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【書評】青山誠『戦艦大和の収支決算報告書』 [書評]

建造費・維持費・戦費から見た戦艦大和です。


戦艦大和の収支決算報告

戦艦大和の収支決算報告

  • 作者: 青山誠
  • 出版社/メーカー: 彩図社
  • 発売日: 2019/07/30
  • メディア: 単行本



戦艦大和の建造費は約1億4千万だそうです。
太平洋戦争で大活躍した空母翔鶴が約8500万と考えると以外のほか安いです。
ちなみに駆逐艦は約1000万。
大和の排水量が翔鶴の2倍以上であることを考えると格安です。
とはいえ、昭和12年の国家予算規模が約30億と考えると、分不相応であることは間違いないです。
おまけに大和を作るためにドックを広げ、巨大砲塔を運ぶ専用の運搬船を製造し、さらには国内移動のために関門海峡を浚渫し……と莫大な費用を投じています。
砲弾だって1発約2千円と推測されています。
これだけの費用をかけて、沖縄水上特攻で撃破した敵機は7機(被弾放棄した機体も含めて12機)と、約180万ほどの損害しか与えられませんでした。
収支を考えれば、完全な失敗兵器です。
ですが、世界一の巨大戦艦を作ったときに培われた技術、信用が、戦後の復興を助けます。
数字は冷徹で、GDPで5倍もの相手に戦争を起こすのは、そもそも無謀です。
科学技術も資源も国を支える人的資源の面でも、差がありすぎます。
別の道はなかったのかなあと、常々思います。

数字で戦艦大和を知りたいひとのために!
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