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第63期王位戦挑戦者決定戦(豊島将之九段VS池永天志五段) [将棋]

池永天志五段がタイトル初挑戦を目指します。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/oui/

池永五段は1993年4月20日生れの29歳です。名人2回挑戦、タイトル1期獲得の斎藤慎太郎八段とは誕生日が1日違いで、他に同級生として髙見泰地七段、三枚堂達也七段、髙野智史六段、谷合廣紀四段、八代弥七段がいます。
この前後の世代は人数が多く、ひとつ下は7人、ひとつ上は4人います。
なお、豊島九段は3つ上に当たります。
池永五段は24歳でプロ入りして、一般棋戦優勝としては新人王戦、加古川清流戦がありますが、全棋士参加の棋戦優勝はなく、タイトル挑戦もありません。実績は追いついていませんが実力は高く評価されており、AbemaTVトーナメントの常連で、棋風としては受けからの鋭い踏み込みが特徴的だと思っています。
なお、天志の読み方は「たかし」であり「てんし」ではありませんのでご注意を。
さあ、池永五段は豊島九段相手に、初のタイトル挑戦を決めることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/oui/kifu/63/oui202205310101.html

ということで、将棋です。
先手は豊島将之九段となり、戦形は角換わり腰掛銀となりました。
一時期は寝ても覚めても角換わり腰掛銀だったのが、いまは相掛りに押されて一気に採用数が減少しました。
指定局面までスラスラと進み、そこから先手豊島九段は4筋の位を取って、4五角と設置。さらに金を玉に寄せて固めます。
対する後手は中住まいで待機戦術ですが、突如として後手池永五段から仕掛けます。
角換わりらしく盤面全体を使った将棋となり、82手目に池永五段は飛車を取らせる手順に踏み込みます。
池永五段は恐れることなく攻めますが、豊島九段も崩れまん。
お互いに玉形が薄いなかで秘術を尽くしますが、評価値的には112手目の5四金から豊島九段に振れていきます。
お互いの玉が向き合う接近戦なので、持ち駒の金を投入して厚くするのは自然に見えたので、意外に感じました。
そこから豊島玉は単独遊泳ながら広くて捕まらず、後手の追撃が届かなくなったところで局面ははっきりしました。
171手までの熱戦を豊島九段が制し、これで豊島九段は2期連続で藤井聡王位への挑戦を決めました。
池永五段はあと一歩だっただけに、惜しい将棋でした。

七番勝負の第1局は6月28日(火)、29日(水)に愛知県犬山市の「ホテルインディゴ犬山有楽苑」で行われます!
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創作状況【5月下旬】 [ぼくの公募状況]

沖縄に行ってきました。すばらしい景色を堪能しました。

【第176回のメュー】
◆こんな公募に挑戦してきました 第9回星新一賞
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第7回)
◆おまけのもう1作
◆公募情報数点

 来月のテーマは「冒頭にエピソードを入れてみる」です。
 次回発行は6月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
 https://www.arasuji.com/mailmagazine.html
 ※ページの下の方に登録フォームがあります。

【ショートショートガーデン】
昔話シリーズの第6段です。ショートショートになっていませんが。
〔青い鳥〕
https://short-short.garden/S-uCTsFn


【小説でもどうぞ】
第10回のテーマの「夢」は推敲を繰り返して応募する。なんとなく形になった気がするが、もとがもとだからなあ。
第11回は「別れ」も「学校 ハエ 望遠鏡」で作成中。途中で方針変更することにしてなんとか光明が見えたかなあ、という感じです。
技術的な向上を目指すなら、こんなアドリブだらけの作り方はいかんのですが。

[あらすじの森]
https://mori.arasuji.com/


【yomeba!】
第17回の入選作を順番に読んでいきます。

・入選作 『色付く白黒』佐倉彼方
アイデアが枯渇したベテラン作家が、色覚異常のためモノクロで描く画家との対談を描きます。これといったオチはありません。ただ、なんとなく雰囲気が良く、声を色で表すあたりの問答は楽しく読みました。
入りの部分だけ違和感を持ちましたが、あとはスラスラと読めました。
ちなみに緑色を青色と呼ぶ場合があるのは、昔のひとが緑と青を混同したわけではなく、古代は寒色系を全て「青色」と呼称したからです。
ちょっとした、マメ知識ということで。


