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【書評】秋月達郎『海のまほろば~神と呼ばれた「大和」艦長 森下信衞』 [書評]

レイテ沖海戦で大和艦長を務め、無事に生還を果たして伝説となった軍人の物語です。


海のまほろば―神と呼ばれた「大和」艦長 森下信衞

海のまほろば―神と呼ばれた「大和」艦長 森下信衞

  • 作者: 秋月 達郎
  • 出版社/メーカー: 洋泉社
  • 発売日: 2015/07/31
  • メディア: 単行本



太平洋戦争も終盤となり、敗戦濃厚の中、日本海軍がアメリカ軍に最後の艦隊決戦を挑んだのがレイテ沖海戦です。
その作戦で森下少将は大和艦長を務め、僚艦である武蔵が沈没するなか、山のようにやってくる米軍機からの攻撃を神ともいえる操艦技術で乗り切り、大和生還に成功します。
物語は、戦後から始まります。
煎餅屋を開業した森下元艦長のところに、ある主人公が住み込みで働き始めます。
その主人公の目線で森下元艦長を描いていくのですが、小説とはいえ創作の割合が多いかなあという感じがします。
クライマックスのシーンでは森下元艦長が漁船を操舵するのですが、さすがにやりすぎのような。
巨艦と漁船では求められる操舵技術がまったく違うと思いますし、そもそも近年の実在の人物を扱うのだから、もう少し慎重に事実関係を押さえても良かった気がします。
描きたいシーンに繋げるためにストーリー展開に強引なところも見られ、全体的に作者の気持ちが先走っている印象を持ちました。
題材がよいだけに、少し残念な気持ちもあります。

森下信衞についてより多く知りたいひとために!
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