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【書評】門田隆将『狼の牙を折れ』 [書評]

昭和49年に発生した企業連続爆破事件の犯人を追う警察を描くノンフィクションです。


狼の牙を折れ: 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部

狼の牙を折れ: 史上最大の爆破テロに挑んだ警視庁公安部

  • 作者: 門田 隆将
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/10/24
  • メディア: 単行本



この事件には背景があります。
当時は若者が反権力の熱に浮かされていた時代で、そうした中で犯人たちははアナキズム系の武闘派左翼グループを結成し、日本を代表する企業への爆破を繰り返しました。
捜査は難航しますが、犯人が送り付けた犯行声明を分析し、思想的背景をあぶりだします。
そこから犯人像を割り出し、可能性のある人物たちの尾行を続け、ついに犯人までたどり着きます。
門田隆将らしく、関係者から丁寧に話を聞き、それらを見事にひとつのノンフィクションにまとめあげています。
警察の執念と苦労が結実した捜査に感服です。
エピローグで触れられていますが、クアラルンプール事件やダッカ事件で日本政府がテロ組織の要求に屈し、メンバーのうち何人かが超法規的措置で釈放されています。
そのため、この事件はいまだに終わっていません。

昭和の時代を震撼させた大事件を知りたいひとのために!
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Yomeba!第11回ショートショート募集で「告白草」が印象に残った作品に選ばれました! [予選通過]

2年ぐらい前ですが、記録として記事をUPします。
印象に残った作品としては、このときが初めてです。

〔yomeba!〕
https://yomeba-web.jp/ss/ss-offer11/

〔作品 齊藤想『告白想』〕
http://takeaction.blog.so-net.ne.jp/2020-10-28-1
※作品は上記URLを参照

本作は受賞には至りませんでしたが、「印象に残った作品」として取り上げられたので、メルマガで紹介いたします。
ストーリーは「告白草」という野菜を食べたら、誰かの告白が聞こえてくるという、ある意味では新製品ネタの変種です。
ようするに、新薬が野菜になっただけです。
アイデアとしては平凡なので、ここからは技術の出番です。
主人公は3つの告白を受け取りますが、この告白の方向性を揃えました。
では、なぜこのような告白を主人公に食べさせたのか、という部分がオチになります。
このオチを活かす技法が、ミスリーディングです。
読者に「きっとこういう理由だろう」と思わせておいて「実はこんな理由だったのか!」と足払いを食らわせるのです。
自分は「老人が自分の楽しみのために告白を聞かせた」→「実は主人公の心の反映だった」という流れを考えてみたのですが、作品としていまいちでした。
結果としては冴えませんが、考え方の参考としていただければと思いまして。

―――――

……という感じで自分のメルマガでちょっとした解説を書いています。
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