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第33期女流王位戦第3局(里見香奈女流王位VS西山朋佳女流二冠) [将棋]

里見香奈女流王位の1勝1敗で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/

女流王位戦の第3局は旧伊藤伝右衛門邸で行われるのが恒例になっています。
ここは筑豊の炭鉱王と呼ばれた伊藤伝右衛門と歌人柳原白蓮が過ごした邸宅です。
柳原白蓮は明治18年生まれで、大正天皇の従妹にあたる血筋です。伯爵令嬢です。対する伊藤伝右衛門は大金持ちですが炭鉱労働者からのたたき上げで学問はありません。
この結婚は当時の新聞にセンセーショナルに取り上げられました。
白蓮は伊藤伝右衛門の前にも結婚歴があったので再婚です。
しかし、2度目の結婚も上手くいかず、文学仲間と恋仲となり、なんと大正10年に出奔します。
白蓮36歳、恋人は29歳のときでした。
ようやく落ち着ける場所を見つけた白蓮でしたが、貧乏生活が続き、白蓮を悩ませるできごとが次々とおきます。
それても夫婦仲は円満で、ようやく落ち着ける場所を見つけたのだと思います。
晩年は夫と娘夫婦に見守られながら穏やかな日々を過ごし、昭和42年に81歳で死去しました。
これでも紆余曲折・波乱万丈なな人生も珍しいと思います。
たまには対局場の謂れと歴史を紹介してみました。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/33/joryu-oui202205250101.html

ということで将棋です。
振り飛車党の両女傑です。
本局もいつもように相振り飛車になるかと思いきや、24手目に後手の里見女流王位が8四歩とつき、居飛車を選択します。
しかも2筋の歩は5段目まで伸び、居玉のまま銀二枚が前線に出動し、まさに乱戦上等のフリースタイルです。
戦いはお互いに飛車のいない中央で始まります。
お互いに金銀を前線に出してねじり合いですが、評価値的にはこの時点で後手側にかなり振れています。
後手の桂馬が捌けていること、先手の銀が壁形になっていることもありますが、何かのタイミングで壁銀を引けばまだまだと思っていました。
ところが、里見女流王位はその隙を与えません。
次々と攻め手を繰り出し、さらに相手の反撃の銀を丁寧に追い返す盤石ぶりです。
70手まで里見女流王位が持ち時間を半分以上残す完勝で、これで防衛まであと1勝と迫りました。
乱戦に強い西山白玲をここまで一方的に押し切るとは、驚きの強さです。

第4局は6月7日(火)に徳島県徳島市「JRホテルクレメント徳島」で行われます!

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