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【書評】大久保真紀『児童養護施設の子どもたち』 [書評]

著者は10年以上も現場で取材を重ねてきました。


児童養護施設の子どもたち

児童養護施設の子どもたち

  • 作者: 大久保 真紀
  • 出版社/メーカー: 高文研
  • 発売日: 2011/05/01
  • メディア: 単行本



ノンフィクションだからこそ書ける重い話が満載です。
悲惨な生い立ちを持った子どもたちが、これでもか、これでもかと出てきます。
どれだけ親に酷い仕打ちを受けても、虐待されても、子どもは親を信じて、いい子になれない自分を責めます。
その姿が、なんとも重くて、胸が苦しくなりました。
子を持つ親のひとりして信じられませんが、こうした現実が世の中にはあるということなのでしょう。
何かをしなければ、と思わせる力のある本だと思います。
保育園の話がよく話題にでますが、こうした事実を知ると、児童養護施設にも目を向けて欲しいと願うようになりました。

児童養護施設の実態を知りたいひとのために!
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【書評】東野圭吾『祈りの幕が下りるとき』 [書評]

第48回吉川英治文学賞受賞作です。


祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

祈りの幕が下りる時 (講談社文庫)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/09/15
  • メディア: 文庫



本作は加賀恭一郎シリーズの第10作にあたります。
いままで秘密にされてきた加賀恭一郎の母親が登場し、失踪の理由から死までが明かされます。
加賀恭一郎というと冷厳な観察眼を持ちながら人情味に溢れ、僅かなとっかかりから大胆な推理を繰り広げるのが魅力です。
本作についての自分の印象ですが、ややガリレオシリーズに近いというか、人情味がやや薄まった印象を持ちました。
ラストで、日本橋署からの異動が告げられます。
加賀恭一郎シリーズが終わるのか、それとも本庁の捜査一課での活躍が見られるのかは作者の気持ち次第かもしれません。

加賀恭一郎シリーズファンのために!

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第3期叡王戦第2局(金井恒太六段VS高見泰地六段) [将棋]

高見六段の先勝で迎えた第2局です。

【中継サイト】
http://live.shogi.or.jp/eiou/

叡王戦の特徴は、持ち時間が4種類あること、チェスクロック式であることです。
1時間、3時間、5時間が2局ずつで、最終戦にもつれ込んだときのみ6時間です。
チェスクロック式なので、1時間といえば実質的に30分ぐらいです。
このルールは、当時の日本将棋連盟会長である佐藤康光の考案によるもので、「短距離走・中距離走・長距離走のような形で、戦略性と総合力が求められる」とのことです。
5時間が長距離かと言われれば、チェスクロック式なので微妙なところですが、自分の感覚だと超短距離、短距離、中距離の戦略性といった感じでしょうか。
第1、2局が5時間なので様子見で、1時間、3時間での持ち時間んでの戦い方が勝負を決めそうです。
さあ、勝負の局の前に、有利な体勢を築くのはどちらでしょうか!

【棋譜】
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/3/eiou201804280101.html

ということで将棋です。
居飛車の力戦形となりますが、序盤はやや先手高見六段有利で進みます。
敵陣深く切り込む2一銀が好手で、やや指しやすいと見られましたが、金井六段も頑張り、馬をつくって引き上げたときには後手優勢となり、評価値も1000を超えました。
普通ならこのまま押し切れそうですが、ここから高見六段の勝負術が冴えます。
持ち駒は歩しかありません。
その歩を2四にあわせてから4六馬と途中下車して成銀を責めるのが、時間のない後手の焦りを誘います。
ここで攻めあえば優勢を維持できたようですが、1分将棋では読めません。
手筋で先手陣を崩しながら成銀を滑り込ませますが、ここでほぼ互角評価。
こうなっては流れが決まりました。
後手から決着を付けに行きますが、寄せきれていなく、逆に後手に討ち取られてしまいました。
金井六段は第1局に続いて惜しい将棋を落としました。
第3局は5月12日(土)、宮城県宮城郡松島町「瑞巌寺」でおこなわれます!