【星新一賞】
第9回星新一賞受賞作品を順番に読んでいます。

・東京エレクトロン賞 『思い出は残り香に』 武藤大貴
これは面白いですね。
言語以外の意思伝達手段を持つ異星人との交流を描く作品は、いろいろあります。色彩だったり味(梶尾真治『地球はプレーンヨーグルト』)だったり、中には関節をポキポキと鳴らすことで意思疎通を図る作品もあります(筒井康隆『関節話法』だったと記憶)
本作は嗅覚でコミュニケーションをとるのですが、地球人の「空気を読む」文化と上手くマッチさせています。
嗅覚で意思疎通を図る文化は、結果として全員が同じ方向を向いてしまいます。同じ道徳心を持ちます。異なる意見が挟めなくなります。
「お互いへが完全に分かり合えないからこそ、互いへの関心や思いやりが生まれるんだと思う」というセリフが、この作品のテーマだと思います。読後感も良いです。
とてもいい作品を、堪能させていただきました。


【坊っちゃん文学賞】
第18回受賞作品を順番に読んでいきます

・佳 作 『わたしは西瓜が食べられない』伊藤見桜
鼻から西瓜が出てきた女子高生の話です。自分の分身ともいえる西瓜を育てて、最後は食べようとしますが食べられません。
これは自分的な感覚ですが、文章面で違和感があり、正直読みにくいです。無意味な空白行も気になります。
オチに合わせて伏線も貼られていますが、計画的ではなく、場当たり的な印象を持ちます。
キャラクター造型が不足したまま書き進めたのかな、という気がします。
けど、これが佳作なんですよねえ。うーん。

【その他モロモロ】
・第18回台所・お風呂の川柳に4つ応募しました。10月中旬発表です。
・健康(セルメ)川柳で3つ応募。今回は勉強しました。8月下旬発表です。
・「ちくま800字文学賞」は6月1日発表かな?
・児童文学の雑誌を読む。やっぱり特定の政党臭が強いなあ。うーん。
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第15期マイナビ女子オープン第4局(西山朋佳女王VS里見香奈女流四冠) [将棋]

西山女王の1勝2敗で迎えた第4局です。

〔中継サイト〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/

株式会社マイナビは1973年創業で、元々は毎日新聞社の関連企業として設立されました。
ただ、現在は毎日新聞社の持ち株比率は10%を切っており、資本的な関係は薄くなっています。
子会社が親会社の業績を上回るケースは多々ありますが、マイナビと毎日新聞社も同じで、毎日新聞社が赤字で苦しんでいるのにくらべてマイナビは堅調に利益を上げています。
マイナビ社は将棋関係の出版を請け負っており、将棋会にとってなくてはならない会社になっています。
これからも堅調な経営を続けて欲しいと思います。
里見女流四冠がタイトル奪取まであと1勝に迫っています。
さあ、両者はマイナビ杯を盛り上げる将棋を見せてくれるでしょうか!

〔棋譜〕
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/15/mynavi202205300101.html

ということで、将棋です。
いつものように相振り飛車となり、今回の里見女流四冠は陣金二枚を中央に配置したバランス型を採用します。
最近はモリモリと盛り上がる形が多かったので、これはこれで新鮮です
積極的に前にでるのは、今回も里見女流四冠です。中盤であちらこちらで駒がぶつかるインファイトになります。
里見女流四冠は全力で攻めているものの、飛車の前に桂馬がいて、やや捌きに苦労している印象があります。
60手目に仕切り直しとばかりに銀を引きますが、ここから西山女王の反撃が始まります。
里見陣はバランス型なので薄いのが弱点です。
西山女王の歩頭桂が綺麗な決め手で、桂馬を犠牲にすることで馬を好位置に引き付け、必勝形になります。
85手まで西山女王が勝利し、これでタイトルの行方は最終第5局にゆだねられました。

