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【公募情報】第7回ニチコミ大賞川柳腕自慢(川柳・3/31〆) [公募情報]

60歳以上限定の公募です

〔主催者HP〕
https://nichicomi.com/senior-club/literary

主催者は株式会社ニチコミで、国内285地区の老連広報誌を発行しています。
老人クラブWebでは、全国の老人クラブの楽しい情報や、シニア向けの充実したコンテンツが満載です。
そうしたコンテンツの中で、定期的に川柳を募集しています。
今回のテーマは『抱負』です。
応募締切は令和4年3月31日ですが、60歳以上限定であることに注意してください!

<募集要項抜粋>
募集内容:川柳
テーマ :抱負
大  賞:賞金1万円
応募締切:令和4年3月31日
応募方法:はがき
その他:60歳以上限定
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第6回光友会福祉川柳で佳作に選ばれました。 [受賞報告・自作掲載]

すでにメルマガやぼくの公募情報で触れていますが、記事としては書き忘れていたのでUPしました。

〔主催者HP〕
https://www.lfa.jp/news/202201111.html

佳作に選ばれた作品は「今日できた 明日はできない それでいい」です。
川柳で入選するのは2回目です。
初めて入選したのは田子町にんにく川柳で、「おじいちゃん にんにく食べすぎ 元気すぎ」というベタな作品を送ったところ採用されました。
田子町のにんにくセットが送られてきて驚きました。
川柳はほとんど応募してこなかったのですが、そのとき以来の、ひさしぶりの入選です。

今回の川柳ですが、ぼくなりの実感が籠っています。
毎日進歩すれば良いのですが、福祉の現場では、むしろ逆のことが多いと思います。
「それでいい」
そう思えるように、ありたいと願っています。

今後もちょこちょこ川柳応募を続けていきたいと思います。
今回は佳作に選んでいただき、本当にありがとうございました。


―――――

創作に役立つミニ知識をメルマガで公開しています。
無料ですので、ぜひとも登録を!

【サイトーマガジン】
https://www.arasuji.com/mailmagazine.html
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創作状況【2月上旬】 [ぼくの公募状況]

自作が収録されている『ショートショートの宝箱5』が2月15日に発売です!

【第173回の内容紹介】
◆創作に役立つ本 ~ ハンス・ロスリング『FACT FULNESS』~
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第4回)
◆おまけのもう1作
◆公募情報数点

 来月のテーマは「情報の真偽を判断する方法」についてです。
 次回発行は3月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
 https://www.arasuji.com/mailmagazine.html
 ※ページの下の方に登録フォームがあります。

【ショートショートガーデン】
外国で問題になりつつあるテーマを取り上げてみました。○○○○棒で殴られそうですが。
〔選考基準〕
https://short-short.garden/S-uCTrMr

【小説でもどうぞ】
今月のテーマは「写真」です。
少しアイデアの作り方を変えてみたが、うまくアイデアが作品としてまとまらない。
で3.5枚まで書いたが構成的にいまいちなので、書き直して、また書き直してようやく5枚にまとまる。
複雑な作品ではなく、一発ネタのショートショートなんですけどね。
あとは地道に推敲をしていきます。


【yomeba!】
ショートショートの宝箱の最新作の感想です。

 ピーター・モリソン 『布団の中の仲居さん』

余命を告げれた主人公が旅にでて、そこで勝手に布団に入り込む仲居さんと出会います。
その仲居さんは不思議な力を持っていて、死の床を巡ることができます。
これ自分の感覚ですが、前半がもっさりかなあと。
「余命を告げられ、旅に出た」で始まりますが、どんな病気か分かりませんし、本人は腹部に違和感があるだけで、至ってピンピンしています。
この設定の必要性がピンとこないのと、ラスト近くで唐突に母がでてくるので、伏線の貼り方がちぐはぐなような気がします。
ラストもいまひとつです。
ただ「温もりは消えない。ただ居場所を変えるだけで」というセリフが印象の残りました。
むしろこのセリフを軸にストーリーを作って欲しかったなあと感じました。
物語になる力を秘めたセリフだと思うので。


