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第6期叡王戦第3局(豊島将之叡王VS藤井聡太二冠) [将棋]

豊島叡王の1勝1敗で迎えた第3局です。

〔主催者HP〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/

森内俊之九段の森内チャンネルで、藤井二冠の棋力がAIによって分析されていました。
序盤、中盤、終盤ともにトップクラスなのですが、中でも序盤の数値がとびぬけています。
詰将棋能力と言い、切れ味鋭い終盤のイメージがありますが、実は序盤型のようです。
藤井曲線と呼ばれる序盤から徐々に優勢を拡大する評価値グラフが話題になりますが、AIによる分析結果を聞いたあとだと、なるほどなと思います。
圧倒的な序盤力を武器にして優位を築き、あとはその優位をこれまたトップクラスの中盤終盤力で乗り切っていく。
ひと昔前の若手というと、序盤は荒くて中終盤でひっくりかえすのがひとつのパターンでしたが、序盤から優れているわけですから、圧倒的に強いわけです。
前局は序中盤で広げたリードを、豊島叡王の捨て身の反撃によって逆転を許しました。
さあ第3局は綺麗な藤井曲線が見られるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/6/eiou202108090101.html

ということで、将棋です。
居飛車党の間では相掛かり全盛ですが、この二人は執拗なまでに角換わりです。
二人には通じる拘りなのかもしれません。
後手待機策に対する先手桂ポンの形で、後手が4四銀と前で受けると2二歩と形を見出しから先手は3九玉と戦場から逃げる。
最初は藤井二冠が指した手ですが、いまでは定跡となっています。
ここから分岐していきます。
豊島叡王は継歩攻めから玉側の桂馬を跳ねて桂馬を手持ちにする積極策に出ます。
おそらく十分な研究があるのでしょう。藤井二冠が長考を挟むのに対して、豊島叡王は少考で飛ばしていきます。
初めて豊島叡王が長考に沈んだのは72手目です。
藤井二冠の攻めに対して、78手目の再度の長考から反撃に出ますが、ここで評価値が先手に傾きます。
桂馬の跳ね違いから玉側の香車を取りながら馬を作り、後手好調に見えましたが、ここから先手の反撃が厳しかったです。
こうなると後手の飛車は抑え込まれて攻めにつかえず、金銀も玉の守りに効いていないという駒効率の悪さが目立ってきます。
豊島叡王も逆転の綾を付けようとしますが、藤井二冠も素早く後手玉に詰めろをかけて金を手放させます。
こうなると戦力不足でどうにもなりません。

今日の藤井二冠の指し回しは完璧でした。
121手まで藤井二冠が完勝し、叡王奪取まであと1勝に迫りました。
第4局は8月22日(日)に愛知県名古屋市「名古屋東急ホテル」で行われます!

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