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アイザックアシモフ『ファウンデーション』 [書評]

多作なAアシモフのなかでも、本作は代表作のひとつに数えられています。



ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

ファウンデーション ―銀河帝国興亡史〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: アイザック・アシモフ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1984/04
  • メディア: 文庫




冒頭はアシモフらしく、『心理歴史学』という架空の学問が登場します。
この『心理歴史学』で予測される最悪の未来を回避するために、ファウンデーションという学術集団の星が、心理歴史学者によって創設されます。
この学術集団の星が、銀河帝国の衰えとともに戦乱の世になった宇宙空間で生き抜いていきます。

この小説には、幾多の主人公がいます。
心理歴史学の大家、ファウンデーションを率いる市長、さらには貿易商人たちです。
本作は、ファウンデーションを舞台とした、幾多の物語の集合体といっていいと思います。
アシモフのいいところは、SFにミステリ要素をふんだんに盛り込んでくれることです。
ピンチになっても力で乗り越えることはりません。あくまで知恵で勝負です。どんでん返しのために張り巡らされた伏線。よむ楽しさを思い起こさせてくれる作品です。
ハードSFを好む読者には物足りないかもしれませんが、ストーリーを楽しみたいSFファンにオススメです。
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コメント 4

紫仙

アイザック・アシモフの作品では、
短編「われはロボット」がお気に入りです。
SF作品における社会の変容には前々から興味があったので、
時間のある時に読んでみようかと思います。
そんな紫仙は、
世界史的な包括的でダイナミックな神話や歴史、仮想世界のファンタジーが大好きな人種ですが……
なので、基本ファンタジーを中心に読んでいますが、
科学技術の発展で社会や世界観が激変してゆく様を重点に置いたSF作品は作品は好きだったりします。
レフ・スタニスワフの「ソラリス」とか、
ジョージ・オーウェルの「1984年」とか、
ウェルズの「タイムマシン」とか、
独特の世界観を持つ作品には、想像力を刺激されます。
by 紫仙 (2013-04-29 00:24) 

サイトー

>紫仙さん
「われはロボット」も名作のひとつですね。
わればロボットは短編集で、こちらは長編。短編長編、さらには掌編も書きこなしてしまうアシモフの才能は驚異的です。
ソラリスも1984年もタイムマシンも読んだことはありませんが、最近は過去の名作を積極的に読もうと思っているので、そのうち目を通したいと思っています。
by サイトー (2013-04-29 06:22) 

krishna

以前読んだ感想を自分のblogに書いていたのを思い出しました。
「世界を動かす原動力の種類を物理科学と精神とに2極化する捉え方は、単純過ぎるのではと思う反面、それぞれの性質が良くも悪くも理解できて面白い。分散した精神の一部が石や植物にまで宿る、というアニミズムそのものが理想の文明とされているところが、あながち日本文化も悪くないのではないかと思えて希望的になれる。」
道化キャラのミュールが超重要人物だとわかるシーンとか、本を読んでて目が点になるほどの驚きはそうそう経験しませんね。

by krishna (2013-05-03 16:04) 

サイトー

>krishnaさん
Aアシモフの凄いところは、読者に快い驚きをくれるところですよね。
そういう意味で、ぼくはアシモフのファンです!
by サイトー (2013-05-04 07:34) 

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