【星新一賞】
第7回星新一賞受賞作品を順番に読んでいます。

・ジュニア部門 優秀賞 『何かやり残し保険』 蓑田竜也

死んだら記憶や思考がAIにコピーされて、5日間だけやり残したことを実行できるというアイデアです。
ですが、厳しいことを言えば成立していません。
あくまでコピーであり、本人は死んでいます。
オチは保険のさらなる延長を進められることなのですが、本人が死んでいるのでコピーには権利能力がありません。コピーではなく、権利能力を有したままAIに移行する必要があります。
また、著者が中学生ということを割り引いても、文章力が不足しています。例えば冒頭を「朝、レイジはいきなり目が覚めた。というより、いきなり部屋の中に立っていた」ではなく「出勤時間5分前に目覚めるはずが、気が付いたらすでに部屋の中で立っていた」とすれば、さり気なくキャラが社会人であることや、説明ができます。
こうした様々な工夫を「これから勉強」という感じですね。


【創元SF短編賞】
古いNHKスペシャルを視聴する。
ひも理論だけど、なんか、現実感が湧かないんだよなあ。
それより数学的矛盾に取り組み、結果として数式が世界の謎を明かしていく過程が興味深い。
これをストーリーにするのは相当難易度が高いですが。

【坊っちゃん文学賞】
受賞作と受賞者による新作を集めた作品集『夢三十夜』を読む。
通してまとめて読むと、思ったより伝統的な形式が多いことに気が付く。
さてさてどうしようかなあ。

【その他モロモロ】
・「海上保安の日」俳句コンテストに応募してみる5月12日発表です。
・めかぶ川柳に応募してみた。2月14日発表です。
・2021年でんち川柳コンテストに応募。ベタ作品を3つ。2月下旬発表だけんども。
・福島正実SF童話賞は時期が近付いたら考える。
・みんなが作る「5秒後」コンテストは12月中旬発表予定が2月上旬に変更。

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第47期棋王戦第1局(渡辺明棋王VS永瀬拓矢王座) [将棋]

渡辺三冠の防衛ロード第2弾です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

不思議なことに、棋士には得意な季節があるようです。
渡辺棋王は長らく竜王位を保持していたこともあり、秋から冬にかけて一番調子が良い時期だと思われます。
豊島九段は寒い時期の成績はいまひとつです。羽生九段はどちらかというと春から夏で、王座戦での強さは圧倒的でした。
渡辺棋王にとって、棋王戦は竜王位を失って無冠の危機に陥った時も防衛した、思い入れのある棋戦だと思います。
また、永世棋聖資格者は羽生九段と渡辺棋王だけという希少価値もあります。
王将戦では苦戦していますが、春から始める名人戦に向けて、棋王戦で弾みをつけることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/47/kiou202202060101.html

ということで、将棋です。
先手は永瀬王座となりました。
後手番の渡辺棋王ですが、雁木に構えます。渡辺棋王の雁木は珍しいと思います。
渡辺棋王は後手番ながら歩損をして手得を主張する積極柵を取り、7筋方面からぐりぐりと押していきます。
しかし、受けに定評のある永瀬王座。徐々に渡辺棋王を押し返し、飛車をボロっと取ったところでは優勢かと思いました。
しかし、評価値的には極端に差が付いたわけではありません。
自玉を金で固めてから7六歩と叩いたのが渡辺流の勝負術でした。この歩を永瀬王座が同玉と取ったことで、一気に評価値が逆転し、後手有利から優勢になります。
後手玉が入玉できるかどうかの勝負ですが、桂香が自陣に残っており、5三銀も後手玉を押し返す駒として効いています。
140手まで渡辺棋王が永瀬玉を打ち取り、防衛に向けてまずは幸先の良い1勝を挙げました。

第2局は2月19日(土)、石川県金沢市「北國新聞会館」で行われます!
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第48期岡田美術館杯女流名人戦第3局(里見香奈女流名人VS伊藤沙恵女流三段) [将棋]

伊藤女流三段の連勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

第1局の前夜祭挨拶で、清水市代理事が主催者である報知新聞の150周年のお祝いを述べていました。
冠名に岡田美術館がありますが、主催者は新聞です。
新聞不況はスポーツ紙も例外でもなく、むしろスポーツ紙の方が凋落が激しいです。
スポーツ紙全体で1997年650万部あったのが、現在は300万部前後のようです。
いつまで新聞社が主催者を続けられるか分かりません。
近年の新棋戦は様々な業界が参入しています。
不動産業、建設会社、製菓など様々で、さらに既存の棋戦にもスポンサーとして次々と参入しています。
観戦記で読者を引き寄せるより、文化事業の推進や、社名が周知されることによる企業価値向上の方向に進むのかもしれません。
さあ両者は企業価値向上に結びつくような、よい将棋を見せることができたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/48/joryumeijin202202060101.html

