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【書評】奥宮正武『提督と参謀』 [書評]

太平洋戦争に従軍した著者から見た貴重な証言です。


提督と参謀

提督と参謀

  • 作者: 奥宮 正武
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2000/08
  • メディア: 単行本



扱われている提督は25人です。
著者は海軍兵学校を卒業後、航空戦隊参謀を歴任しています。
そのため海軍首脳部とも近く、登場人物のいずれも著者と何らかの接点を持っており、現場感覚からの批評は参考になります。
世間一般の評価と一致している提督もいれば、世間の評価が高い小沢治三郎には辛らつです。
確かにアウトレンジ戦法は、机上では絶妙手ですが、開戦時とは異なり落ちてきた搭乗員の技量を考えると無謀な作戦と言われてもやむを得ないかもしれません。
その逆に、レイテ湾で謎の反転をした栗田健男には好意的です。
軍人には戦力整備等を担う軍政面と、軍事行動を担う軍令面があります。
それぞれの提督には得意不得意があります。特に軍令面を担う提督の人材不足もあり、戦争終盤は悲惨な状態となりました。
人材のミスマッチというか、人材の育て方のミスこそ、悲劇を招いた一因だったかもしれません。
これも歴史の教訓だと思います。

現場視点からの提督評を知りたいひとのために!
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