』 [書評]

プロファイリングをテーマにしたミステリです。


警視庁心理捜査官 上 (徳間文庫)

警視庁心理捜査官 上 (徳間文庫)

  • 作者: 黒崎 視音
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2004/02/05
  • メディア: 文庫




警視庁心理捜査官 下 (徳間文庫)

警視庁心理捜査官 下 (徳間文庫)

  • 作者: 黒崎 視音
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2004/02/05
  • メディア: 文庫



主人公は架空の役職である心理捜査官・吉村爽子。
職務である心理分析を通じて捜査本部に提言をしますが、ベテラン捜査員の妨害に遇い、悉く無視されます。
重要参考人が大物弁護士の娘ということもあり、上層部も保身に走り、また捜査が進みません。
そうした内部の足の引っ張り合いが延々と続きますが、ちょっとあざといかなあ、というのが印象です。
女性捜査官が旧態依然とした男性捜査官から嫌がらせを受けながらも跳ね返す、というストーリーにしたいのは分かりますが、この設定自体が発表された年代を考慮しても時代遅れという部分があるので。
デビュー作ですから致し方なしかなと思いました。

今後の活躍に期待です!
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第34期竜王戦挑戦者決定戦第2局(藤井聡太二冠VS永瀬拓矢王座) [将棋]

藤井二冠の先勝で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/

永瀬王座はabemaTVトーナメントでチーム永瀬を率いていますが、その姿がまるでブラック企業の上司のようで面白いです。
これが素だとは思いますが、勝負に徹するというか、勝てばいいみたいな、これが勝負士のノリなのかなと感じました。
藤井二冠もチーム藤井を率いていますが、控えめで、勝負士というより好青年といった雰囲気です。
お互いに結果を残している棋士なので、どちらが良いというわけではありませんが、キャラクターの違いなのかな、と思います。
第1局目は永瀬王座が意表の先手番で三間飛車を採用しましたが、藤井二冠に押し切られました。
連敗すると豊島竜王への挑戦権を逃してしまいます。
さあ永瀬王座は鬼軍曹として、藤井二冠の勢いを止めることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/34/ryuou202108300101.html

ということで、将棋です。
第1局は意表の振り飛車を採用した永瀬王座ですが、第2局は先手藤井二冠に合わせるかのように相掛りへと進みます。
序盤に先手が角道を開けた手に対して、永瀬王座は17分の少考で横歩を取り、いきなりお互いの主張がぶつかり合います。
藤井二冠は歩の手筋で後手陣を乱してから、飛車の転回を見て飛車を浮き、さらに玉を1手動かして安定させます。
対する後手は自陣をまとめるのが難しく、どこか動かせば隙が生じるということで、攻めに転じます。
8八歩の手裏剣が好手のように見えましたが、馬を作らせてから8三角が見事なカウンターでした。
この手をどこから読んでいたのかは分かりませんが、59手目まですすむと、先手角損ながら後手玉をがっちり包囲して、先手勝勢です。
以下は永瀬王座のお株を奪うような負けない手で、手堅く進めた藤井二冠が77手までの完勝です。
とにかく強いとしか言いようがありません。

2連勝で豊島竜王への挑戦権を獲得した藤井二冠は、これで豊島・藤井は1年で3回タイトル戦で激突することになります。
お互いが旬の棋士とはいえ、これまたすごい記録です。
竜王戦七番勝負第1局は、10月8日、9日に東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で行われます!

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【書評】アニタ・ガネリ『カメは200歳までいきる?』 [書評]

カメの話ではなく、動物の記録図鑑です。


カメは200さいまでいきる?―きろく (どうぶつなぜなぜずかん)

カメは200さいまでいきる?―きろく (どうぶつなぜなぜずかん)

  • 作者: アニタ ガネリ
  • 出版社/メーカー: 草土文化
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 大型本



世界最大、世界最長などは有名ですが、その逆はあまり知られていません。そういう意味で、なかなか面白い記録が紹介されているのが楽しいです。
世界で一番大きいのはシロナガスクジラですが、最も軽いのはヒメトガリネズミとキュティブタバナコオモリでピンポン玉ほどの重さしかありません。体長でいえば、マメハチドリは7センチです。
世界でいちばん遠くまで飛ぶのはキョクアジサシで北極から南極まで飛びますが、いちばん長く飛ぶのはアマツバメで、巣立ちをすると2~3年も休まずに飛び続けます。飛びながら寝たり、食べたり、飲んだりします。
これ以外にも、興味深い話が満載です。

