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【映画】メメント [映画評]

クスストファー・ノーランの名前を一躍有名にした傑作スリラーです。


メメント [Blu-ray]

メメント [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • 発売日: 2010/12/22
  • メディア: Blu-ray



元保険調査員の青年、レナードが主人公です。
彼は妻がレイプされたあげくに殺害されて、そのときに犯人から受けた頭部への打撲と精神的ショックにより、事件以降については10分しか記憶が持ちません。
彼は記憶代わりにメモと写真を活用して、復讐のために犯人を追い続けます。
これが本筋ですが、10分しか持たない記憶を映画でどう表現するか、その表現方法が独特で革新的です。
映画は白黒パートとカラーパートに分かれます。
白黒パートは過去で、時系列順に並んでいます。カラーパートは現在進行形ですが、時系列は逆向き、つまり遡っていきます。
だから観客は、主人公と同じく、なぜこの状況に陥っているのか理解できません。
白黒パートを挟み、次のカラーパートで先ほどの状況に陥った経緯を理解しますが、いまの状況はやはり分かりません。
その状況を理解するには次のカラーパートを待ちます。
こうした白黒パートとカラーパートが交互に重なり、時系列てきにどんどん近づき、重なったところで全ての謎が分かるという仕組みです。
この手の作品は、構造の妙だけで話を進めたくなりますが、それぞれの断片にナゾと驚きが仕掛けられており、最後のどんでん返しも決まっており、これはまさに傑作だと思います。
製作費900万ドルで封切り時に11館だった上映劇場が500館以上に広がり、アカデミー賞にも複数ノミネートされています。
最終的に興行成績は4000万ドルまで伸びましたが、2000年代の映画としては4作品目(劇映画としては初)となるアメリカ国立フィルム登録簿に追加されたことが、この映画の価値を表していると思います。

歴史に残るノーラン監督の傑作作品ですのでぜひ!
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【書評】八杉康夫『戦艦大和 最後の乗組員の遺言』 [書評]

17歳で大和に乗り込み、測距儀を担当した海兵の体験談です。


戦艦大和 最後の乗組員の遺言 (WAC BUNKO 217)

戦艦大和 最後の乗組員の遺言 (WAC BUNKO 217)

  • 作者: 八杉康夫
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2015/04/06
  • メディア: 新書



大和は日本で一番有名な軍艦です。
書籍は多数で、映画化もされています。
体験談もいろいろあります。
八杉氏は世代的には一番若く、大和特攻の直前に乗り組んだため、他の記憶と混同することがないのが特徴になるかと思います。
八杉氏が入隊志願したのは18年後半で、すでに戦局は傾いている時期でした。
大和出航のときも、その前から「今度の出撃が最後」と匂わされていました。
著者が担当する測距儀ですが、手法を撃つためのレンズみたいなものです。
ところが大和特攻では空は雲に覆われ、測距儀の観測範囲に入る前に敵機は雲に隠れ、そしていきなり上空から襲い掛かってきたので著者の出番はありませんでした。
ただ、大和が被害を受ける様子を描写するところは悲しくなります。
大和が被害を受けて金属がきしむときは、キーンではなく、うぉーんという耳鳴りのような音がした、という証言は生々しいです。
沈没後の話もあります。
広島に原爆が落とされ、救護舞台として現地におもむいた話。陸戦隊となり、歩兵銃もいきわたらない中で自爆兵器の練習をさせられた話。
あと吉田満『戦艦大和の最後』の誤りを本人に指摘したら「ノンフィクションではありません」と開き直られた話。
たしかのフィクションですが、有名になった救護を求める海難者の手首を切り落とした話を、行為者が特定される形で書くのは良くないと指弾したら吉田氏が黙ってしまった話もあります。
また、有名な臼淵大尉の「新生日本」の名言も、これも当時の状況からするとありえないと指摘します。
「フィクション」が事実として独り歩きするのを防ぐには、証言を残すしかないんでしょうね。
八杉氏の証言は、他の著者の証言と重なる部分が多々ありますが、それでも貴重な本だと思います。
残してくれて感謝です。

戦艦大和の乗組員の貴重な証言を確認したいひとのために!
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ABEMAトーナメント2023【2回戦:T藤井VST斎藤】 [将棋]

対照的なチーム構成です。

〔番組HP〕
https://abema.tv/video/title/288-37

チーム藤井はリーダー以外はフィッシャー初参戦。チーム斎藤は全員経験者と好対照のチーム編成です。
しかし、澤田七段は安定した白星を上げており、全員活躍のバランスの良いチームになっています。
1勝1敗で迎えた第3局にリーダー対決が実現しました。
斎藤八段が優勢でしたが、最終盤で藤井竜王名人がひっくり返します。藤井リーダー強しです。
また冨田四段戦でも、四間飛車の相穴熊に対して自然な指し手で完封するなど、とにかく強いです。
齊藤四段も苦しい将棋をひっくりかえすなどして、チーム藤井が5-2で勝利。
準決勝進出を決めました。

来週からは準決勝です!

 【チーム藤井】   【チーム斎藤】
☖澤田 真吾 ● - ○ 黒田 尭之☗
☖齊藤 裕也 ○ - ● 冨田 誠也☗ 千日手
☖藤井 聡太 ○ - ● 斎藤慎太郎☗
☗齊藤 裕也 ● - ○ 冨田 誠也☖
☖澤田 真吾 ○ - ● 黒田 尭之☗
☗藤井 聡太 ○ - ● 冨田 誠也☖
☖齊藤 裕也 ○ - ● 斎藤慎太郎☗

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