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第70期名人戦第6局(森内名人VS羽生王位(棋聖)) [将棋]

2年連続の永世名人対決となった第70期名人戦も、いよいよ佳境です。
第5局目まで全て先手番が勝利し、ここまで森内名人の3勝2敗です。
ここで羽生王位の先手番をブレイクすれば、名人防衛が決定です。

最近のタイトル戦は、指定局面とも呼ばれる現在課題となっている局面まで時間をかけずに進め、新手がでてから考える傾向が強いです。
1日目は途中まで前例を辿り、夕方ぐらいにどちらかが新手をさしてそこからが勝負。
新手を出すほうが負ける可能性が高いと感じているのは、ぼくだけでしょうか。

さて、将棋ですが、名人戦第2局と同じく角換りとなりました。
1日目の途中まで第2局の手順をなぞり、先に新手を出したのは後手の森内名人でした。もっとも森内名人は負けた側を持っているので、同じ手順を辿れないのは当然なのですが。
その新手は64手目に2六角と、歩を取りながら駒を進める自然な手です。
素人目にはなぜいままでこの手が指されなかったのか不思議な気がしますが、プロ的にはもっと有力手順があったのでしょう。
そして、1日目の指了図。
ネットではすでに後手優勢の声が充満していました。実際に同局面からコンピューター将棋で対戦させたら、後手が圧倒しました。
玉頭を厚くして先手の攻め駒を圧迫するどこか、後手の桂馬は銀に当たっているし(しかも取った後が飛車当たり)、玉に近くに嫌らしいたれ歩はあるし、先手が主張する部分がほとんどありません。
どうするのかと思っていたら、羽生王位は2一龍と桂馬を取り金で受けさせた上で、5一龍と金取りに龍を逃げます。
先手を取る苦心の策のように見えます。
桂馬で銀を取って攻め合いに出るなど、様々な手段がありそうですが、森内名人はじっくりと手厚く金を寄せます。優勢を意識して、負けない手を指したのだと思います。
ここからは、もう、後手が何を指しても感触が良く見えてしまいます。
羽生王位はじりじりとと金を寄せますが、いかんせん、遠いです。
森内名人は羽生玉の弱点である桂頭を攻めて、あっという間に寄せていきます。
と金の寄せは防ぐことができません。
隙を見せずに万全の手を指した森内名人が106手まで完勝し、見事に名人を防衛しました。
勝負は新手が出た直後だと思うのですが、さて、どう指せば良かったのかは、また別のタイトル戦で同一局面が登場しそうな気がします。そのときの差し手に注目したいと思います。

2期連続して、森内名人が羽生王位の挑戦を退けました。
シリーズ全般を通じて、順位戦・名人戦を得意とする森内名人はさすがの差し回しが光っていたと思います。羽生王位にすれば第5局を落としたのが痛かったのかもしれません。
第70期名人戦は幕を閉じましたが、棋士達の戦いは休む間もなく続けられます。

森内名人おめでとうございます!

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