ということで、将棋です。
さて先手伊藤女流三段は後手の振り飛車にじっくりと穴熊を目指しますが、隙ありとみて里見女流名人はさっと向かい飛車に構えます。
向かい飛車に穴熊は不利と言われますが、穴熊を固めきる前に2筋逆襲の構えを取られてすでに後手が一本取った形です。
先手は角金交換の駒損で攻めますが、4三角と4四角の2枚の角が手厚く、里見女流名人がリードを広げます。
縦に並んだ2枚の角ですが、4三角は終盤で2五を経由して切り飛ばして役割を終えます。
4四角はストレートに6六角と切り飛ばして、十分に活躍します。
最後は大ゴマを全部切り飛ばし、小駒でガンジガラメの必死をかけて84手までの快勝劇でした。
伊藤女流三段としては、穴熊に組む前に後手からの2筋逆襲に備える必要があったようです。

1つ返したとはいえ、里見女流名人がカド番であることには変わりはありません。
伊藤女流三段の初タイトルがかかる第4局は2月24日(木)、「関西将棋会館(大阪府大阪市)」で行われます!
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【公募情報】第26回手帳大賞(短文・3/31〆) [公募情報]

手帳と言えば、高橋です。

〔主催者HP〕
https://www.takahashishoten.co.jp/techotaisyo/oubo/

なんでもスマホの時代ですが、いまだに手書きの手帳は現役です。
外出先でちょっとメモするとき、スマホで文字を打つより紙に鉛筆で書いた方が早いです。
そういった手軽さが、ビジネスマンに愛されているのかなと思います。
募集内容は例年通り、「思わず手帳にメモした忘れられないひとこと」です。
応募締切は令和4年3月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:短文
テーマ :忘れられないひとこと
大  賞:100万円
応募締切:令和4年3月31日
応募方法:郵送、インターネット

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最近の日常【令和4年2月上旬】 [日常]

〔購入した翌日に値上がり率ランキングに入った話〕
こんなこともあるものです。
株主優待目当てである株を購入したところ、翌日に急騰し、「値上がり率ランキング」で2位に入った。
何が起こったのかニュースをチェックすると、好業績による配当UPが発表されたことが原因らしい。とはいえ急騰したのは1日だけで、そこから激しく変動して、また元に戻っているのですが。
この会社ですが、あることで激しくマスコミに叩かれたことがあります。
こういう株は実力以下に評価されがちなので、じっくり持っていれば、そのうちジワジワ上昇するでしょう。
そんな期待も込めまして。

〔リモート授業の話〕
オミクロン株の拡大で学級閉鎖になり、リモート授業になった。
いまの時代は、iPadが支給されるのです。
電話が教室にないので、連絡を取るときはわざわざ職員室に戻ったりして、いろいろ大変そうです。
だいたい2時間か3時間授業で、課題もネットで送られてくる。図工もリモートです。
こうした授業が普通になるのかもしれませんね。
そのうち、体育もリモートの時代が来るかも。
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【書評】中野晴啓『普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方』 [書評]

ひたすら投資信託を進める本です。


普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方 (SB新書)

普通の会社員が一生安心して過ごすためのお金の増やし方 (SB新書)

  • 作者: 中野 晴啓
  • 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
  • 発売日: 2017/12/06
  • メディア: 新書



著者は投資信託会社の社長です。
老後資金を溜めるのは、安全性が高い分散投資がオススメ。個人が株で運用するのはプロには勝てないし分散投資が難しいので、結論としては積立信託がベスト、ということを主張する本です。
株式はプロが必ず勝つかというと、統計的にはそうでもない結果がでていたりして(素人は時間を武器にできる強みがある)、おまけに手数料がかかるので個人的には賛同できないのですが、ひとつの考え方としてありだと思います。
なにしろプロに任せるのが楽ですから。
大事なのは投資信託の選びかたで、仕組みもわかるので参考になります。
投資資金として月5万円を浮かせるための節約術も興味を引きます。

投資信託を考えているひとに向けて!
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【SS】齊藤想『劇場型感染症』 [自作ショートショート]

