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【書評】萬年甫『動物の脳採集記~キリンの首をかつぐ話~』 [書評]

解剖学者が、戦後間もない時期に様々な動物の脳を採集したときの抱腹絶倒記です。


動物の脳採集記―キリンの首をかつぐ話 (中公新書)

動物の脳採集記―キリンの首をかつぐ話 (中公新書)

  • 作者: 万年 甫
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 2021/05/01
  • メディア: 新書



時期としては昭和20年代後半から30年代が中心です
文献もなくぶっつけ本番で挑むのですが、キリンの話が傑作です。
当時は高速道路もなく、研究費もなく、移動はすべて電車でした。
動物園に頼み込んで、死亡したキリンを解体し、脳をホルマリンの瓶にいれたまでは良かったですが、さて現場では脊髄が取り出せない。
キリンの首を切り取って研究室に電車で持ち帰ることにしたのですが、布でぐるぐる巻きにして駅員に呼び止められたら「釣り竿です」とごまかそうとしたのに、途中で死後硬直が解けて、キリンの首がへたって頭の上に乗っかってきた話はとにかく面白い。
ゾウの話では、いろいろと脱線して、戦後まもなくの時期に公開された映画『ゾウを食った連中』の話になり、さらに調べてシナリオを探し出したりして、とにかく自由奔放な筆がさえまくります。
ちなみにハンドウイルカの命名を提案したのは著者だそうです。

とにかく面白い新書を読みたいひとのために!
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