決着の第5局は6月13日(月)に東京・将棋会館で行われます!
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第80期名人戦第5局(渡辺明名人VS斎藤慎太郎八段) [将棋]

渡辺名人の3勝1敗で迎えた第5局です。

〔主催者サイト〕
http://www.meijinsen.jp/

第5回abemaTVトーナメントが進んでいます。
チーム斎藤は斎藤慎太郎八段、木村一基九段、佐々木勇気七段という強力メンバーで、圧勝するかと思ったら予選は2位通過でした。
斎藤八段は予選で3勝2敗なので、ボチボチでしょうか。
abemaTVトーメントは持ち時間5分、1手ごとに5秒加算の超早指しですが、長考派の斎藤八段はあいかわらずじっくり考えます。
それでこの成績ですから、調子自体は悪くないのかな、と思います。
チーム渡辺は最終Eリーグの登場で、予選でチーム藤井と激突します。
渡辺名人はチームはともかく個人成績的にはあまり奮いませんが、3回目となるチーム戦でどのような戦略で挑むのか注目です。

〔棋譜〕※棋譜は「徹底解説!将棋の定跡」様より。
https://www.youtube.com/watch?v=fGRIYlRnaCw

ということで、将棋です。
戦型は斎藤八段の得意戦法である角換わりとなりました。分厚い書著も出しているので、思い入れの深い作戦だと思います。
そこから相早繰銀となりますが、先手渡辺名人が5八玉~6八玉と寄ったり、3八金に構えたりと工夫を見せます。
序盤早々にお互いに時間を使っているので、力勝負になっているのだと思われます。
両者とも攻め駒を責める展開となり、先に突破したのは斎藤八段。と金を作り、安い駒で攻める分かり易い展開ですが、先手渡辺名人の安全を確保しながらの攻めが早かったです。
成銀と馬が上部を見張っているため先手玉を詰ますのは容易ではなく、斎藤玉は金銀3枚に守られているとはいえ玉が囲いから離れているので攻められるともろいです。
97手まで渡辺名人が盤石の勝利で、これで4勝1敗で名人防衛、3連破を達成しました。
斎藤八段は2年連続の挑戦も同じスコアで敗れました。

渡辺名人おめでとうございます!
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【公募情報】第18回台所・お風呂の川柳募集(川柳・7/15〆) [公募情報]

台所とお風呂の組み合わせが意外です。

〔主催者HP〕
https://www.kitchen-bath.jp/wp-content/uploads/2022/04/861c1e86e99f3c11254d2f122681d2f2.pdf

キッチン・バス工業会があります。
沿革を見るとステンレス浴槽工業会とステンレスシンク工業会が合併して誕生したようです。
昭和時代の浴槽はステンレスが多かったので、そう考えると両者は共通項が多いのかもしれません。
テーマとしては「台所、お風呂、洗面」になります。
応募締切は令和4年7月15日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:川柳
テーマ :台所、お風呂、洗面
キッチン・バス大賞:商品券5万円
応募締切:令和4年7月15日
応募方法:インターネット、FAX、郵送

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【書評】森見登美彦『恋文の技術』 [書評]

ユーモアたっぷりの書簡体小説です。


([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

([も]3-1)恋文の技術 (ポプラ文庫)

  • 作者: 森見 登美彦
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2011/04/06
  • メディア: 文庫



主人公は人里離れた研究所に送り込まれた大学院生です。
恋文の確立すると宣言し、愛しい人にいつか恋文を送るため、いろいろなひとと文通を繰り返します。
普通、書簡体形式というと、A→B、B→Aの繰り返しです。
ところが、この本はひたすら主人公から相手方への手紙、つまりA→Bだけで構成されています。
それでも、手紙の中で返信の内容に触れているため、B→Aがどのような文面だったのか概ね理解できます。
とにかく登場人物が変なひとばかりで、奇想天外な事件ばかり起こるのですが、自分が感心したのはその構成です。
全12章で最後が愛しい人への恋文なのですが、1~10章がその手前の11章を活かすために存在していることです。
愛しい人への恋文の中で、主人公は、最も美しい手紙として風船に結ばれて空に浮かんでいる手紙だと書きます。
「伝えなければならない用件なんて何も書いていない。ただ、なんとなく相手につながりたがっている言葉だけが、ポツンと空に浮かんでいる」
このフレーズにしんみりとしました。
なかなかの傑作だと思います。