そんな不思議な動物たちの記録を知りたいひとのために!
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【公募情報】第8回尾崎士郎賞(随筆・9/30) [公募情報]

尾崎士郎没後50年に誕生した公募です。

〔主催者HP〕
https://www.city.nishio.aichi.jp/sportskanko/bunka/1001612/1002979.html

尾﨑士郎は、愛知県西尾市吉良町に生まれ、小説『人生劇場』で一世を風靡した作家とのことです。人生劇場は26年にも渡って書き継がれたとのことです。
前回は3600を超える作品が集まり、なかなかの人気っぷりです。
制限枚数は5枚、応募締切は令和3年9月30日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:随筆
テーマ :A)生活の中の心の動きや感情を、生き生きと表現したもの
     B)尾﨑士郎やその作品に関するもの
最優秀賞:10万円
原稿用紙:5枚以内
応募方法:郵送、メール
応募締切:令和3年9月30日
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創作状況【8月下旬】 [ぼくの公募状況]

ようやく第1回目のコロナワクチン接種の予約が取れました。

【サイトーメルマガ第167回の内容紹介】
◆公募分析~第8回星新一賞~
◆TO-BE小説工房に挑戦中(第77回)
◆公募情報数点
 来月のテーマは先月に続いて叙述トリックの応用です。叙述トリックを活かすための設定の作り方です。
 次回発行は9月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
 https://www.arasuji.com/mailmagazine.html
 ※ページの下の方に登録フォームがあります。


【ショートショートガーデン】
某事件を題材にしてみました。たまにはこんなのも。

〔不幸な音楽家〕
https://short-short.garden/S-uCTqpb


【小説でもどうぞ】
今月は投稿済みだし来月も完成しているので、とりあえず次回テーマまち。

【SSスタジアム】
締切が8月22日なので投稿する。
テーマは「劇場」だが、前回と同じく漢字の言葉遊びネタ。
実にバカバカしい話だが、毒が無くて、個人的には好きなパターンのひとつに仕上がった。
落選したら坊ちゃん文学賞に出してもいいなあ。
問題は9月末までに結果がでるかどうかだけども。

【星新一賞】
第8回星新一賞受賞作品を順番に読んでいきます。

・ジュニア部門 優秀賞『M・O・S』 加藤健
大豆で全ての食品が生産される未来の話です。
ライト氏は古民家を購入したところ、そこに大豆食品が普及する前の食事風景が描かれた日記がでてきます。
ライト氏は大豆以外の食品を知ってしまうのですが、その結果、宇宙に追放されてしまいます。
となれば、だいたいオチは分かると思います。創世記ネタです。
子どもらしい素直な発想で、好感が持てる作品です。無駄にスケールが大きいところも楽しいです。
技術的な面からいえば文章力も含めてまだまだですが、ジュニア部門なので良いかなと。
個人的にはもっとぶっとんだ発想でも良かったかなと思える作品です。ジュニアの魅力は既存の価値観に縛られないアイデアだと思っているので。


【創元SF短編賞】
あともう少しでSFシリーズに入る予定。SFの古典を読むのも良いかと。

【坊ちゃん文学賞】
3つめのアイデアを書く。といっても小説現代のショートショートコーナーが無くなったときに投稿しそびれた作品のうちのひとつ。
この作品をブラッシュアップしようと思い、何度も書き直すが、どうにもまとまらない。
2日かけて4回ほど書き直したあげく、最後は元に戻しました。
最初が一番良いというのはよくあるパターンなので。
本命のアイデアが残っているのだが、これがどうにも難しい……

【福島正実SF童話賞】
推敲の方向性を決めるのは難しいですねえ。勉強の気持ちだけです。はい。

【ゆきのまち幻想文学賞】
3年分ぐらいストックアがあるので、そのうち推敲する予定。
次回応募作品を久しぶりに見ると、原稿用紙8枚と2行しかない。
さすがに短いので、そのうち調整する予定です。少し涼しくなって、気分がでてきたらということで。

