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第27期竜王戦第3局(森内俊之竜王VS糸谷徹郎七段) [将棋]


糸谷七段の2連勝で迎えた第3局です。

【竜王戦中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/ryuou/

糸谷七段は棋風を改造中だそうです。
糸谷七段は早指しで有名で、序盤中盤はガンガン飛ばして後半から時間を使い始めますが、昨年から序盤にも時間を費やすようにしたそうです。
竜王戦第1局でも、序盤はやや飛ばしていましたが、中盤から長考を繰り返し、1日目終了時点でほぼ消費時間が並んでいました。第2局も途中で差がついたため消費時間は少なめですが、中盤の入り口からこまめに時間を使い、勝負どころでは40分を超える長考をするなど、棋風改造の様子が見られます。
そうした棋風改造の結果、順位戦以外の棋戦ではポロポロ負けていることもあり、戦績は微妙なところですが、こうして竜王戦の挑戦者になることができ、さらに開幕2連勝を果たすことができたのですから、総合的には効果はあったものと思われます。
森内名人は著書で「無駄な考えが多いかもしれないが、その読みの蓄積がいまの支えになっている」との主旨のことを書いていました。
大山十五世名人も晩年のとき「この局面は読んだことがある」と気が付いたとき、過去の読み筋を思い出そうとしたとどこかの本に書いてありました(が、思い出せなかったというオチがつくのですが)。
序盤の長考はまさに「無駄な考え」になる可能性が高いですが、この無駄な労力こそ未来への投資になるのかもしれません。

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/ryuou/kifu/27/ryuou201411060101.html

ということで、将棋です。
本局も角換りとなりました。これで3局連続です。
糸谷七段の得意戦法ですので糸谷七段が採用するのは当然ですが、森内竜王も相手の得意戦法をどっしり受けようという気持ちなのかもしれません。
相手の得意戦法を特定できるのなら、事前準備をしやすいというのもあるかもしれません。
角換りの中でも、先手有利と言われている同型腰掛銀になります。この同型腰掛銀ですが、お互いが囲いに入場すると有名な木村定跡になり、先手必勝で結論がでています。後手の投了まで研究されている恐ろしい形です。
先手が入城すると、その瞬間に後手が先攻して後手有利。なので、お互いに入城しない形が研究課題なのですが、先手有利が定説です。
そこに森内竜王がつっこんでいきました。
もちろん先手が攻めかかりますが、しばらくするとPonanzaの評価値はやや後手有利と表示されるようになりました。
先手は攻めるときに歩を突き捨てるので、後手の歩得を評価しているのかもしれません。
後手が突き捨てられた筋の歩を伸ばし、先手の攻めを催促すると、Ponanzaの評価値がどんどん後手側に振れて行きます。
解説でも後手有利から優勢モード。
あとは寄せるだけという局面で、何を指しても勝ちのように思われました。しかし、人間は往々にしてこのような局面で間違えてしまうものです。
そして、運命の一手。
森内竜王は最速を目指して銀頭に桂打ちましたが、この一手で、森内竜王は積み重ねてきた優位を全て不意にしてしまいました。
この手を境に、評価値が先手に振れ始めます。
何でも良さそうなときに間違えやすいというのは、有力手が限られるときは限られた手を深く読み進めるため間違えませんが、有力手が多数あるときはそれぞれ考えるたくなるため、ひとつの手に対する読みが浅くなるのかもしれません。
森内竜王がミスしたというより、苦しい局面でもチャンスを虎視眈々と待ち続けた糸谷七段の集中力をほめるべきかもしれません。
そこから寄せながら、後手の貴重な攻め駒であると金を払います。
これで終わった、と思ったのですが、まだドラマは待っていました。
森内竜王が必死に食いつき、玉頭に打って来た歩を糸谷七段はひょいと交します。
これが敗着となりました。形はかわすところですが、強く同馬取れば勝っていたようです。

二転三転した勝負は、森内竜王が首の皮一枚でつなげました。そして、タイトル戦での連敗を10でとめました。
この1勝で流れが変わるのか、それとも糸谷七段が初タイトルに向けて突き進むのか。
第4局は11月20、21日(木、金)に静岡県袋井市で行われます!

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