思いっきり笑いながら、読後感の良い小説を読みたいひとのために!
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【公募情報】東京中野物語2020文学賞(中編・9/15〆) [公募情報]

中野区は多種多様な人材を育んできました。

〔主催者HP〕
https://nakano-story.jp/

主催者HPにこうあります。

>中野区は、日本の各地から単身での上京を選んだ多くの若い世代が青春の一時代を過ごし、都会でめぐりあった人々との交わりの中で、成功、失敗を味わいつつも、その才能を育みながら成長し、日本の未来を担う人材を常に各地に輩出し続けてきました。

>映画、演劇、アニメ関係者が多く居住する中野区の特性を活かすためにも、映画化・演劇化・アニメ化に繋がる作品を歓迎します。

ここから考えると、若い世代による映像化に向いた作品が求められているのかなという感じがします。
一次選考、二次選考もインターネットで発表されるのも魅力的です。
制限枚数は30字×40行(縦組み)で30枚以上70枚以内、応募締切は令和4年9月15日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:中編小説
テーマ :不問
制限枚数:30字×40行(縦組み)で30枚以上70枚以内
大  賞:賞金30万円
応募締切:令和4年9月15日
応募方法:インターネット、郵送
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最近の日常【令和4年5月中旬】 [日常]

〔TVの凋落について〕
フジテレビで早期退職が増加しているというニュースがあった。
しかも経理部門がどんどんやめているという。
いまの若い人は本当にテレビを見ない。
ネットで好きな時間に好きなコンテンツを見られる時代に、時間が決まっているテレビはもう時代にそぐわない気がする。
Youtberが稼げているのも、広告媒体として視聴者とダイレクトにつながるネットが大きくなっているひとつの証拠なのかもしれない。
また、テレビを見る必要性がなくなったというのも大きいと思う。
天気もニュースもネットの方が詳細で詳しいし、ニュースの解説にしても専門家がYoutube等で直接発信している時代なので、わざわざテレビ局の意見なんて聞かなくてもいいし。
新聞も同様の傾向にあるかな。
とはいえ、気軽な娯楽の王様として、テレビ局はこれからも続いていくとは思うのですが。

〔本を捨てた話〕
自宅に『家庭の医学』と『薬の辞典』という分厚い本がある。
リサイクル図書でGETした本なのだが、思い切って捨てることにした。
知識系はどうしてもデータが更新されるので、古い情報は使えなくなる。
医学も薬もネットに豊富な情報があふれているし、基本的にネットで調べるのでいらないのかなあと。
こういう知識系のはいろいろ持っているが、ネットに転がっていなさそうなものや、断片的な知識では全体像が分かりにくいものは持ち続けています。
マニアックな本が多いので、具体的なジャンルは避けておきますが(笑)
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第33期女流王位戦第3局(里見香奈女流王位VS西山朋佳女流二冠) [将棋]

里見香奈女流王位の1勝1敗で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/

女流王位戦の第3局は旧伊藤伝右衛門邸で行われるのが恒例になっています。
ここは筑豊の炭鉱王と呼ばれた伊藤伝右衛門と歌人柳原白蓮が過ごした邸宅です。
柳原白蓮は明治18年生まれで、大正天皇の従妹にあたる血筋です。伯爵令嬢です。対する伊藤伝右衛門は大金持ちですが炭鉱労働者からのたたき上げで学問はありません。
この結婚は当時の新聞にセンセーショナルに取り上げられました。
白蓮は伊藤伝右衛門の前にも結婚歴があったので再婚です。
しかし、2度目の結婚も上手くいかず、文学仲間と恋仲となり、なんと大正10年に出奔します。
白蓮36歳、恋人は29歳のときでした。
ようやく落ち着ける場所を見つけた白蓮でしたが、貧乏生活が続き、白蓮を悩ませるできごとが次々とおきます。
それても夫婦仲は円満で、ようやく落ち着ける場所を見つけたのだと思います。
晩年は夫と娘夫婦に見守られながら穏やかな日々を過ごし、昭和42年に81歳で死去しました。
これでも紆余曲折・波乱万丈なな人生も珍しいと思います。
たまには対局場の謂れと歴史を紹介してみました。