【ミステリ関係】
書きたいけど後回しです。はい。
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【公募情報】第19回「富士山を詠む」俳句大賞(俳句・9/30〆) [公募情報]

日本を代表する山といえば、世界文化遺産でもある富士山です。

〔主催者HP〕
http://www.city.fujinomiya.lg.jp/citizen/visuf8000000yfek.html

富士山が世界文化遺産に登録されたのは2013年です。
富士山単体ではなく、信仰の対象であることや、様々な芸術作品に描かれ、そうした文化的側面も含めての登録です。
その富士山のふもとにある静岡県富士宮市が、富士山をテーマにした俳句を募集しています。
応募は1人1句までと制限が厳しいことに注意してください。
応募締切は令和3年9月30日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:俳句
テーマ :富士山
富士山賞:賞品
応募方法:インターネット
応募締切:令和3年9月30日
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第62期おーいお茶王位戦第5局(藤井聡太王位VS豊島将之竜王) [将棋]

藤井王位の3勝1敗で迎えた第5局です。

〔主催者HP〕
https://www.shogi.or.jp/match/oui/

渡辺明名人が香川愛生のチャンネルに出演し、藤井二冠の強さについて語っていました。
棋聖戦第2局で渡辺名人のゲームプラン通りに進んでいたのに敗北したのショックだったようで、藤井二冠の強さをストライクゾーンに例えて説明していました。
普通ならストライクゾーンに投げればある程度は勝負になる。強い相手でもある程度のゾーンに投げ込めば勝負になる。
ところが藤井二冠はピンポイントで投げ込まないと勝負にならない。他のコースは全て打ち込まれてしまう。
棋聖戦第2局は、いままでは通用するコースだったのに、見事に打ち返された。どんどん進化していることに驚きを隠していません。
王位戦でもいままで苦手としていた豊島竜王相手に、第1局こそ敗れたもののそこから3連勝と一気に土俵際まで持ち込みました。
藤井王位は長考派なので、持ち時間8時間の2日制は、藤井二冠にとって至福の時間なのかもしれせん。
さあ若きヒーローは、4連勝で王位防衛を決めることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/62/oui202108240101.html

ということで、将棋です。
戦型はタイトル戦をまたいで3局連続で相掛りとなりました。
どうもこの両者は同じ戦型を繰り返す傾向にあるようです。お互いの意地というか、主義なのかもしれません。
とはいえ、今度は先後が逆。
先手藤井王位が後手の7筋の歩をかすめ取り、後手はその隙に銀を繰り出す形になります。そこで藤井王位は7六歩と変わった手を指します。
豊島竜王は16分の少考をしますが、その後はすいすい指しているので想定していた手順のひとつだったと思われます。
恐ろしいほどの研究量です。
藤井王位は41手目に2時間1分のプロ入りで最長の長考をします。
研究から外れたのか、ここから一気に局面が重くなり、豊島竜王も長考をするようになります。
互角の状態のまま、力勝負に突入です。
ところが、2日目早々に豊島竜王にらしくない落手が出てしまいます。
50手目に7五銀と出ますが、9七桂が綺麗な切り返し。
1時間を超える長考で豊島竜王はやむを得ず銀を見捨てますが、代償もなく銀を取られるのは痛すぎます。先の手順にどこか錯覚があったのだと思われます。
藤井王位は得した銀で自陣を固めて万全の構えです。
77手まで指し継ぎますが、攻防とも見込みなしとみて豊島竜王は投了しました。

藤井王位は初戦黒星からの怒涛の4連勝で見事に防衛に成功しました。
藤井王位おめでとうございます!
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【公募情報】令和3年度山地被害防止標語募集(標語・9/30〆) [公募情報]

防災への意識は大事です。

〔主催者HP〕
https://shinrinkagaku.jp/photo/index.html

毎年のように、山崩れのニュースが流れます。
大雨など様々な要因がありますが、森林科学研究所は毎年、山地被害防止の標語を募集しています。
昨年度の入賞作品を見ると、ストレートに治山を表現した標語もあれば、幅広く防災を呼びかけるものもあります。
人命第一なので、治山にこだわる必要はないのかもしれません。
応募締切は令和3年9月30日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:標語
テーマ :山地災害の防止、森林や治山事業の効果、防災意識の高揚
最優秀賞:3万円
応募方法:郵送
応募締切:令和3年9月30日
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最近の日常【令和3年8月下旬】 [日常]

