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【書評】八杉康夫『戦艦大和 最後の乗組員の遺言』 [書評]

17歳で大和に乗り込み、測距儀を担当した海兵の体験談です。


戦艦大和 最後の乗組員の遺言 (WAC BUNKO 217)

戦艦大和 最後の乗組員の遺言 (WAC BUNKO 217)

  • 作者: 八杉康夫
  • 出版社/メーカー: ワック
  • 発売日: 2015/04/06
  • メディア: 新書



大和は日本で一番有名な軍艦です。
書籍は多数で、映画化もされています。
体験談もいろいろあります。
八杉氏は世代的には一番若く、大和特攻の直前に乗り組んだため、他の記憶と混同することがないのが特徴になるかと思います。
八杉氏が入隊志願したのは18年後半で、すでに戦局は傾いている時期でした。
大和出航のときも、その前から「今度の出撃が最後」と匂わされていました。
著者が担当する測距儀ですが、手法を撃つためのレンズみたいなものです。
ところが大和特攻では空は雲に覆われ、測距儀の観測範囲に入る前に敵機は雲に隠れ、そしていきなり上空から襲い掛かってきたので著者の出番はありませんでした。
ただ、大和が被害を受ける様子を描写するところは悲しくなります。
大和が被害を受けて金属がきしむときは、キーンではなく、うぉーんという耳鳴りのような音がした、という証言は生々しいです。
沈没後の話もあります。
広島に原爆が落とされ、救護舞台として現地におもむいた話。陸戦隊となり、歩兵銃もいきわたらない中で自爆兵器の練習をさせられた話。
あと吉田満『戦艦大和の最後』の誤りを本人に指摘したら「ノンフィクションではありません」と開き直られた話。
たしかのフィクションですが、有名になった救護を求める海難者の手首を切り落とした話を、行為者が特定される形で書くのは良くないと指弾したら吉田氏が黙ってしまった話もあります。
また、有名な臼淵大尉の「新生日本」の名言も、これも当時の状況からするとありえないと指摘します。
「フィクション」が事実として独り歩きするのを防ぐには、証言を残すしかないんでしょうね。
八杉氏の証言は、他の著者の証言と重なる部分が多々ありますが、それでも貴重な本だと思います。
残してくれて感謝です。

戦艦大和の乗組員の貴重な証言を確認したいひとのために!
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