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryu-oui/kifu/33/joryu-oui202205250101.html

ということで将棋です。
振り飛車党の両女傑です。
本局もいつもように相振り飛車になるかと思いきや、24手目に後手の里見女流王位が8四歩とつき、居飛車を選択します。
しかも2筋の歩は5段目まで伸び、居玉のまま銀二枚が前線に出動し、まさに乱戦上等のフリースタイルです。
戦いはお互いに飛車のいない中央で始まります。
お互いに金銀を前線に出してねじり合いですが、評価値的にはこの時点で後手側にかなり振れています。
後手の桂馬が捌けていること、先手の銀が壁形になっていることもありますが、何かのタイミングで壁銀を引けばまだまだと思っていました。
ところが、里見女流王位はその隙を与えません。
次々と攻め手を繰り出し、さらに相手の反撃の銀を丁寧に追い返す盤石ぶりです。
70手まで里見女流王位が持ち時間を半分以上残す完勝で、これで防衛まであと1勝と迫りました。
乱戦に強い西山白玲をここまで一方的に押し切るとは、驚きの強さです。

第4局は6月7日(火)に徳島県徳島市「JRホテルクレメント徳島」で行われます!

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第7期叡王戦第3局(藤井聡太叡王VS出口若武六段) [将棋]

藤井叡王の連勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/

叡王戦第1局について、勝又清和七段が文春オンラインに興味深い記事を寄せています。
https://bunshun.jp/articles/-/54190?utm_source=twitter.com&utm_medium=social&utm_campaign=onlinePublished
特に出口六段が小学生団体戦に出場したときのエピソードが秀逸です。
明石将棋センターで研鑽する同じ小学生の友達と組んだのですが、あと1名足りない。そこでその友達が初心者の子にお願いして出場にこぎつけます。
もちろん初心者の子は勝てないのですが、西日本代表決定戦で予選を通じて初めて勝ち、自分の将棋そっちのけで喜んだそうです。
出口六段の人柄が忍ばれるエピソードだと思います。
上記にあるように、加古川将棋センター出身なので、師匠は井上慶太九段です。
初のタイトル戦は角番に追い込まれて苦しい状況ですが、兄弟子の菅井竜也八段につづいてのタイトル獲得を目指して、白星を持ち帰ることができたしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/7/eiou202205240101.html

ということで、将棋です。
戦型は若手らしく相掛りになります。
後手出口六段は歩損を受け入れる代わりに手得を主張する横歩取りのような展開になります。
52手目から未知の局面に入りますが、功罪はともかくとして藤井叡王の45手目には驚かされました。
数手前に右に寄ったばかりの玉を左に戻しました。
陣形に合わせて玉を移動する、手損をいとわない令和の感覚という気がします。
先に攻めたのは出口六段でした。角切りからゴリゴリと7筋を攻めていきます。
藤井叡王も反撃しますが、歩の上に成桂が乗って重い形です。出口六段はチャンスと見て、再びの角切りから銀を打ち込みます。
やや出口六段優勢で迎えた終盤戦ですが、すでに1分将棋です。
勝負を分けたのは91手目でした。藤井叡王の飛車打ちに、金打ちで弾きますが、ここは怖いですが金を節約するのが正解だったようです。
ただ、1分将棋ならやむを得ないかなと思います。
敗着とされた102手目の4二銀にしても、こう打ちたくなるところです。
出口六段は善戦しましたが、最後は藤井叡王の正確な終盤力に屈しました。

109手まで藤井叡王が3連勝し、これで叡王初防衛を決めました。
出口六段はインタビューで涙を流したそうですが、この悔しさは次の機会で晴らしてくれると思います。
藤井叡王はこれで史上2位のタイトル戦13連勝を達成です。
おめでとうございます!
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