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創作状況【4月下旬】 [ぼくの公募状況]

急に暖かくなってきました。

【メルマガ原稿】
 今月のメニューはこちらです。
◆創作に役立つ書籍紹介(第11回)
 ~李白の巻~
◆リアルタイム企画・TO-BE小説工房に挑戦中(第36回)
◆公募情報数点
 創作に役立つ書籍紹介では、なんと李白を取り上げます。
 どんなジャンル・時代の創作物でも、つながる部分はあるものです。
 メルマガ登録はこちらから。もちろん無料です!
 http://www.arasuji.com/saitomagazine.html

【小説現代・ショートショートコーナー】
 ストックが多少あるので、投稿するのみ。
 そういえばホチキスが見当たらない。愛用品だったのに、家族が勝手に使って元に戻さないものだから、いつもなくなるんだよなあ。
 自分専用に隠しておかないと。

【TO-BE小説工房】
 今月は早めに応募する。先月のように、締め切り直前に職場に泊り込みとかなって、また応募できなかったら嫌なので。参加するこに意義がある状態なのですが。
 来月用の作品を書く。テーマが隣人なので、「困った隣人」で検索する。いろいろな面白いひとがいるのね。これは赤の他人だから楽しめるけど、当事者になったらたまったものじゃないけど。
 軽く調べたことをベースに、さらりと書いてみる。ちょうど五枚だ。ラストは殺人の予定だったけど、強引にちょっといい話にしてみる。まあ、自分がよく使うパターンなのですが。

【星新一賞】
 第2案の素案を完成させる。かなり変態です。
 アイデアとしてはアリなのだが、書くひとによって百通りに化けそうなネタです。こういうアイデアこそ、構想力というか、実力が試されるのでしょうが、はてはて。

【創元SF短編賞〕
去年は時間が無くてグタグタだったので、今年は早めに取り掛かります。
星新一賞に応募した作品を創元用に分量を伸ばすのが毎年のパターンです。
追加資料が必要なわけではないので(多少は調べますが)、あとはイメージを膨らませるのみです。
星新一賞の分量だと、どうしても筋を追うのが一杯になってしまう部分があるので。

【北区内田康夫ミステリー文学賞】
寝かし中です。マニアックなネタです。

【福島正実SF童話賞】
 先はながいのでのんびりと。

【ゆきのまち幻想文学賞】
 再来年用の作品用に資料を収集する。
 検索の仕方が難しくて、いい本がヒットしない。やはり海外を舞台にするのは難しいですね、しかも歴史物だし。
 それでも、いろいろ試して、2冊ほど借りてみた。分厚くてげんなりしますが。
 順番的に創元SF短編賞の次に取り掛かります。

【ミステリーズ!】
 連作2つめに取り掛かりたいけど、まだアイデアのみの段階。順番に取り組みます。

【FACEBOOK】
友達募集中です!
https://www.facebook.com/profile.php?id=100007879718530
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【書評】東野圭吾『あの頃ぼくらはアホでした』 [書評]

東野圭吾の自伝的エッセイ集です。


あの頃ぼくらはアホでした

あの頃ぼくらはアホでした

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1995/03
  • メディア: 単行本



時代としては中学生から就職直前までを振り返ります。
ワルの巣窟だった中学生時代。文化祭で映画を撮った高校時代。アーチェリー部だった大学時代。
それぞれの時代における出来事が、ユーモアたっぷりの筆で描かれています。
特に中学時代のエピソードは最高です。

東野圭吾の生い立ちを知りたいひとのために!

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第11期マイナビ女子オープン第2局(加藤桃子女王VS西山朋佳奨励会三段) [将棋]

加藤女王の先勝で迎えた第2局です。

【中継サイト】
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/

将棋世界に対戦者のインタビューが掲載されています。
西山奨励会三段というと豪腕振り飛車で、力でねじ伏せる将棋という印象があります。
ただ序盤で悪くすることが多く、荒削りの将棋だと思っていました。
しかし、インタビューでも話しているように、挑戦者決定戦では事前準備を丹念に行ったそうです。過去の棋譜を見て「甘いな」と思うこともあるそうです。
成長したと実感できるからこそ、言える言葉なのでしょう。
さあ、西山奨励会三段は成長した証をタイトル戦で見せることができるでしょうか!

【棋譜】
https://book.mynavi.jp/shogi/mynavi-open/result/11/mynavi201804250101.html

西山奨励会三段が選んだ作戦は、角交換向い飛車です。
佐藤康光九段創設のダイレクトではなく、四間にいったん振ってから、向い飛車に振りなおします。
序盤に加藤女王が盤上に角を放って歩得を果たしますが、それに対する西山奨励会三段の攻めがびっくりです。
なんと飛車を取らせる桂跳ねです。もちろん先手大きな駒得です。
加藤女王は馬をひきつけて銀を打たせてからさらに香車を取りますが、振り返るとここが問題だったようです。
中盤を制圧した西山奨励会三段が5五桂馬からドンドン攻めていき、切らすことができなくなります。
終盤に一瞬だけ加藤女王にもチャンスがありましたが、そのまま西山奨励会三段が押し切り、嬉しい対加藤女王戦初勝利となりました。
大きな1勝だと思います。

第3局は5月16日に福島県郡山市「ホテル華の湯」で行われます!
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最近の日常【平成30年4月下旬】 [日常]

〔カブトムシの幼虫の世話をしました〕
カブトムシは非常に強い。
ある程度まで育つと、ほとんど死なない。
ということで放置していたカブトムシの腐葉土を入れ替える。
うーん、数が多すぎる。
蓋を開けたのは4月15日だが、中にはやや黄色くなって、熟成の進んでいる個体もいる。
意外と早くサナギになってしまうかもしれない。
正直にいって困った……。

〔LED〕
少しずつ電球をLEDに替えている。
とはいえ積極的に交換するわけではなく、蛍光灯の寿命がきたら、LEDに変える程度。
電気代は安いし長寿命なので、結果としてよいのではないかと。
交換する手間も、蛍光灯が切れたといって買い換える手間もないですしね。
とはいえ、まだままだ蛍光灯が主流なのですが。
LEDの長所である効率の良さとの裏返しなのですが、ほとんど発熱しない。
信号機のLED化が促進されているが、どこかの新聞が「LED信号機は雪が溶けなくて危険だ!」とカミツイていたような。
雪が付かないような対策をすべきだ、とならないところが、なんともかんとも。
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【公募情報】阿波しらさぎ文学賞 [公募情報]

徳島新聞が短編小説を募集しています。

【主催者HP】
www.t-bungaku.com/shirasagi/index.html

募集内容は「日本語で書かれた広義の小説」です。
ただし、徳島ゆかりの地域や文化、歴史や産業を作中に登場させるのが条件です。
地域振興を兼ねた文学賞といったところです。
原稿用紙15枚以内というお手軽さがひとつのポイントです。
10枚ではなく15枚というところに、難しさと特殊性があるかもしれません。
応募締切は平成30年6月30日です!

<公募情報抜粋>
募集内容:短編小説
テーマ :作中に徳島ゆかりの地域や文化、歴史や産業を登場させる。
阿波しらさぎ文学賞:賞金30万円
応募締切:平成30年6月30日
応募方法:郵送

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【書評】東野圭吾『虚像の道化師』 [書評]

ガリレオシリーズ第7作です。


虚像の道化師 ガリレオ 7

虚像の道化師 ガリレオ 7

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/08/10
  • メディア: ペーパーバック




本作は原点に戻ったかのように、短編4作が収録されています。
そのうち『幻惑す』が初期のガリレオシリーズの色彩が強く、『演技る』はほとんど科学的な話はでてきません。
そういった意味で、振れ幅の大きな短編集です。
ぼくが一番気に入ったのは、『偽装る』です。
特殊な科学技術が使われているわけではありませんが、ちょっと気がつきにくい、ある有名な物理の法則が犯行を解くヒントになっています。
こうしたちょっとしたコネタを、作品にするのが本当に上手い作家だと思います。

ガリレオシリーズを改めて楽しみたいひとのために!

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【公募情報】さばえ近松文学賞2018~恋話(KOIBANA)~ [公募情報]

鯖江市が文学賞を受賞しています。

【主催者HP】
http://chikamon.hatenadiary.jp/

福井県鯖江市といえばメガネの町ですが、江戸時代に活躍した浄瑠璃・歌舞伎作家の近松門左衛門の出身地でもあります。
『曽根崎心中』や『女殺油地獄』などが有名ですが、募集内容は浄瑠璃や歌舞伎ではなく短編小説です。
主催者HPに「(男女の恋愛だけに限るものではありません)」と記載されていますが、どこまで許されるのかは不明です。
また、1箇所は鯖江市に関するものを入れることが条件であることに注意してください。
制限枚数は原稿用紙10枚まで。応募締切は平成30年6月30日です!

<募集内容抜粋>
募集内容:短編小説
テーマ :「恋」(ただし、1箇所は鯖江市に関するものを入れること)
近松賞 :10万円
応募締切:平成30年6月30日
応募方法:インターネット、郵送

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