Yomeba! のショートショートコーナー第15回に応募した作品です。
テーマは「劇場」です。

―――――

 『劇場型感染症』 齊藤 想

 感染症対策は万全のはずだった。
 外出前には二人して検温してマスク着用。映画館の入口ではアルコール消毒。左隣の座席はひとつ空けて……右隣は交際したての彼女だからもちろん並んで……と、とにかく人込みは避け続けた。
 食事もテラス席で、会話も控えめ。アルコールは厳禁。もちろん彼女も感染症対策に協力してくれた。
「楽しいデートにしたいからね」
 と嬉しいことを言ってくれる。
 ここまで感染症に備えたのに、デートから帰ってきたら頭が重い。悪感がして発熱もする。
 翌朝、仕方なく仕事を休んで昔から良く知る町医者で診察を受けることにした。
 受付に座る豪快なおばさんから、いつものようにからかわれる。
「若いのに、何してんのよ。病気になったらだめじゃないの」
 子供のころから知っているだけに容赦がない。いまにも背中をはたかれそうだ。
「おれみたいのがいるから、ここの経営が成り立つんだろ。感謝してくれよな」
「それもそうね」
 おばさんはケタケタと笑った。
 院長は初老の男性だ。受付のおばさんとは違い、いつもむっつりとしている。
 院長はおれの胸に聴診器をあてながら、露骨に眉をしかめた。
「あれだけテレビで騒がれているのに、不用意に外出するとは、いまの若者は困ったものじゃな。まずは先日の行動を詳細に説明してくれたまえ」
 院長はいらだった様子で、ボールペンの先でカルテをつつく。
 そこまで悪態をつかなくてもと思いつつ、おれは仕方なく昨日の行動を説明した。もちろん感染症対策はバッチリであることも強調した。
 説明を聞き終えた院長は、手にしていたボールペンを手の甲で回した。
「ところで映画のタイトルは」
「は?」
「だから、彼女とイチャイチャしながら見た映画のタイトルは何だと聞いておる。内容、主演俳優、それから彼女と観客の反応まで全てじゃ」
「それが診察と何の関係が」
「あるから聞いておる。いいから質問に答えなさい」
 釈然としない思いを抱えながら、仕方なく映画のタイトル、主演俳優、ストーリー、さらには観客と彼女の反応まで説明した。内容は大人気の男性アイドルが出演するラブコメで、もちろん彼女は大喜びだ。
 院長は大きく首を縦に振る。そして、重々しく口を開いた。
「これは間違いない。貴殿は新型劇場型感染症に感染しておる」
「劇症型ですか?」
「劇症ではなく劇場型じゃ。しかも新型である。これは映画やテレビの画面を通じて感染する新型の感染症で、特に彼女と一緒に映画館に入るとイチコロなのじゃ。しかも貴殿が見たラブコメは最も感染力が高く、医者の間では非常に恐れられておる」
 いつになく院長が真剣な表情をしている。
「昔から初デートは映画と決まっているじゃろ。これは、実は劇場型感染症にかかることが目的なのじゃ。昔の人は風流にも”恋の病”とか呼んでいたが、新型劇場型感染症はそんな生易しいものではない。場合によっては不治の病にもなりうる」
 医者は映画雑誌を机の上に置いた。付箋が貼ってあるページを開くと、そこにはおれと彼女が見た映画が紹介されていた。
「最近の若者は、女子はコイバナに話を咲かせ、男子は女子の尻ばかり追いかけとる。嘆かわしことに、いまや日本人は全員恋愛中毒じゃ。見てご覧なさい。映画もドラマも漫画も小説も、どこかに恋愛要素が潜んでおる。ハードボイルドやミステリですら、恋愛物と見間違うほどじゃ」
 自分は最近見た映画を何本か思い浮かべた。確かに恋愛要素が入っている。
「しかもこの感染症は、画面からだけではなく、人から人にも感染してしまうのじゃ。貴殿も自覚して欲しいものだな。貴殿の不注意により、たったいま、この私も新型劇場型感染症に感染してしまったではないか」
 院長は、まるで誰かに聞かせたいかのように大声で話してくる。
 いままで我慢を重ねてきたが、さすがにバカバカしくなってきた。
「そんなまどろっこしいことせずに、直接言えばいいじゃないですけ。ぼくと一緒に映画を見に行きませんかって。だいたい、そんなんだから、頭が禿げ上がる年齢になっても独身なんでしょ。そんなヨタ話はともかく、おれの病気は何ですか」
 院長は少し困ったような表情をした。
「少し調子が悪いだけで病気というほどではない。あえて診察するとしたら、正真正銘の恋の病というところじゃな」
 少しの間があった。
「私と一緒で」
 受付から、おばさんの明るい笑い声が聞こえてきた。


