SSブログ

【書評】奥宮正武『真実の太平洋戦争』 [書評]

太平洋戦争の大半を第一線の海軍参謀として過ごした著者が見た太平洋戦争です。


真実の太平洋戦争 (PHP文庫)

真実の太平洋戦争 (PHP文庫)

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 1988/12/01
  • メディア: Kindle版



著者は海軍上層部に在籍していただけに、当時の日本の雰囲気をよく伝えていると思います。
日本は米国に勝てないと分かっていながらジリ貧を避けるために戦争に突入したこと。
陸海軍の統合作戦ができず、非効率だったこと。
人事の硬直化により、セクショナリズムが横行していたこと。
海上輸送力の貧弱さ、とくに揚陸艦がなかったことが損害を増やしたこと。
著者の思いは、もう少しましな戦いができたはず、ということだと思います。
全世界を横断的に見渡せる人材の不足、さらにはそうした人材を育てる教育機会の不足が、悲劇的な戦争に引きずり込まれていった遠因ではないかと思いました。
「わが国やドイツの航空部隊に撃墜王かそれに類する人が多数いたのは、交代要員が著しく不足していたことを示す特異な例と考えるべきではないか」との言葉は考えさせられます。
現代にも通じる話だと思います。

太平洋戦争をよく深く知りたいひとのために!
nice!(5)  コメント(18) 
共通テーマ: