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第49期岡田美術館杯女流名人戦第4局(伊藤沙恵女流名人VS西山朋佳女流二冠) [将棋]

伊藤女流名人の1勝2敗で迎えた第4局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

伊藤女流名人の師匠は屋敷伸之九段で、B級1組に在籍している現役バリバリのプレイヤーです。
A級棋士の菅井竜也八段も弟子を取っていますし、同じB級1組だと久保利明九段、来年度からB級1組復帰を決めた木村一基九段も弟子を取っています。
現役バリバリのプレイヤーが弟子を取るのは大変かと思いますが、将棋界の活性化のためには良いことだと思います。
屋敷九段ですが、いまのところ弟子は伊藤女流名人だけのようです。
将棋コラムのインタビューでも関係が良好なことが伺われ、第2回女流ABEMAトーナメントでもチーム伊藤は監督として屋敷九段を迎えています。
前局で1勝を返したとはいえ、伊藤女流名人は角番で、厳しい情勢なのは変わりません。
さあ伊藤女流名人はさらに白星を重ねて、師匠に良い報告ができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/49/joryumeijin202302240101.html

ということで、将棋です。
将棋は先手西山女流二冠の初手7八飛で幕を開けました。
そこから伊藤女流名人、西山女流二冠ともに銀冠に構えますが、伊藤女流名人が8筋方面で手を掛けている間に西山女流二冠は4筋の位を取り、左銀も右側に寄せ、玉頭方面で厚みを築きます。
序盤は西山女流二冠に主張のある展開となりましたが、伊藤女流名人の真骨頂は粘りです。
玉頭方面からの一斉攻撃を、穴を掘って堪え忍ぶと、今度は穴から脱出して入玉を目指します。
評価値をみると乱高下していますが、それだけ焦点がはっきりしない難しい将棋になったのだと思います。
こうした展開に持ち込んだ、伊藤女流名人の受けの上手さが光ります。
中段玉で城壁を築いた後手が優勢になったと思われましたが、入玉を目指して4五玉を上がったのが痛恨のミスとなりました。
1分で放たれた手裏剣の歩、3三歩が後手陣の秘孔を突く一手となり、一気に城壁が崩れます。
一瞬の隙を突いた西山女流二冠の勝負強さが光ります。
伊藤女流名人もなんとか入玉を果たしますが、最後は敵陣で捕まり、155手まで投了。
これで3勝1敗で西山女流二冠が女流名人を奪取、女流三冠となりました。

西山女流名人おめでとうございます!
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【書評】門田隆将『汝、ふたつの故国に殉ず~台湾で「英雄」となったある日本人の物語』 [書評]

台湾の二二八事件の犠牲となった坂井(湯)徳章の物語です。


汝、ふたつの故国に殉ず 台湾で「英雄」となったある日本人の物語 (角川文庫)

汝、ふたつの故国に殉ず 台湾で「英雄」となったある日本人の物語 (角川文庫)

  • 作者: 門田 隆将
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2020/02/21
  • メディア: 文庫



坂井徳章は日本人の父と、台湾人の妻との間に生まれました。
父は台湾で警察官をしていましたが、日本の施政下にはいって間もなくの時期で、暴徒によって惨殺されました。
徳章は幼いころは台湾で成長し、長じてからは父の縁者を頼りながら日本で勉強し、司法試験を突破します。
日本でのエリートの道を約束されながら、徳章は台湾に戻り、台湾人の人権向上のために働くことを誓います。
戦後、中華民国となった台湾に襲い掛かったのは、戦勝国としてやってきた無学な国民党による略奪と殺戮です。
中国人の残虐さを理解していた徳章は学生による暴徒を抑えながらも、日本人であることに目を付けられ、国民党に捕まり、銃殺されます。
徳章の生涯は、正義です。脅しには屈折せず、人並外れた努力で夢を実現してきました。
歴史を知ると、台湾が親日国になる理由が分かる気がします。

二二八事件で散った英雄の話を知りたいひとのために!
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第81期順位戦展望【B級2組~C級2組・終盤戦】 [将棋]

1局を残して昇級者が決まりつつあります。

[B級2組]
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2022/81b2/index.html

最終局を前にして、昇級者が3名とも決まりました。
大橋貴洸七段と増田康宏七段は初のB級1組、木村一基九段は1期でのB級1組返り咲きです。おめでとうございます。
これで来季のB級1組は、鬼中の鬼の住処になりそうです。史上最強のB級1組になるかもしれません。
中田宏樹八段の訃報が届きました。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。

[C級1組]
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2022/81c1/index.html

ハイレベルな争いとなり、いまだに昇級者が決まりません。
全勝は伊藤匠五段、8勝1敗は石井健太郎六段、青嶋未来六段、渡辺和史五段の
3人。7勝2敗は都成竜馬七段です。最終局に渡辺五段と都成七段の直接対決が組まれています。
今期の調子から上位3人でフィニィッシュしそうですが、ベテランの一発があるのが順位戦の怖さです。最後まで分かりません。
残留争いでは、髙野秀行六段が二度目の降級点が決定しています。2勝勢に順位の高い棋士が多く、最終局で大きく変動するかもしれません。

[C級2組]
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2022/81c2/index.html

昇級3枠中2枠が決定。
斎藤明日斗五段は9戦全勝の素晴らしい成績。ここへきて、一皮むけた感じがします。服部慎一郎五段は王将戦リーグ入りなど活躍目覚ましい若手棋士で、当然の昇級です。
残り1枠を争うのは古賀悠聖四段、杉本和陽五段、梶浦宏孝七段、佐々木大地七段の4人です。
古賀四段は勝てば昇級、あとの3名はキャンセル待ちです。古賀四段か佐々木大七段が昇級すれば、フリークラス出身初のC級1組です。
残留争いでは、堀口一史座八段がフリークラス転出決定です。残り1戦でさらにフリークラス転出者が増えるかもしれません。
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