〔どこもかしこも人数制限〕
夏といえばプールだが、中止か人数制限のオンパレード。
プールに入ろうとすると、限られた施設に朝早くにいくか、ひたすら順番待ちをするしかない。
それで早めに出て、オープン前に到着するのだが、それでも行列になってるのを見ると、げんなりする。おまけに2番目とか3番目の組に回されるし。
プールに密もへったくれもないと思うのだが。
早く日常に戻って欲しいです。はい。

〔TV視聴者が減少している話〕
NHK放送文化研究所の調査によると、16~19歳世代ではテレビを見るひとが5割を下回ったとのこと。
https://av.watch.impress.co.jp/docs/news/1326218.html
自分の実感としては、そりゃそうだろうなあ、という感じ。
自宅でもバックミュージック的にTVはついているけど、子供たちはほとんど観ないし、自分もほぼ観ない。家族でそれなりに視聴しているのは妻ぐらいかなあ、という感じです。
調査結果をさらに見ると、TVとインターネットの利用時間の比較では30代で逆転し、40代からはテレビ優勢、30代以下はインターネット優勢です。
あと10年もすれば、消費の主流世代がすべてインターネット優勢になります。
TV業界は大変ですよ。
TVが相当優秀なコンテンツを作らないと、好きなコンテンツが好きなときに見られるインターネットには敵いませんよ。しかもインターネットは規制が少ないので、発言も内容も自由度がかなり高いです。その分だけ面白いです。
TV業界で最後に残るのはスポーツ中継だけかもしれません。
これも時代ですねえ。
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第6期叡王戦第4局(豊島将之叡王VS藤井聡太二冠)

豊島叡王の1勝2敗で迎えた第4局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/

豊島叡王をあらわす言葉として、佐藤紳哉七段がNHK杯のインタビューで語った「序盤、中盤、終盤隙が無いと思うよ」が有名ですが、どちらかというと終盤型かなと思います。
序盤は深く研究しており、知っている局面なら飛ばしていきます。
未知の局面に入ると長考しますが、意外と長考後に局面を損ねることが多いように思います。前局も長考後の切り合いで、形勢を損ねました。
豊島叡王は時間を使い切るタイプなので、最終盤は秒読みになります。
形勢不利でもそこから崩れず、逆転を拾うことケースが多いです。
では早指しが強いのかと言われると、フィッシャールールでは苦戦しており、NHK杯でも優勝経験がありません。
なんとも不思議な感じがしますが、混とんとした終盤における粘りこそ、豊島叡王の強みなのかなもしれません。
叡王戦第2局では、時間切迫の終盤で見事な逆転勝利を挙げました。
さあ、豊島叡王は、混とんとした終盤で強さを見せつけることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/6/eiou202108220101.html

ということで将棋です。
本局は王位戦第4局と続けて相掛かりとなりました。
豊島叡王は王位戦では敗れましたが、先手相掛かりになにか鉱脈を見つけたのかもしれません。
藤井二冠は縦歩取りを採用しますが、豊島叡王は7七金ではなく飛車浮きで対応します。
ひねり飛車模様から8筋が争点となりますが、41手目3分で指された7九金が秘蔵の一手ではないかと思われます。
ここまでの消費時間は豊島叡王が21分、藤井二冠が1時間25分です。豊島叡王のゲームプラン通りに進んでいると思われます。
豊島叡王が始めて長考したのは47手目です。確実に駒得をさかね、リードを確かなものにします。
次の長考は73手目です。優勢な局面から決めに行くかどうかしっかりと読みを入れて、2四歩と利かしを入れます。
無視される可能性もあるので決断ですが、藤井二冠は利かされるのは辛いと無視して攻めかかります。
この後、豊島叡王は長考をしていないので、おそらく読み切りだと思います。
金銀を取られますが飛車を召し取るるのが冷静な手で、その飛車を6一に打ち込まれた時点で藤井二冠は投了しました。

これで2勝2敗のタイとなり、決着はフルセットに持ち込まれました。
最終第5局は9月13日(月)に東京・将棋会館(東京都渋谷区)で行われます!
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