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【SS】齊藤想『誘拐』 [自作ショートショート]

小説でもどうぞ第3回に応募した作品です。
テーマは「旅」です。

―――――

『誘拐』 齊藤 想

 美和は嫌な予感がした。子供の洋一が六時を過ぎても帰ってこない。
 暗くなるまで友達と校庭で遊んでいるのかと思い小学校に電話したが、だれもいないという。友人宅にも連絡した。学習塾の曜日を間違えたかと思い、塾にも問い合わせたが、来ていませんとの返事だ。
 夫にも電話したが、「どこか遊びに行っているんだろう」と頼りにならない。
 誘拐、の二文字が美和の頭をかすめる。美和の不安を見透かしたように電話が鳴る。
「ねえ、奥さん」
 デジタル変換された音声が、耳元から流れてくる。美和は眩暈がした。
「ヨウイチ君はとてもイイ子だね。いま大人しくワタクシの横で眠りについています。安心してください、乱暴はしませんから。さて、ヨウイチ君がかわいいと思うのなら、ワタクシの命令に従ってもらいます。いまお宅にはそれなりの現金がありましたよね。それを持って、いますぐ東京駅に向かってください。服装はズボンとスニーカーをオススメします。運転免許や保険証、さらにはパスポートもお忘れなく。とにかく急いで」
 美和は何も考えられなくなった。夫に置き手紙を残し、家の現金をすべてボストンバックに詰めると、慌てて東京駅に向かった。
 とたんに携帯電話がなる。
「地下一階の東京メトロ入口のそばにあるトイレの一番奥の部屋に入ってください。そこに小さなビニール袋があるので中身を確認してください。とにかく早く」
 美和は構内を駆けた。トイレの角にその袋はあった。中身を見ると、黒い携帯電話と新大阪行きの新幹線のチケットが入っていた。
 真新しい黒い携帯電話が震える。
「今後はこの携帯で連絡を取りますので、充電を忘れずに。では、新幹線に乗ってください。出発まであと2分です。急いで!」
 東京駅は広い。美和は誘拐犯がズボンとスニーカーを指示してきたことに感謝しながら走り続けた。
 出発時刻にはギリギリ間に合った。
 新大阪までは少しゆっくりできるかもしれない。夫に連絡して、それから警察に……と思っていたら、また黒い電話が震えた。
「そう簡単に油断されては困ります。次はスマホの画面を見てください」
 そこには、航空機のチケットが表示されていた。しかもアメリカ行きで、おまけにファーストクラスだ。
「あの……身代金の支払いのために、ここまで……持ってきた現金はそこまで多額でもありませんし……」
「ワタクシに意見をするつもりかね」
「いえ、すみません」
「ワカレばよろしいのです。まあ、旅だとおもってくれたまえ。忙しい美和サンには、たまには休息が必要だ。こうでもしない限り、旅なんて無理だろうから」
 何が面白いのか、誘拐犯は携帯電話の向こう側で笑い声をあげた。
 まるでベルトコンベアーだ。美和は帰りたかった。お金など払うから、早く息子と夫との平和な家庭に戻してほしかった。
 美和は誘拐犯に言われるがまま、海を渡ることになった。
 当然のように、アメリカでも誘拐犯からの指令は続いた。指示通りに電車に乗り、バスを乗り継ぐと、なんとNASAについた。
 黒い携帯が震えた。
「次は宇宙飛行士になってもらいます。すでに履歴書は送付済みで、書類審査は通過しています。では頑張ってください」
「ちょっと待ってください。私は単なる主婦で、宇宙飛行士なんてとてもとても」
「ワタクシは美和サンのことを徹底的に調べています。英語は堪能でスポーツ万能。理系大学院卒と全ての条件は整っています。後は美和サンの努力次第です」
 いま夫は自宅で何をしてるのだろうか。置き手紙を見て、驚いているだろうか。妻と息子が失踪したと思っていないだろうか。
 しかし、美和は命じられたことをするしかいない。そして、懸命な努力の末に、宇宙飛行士として採用された。地球を周回し、実験をこなし、宇宙からみた地球の写真を撮った。夫と息子に見せたいと思った。
 日本に帰れたのは二年後だった。夫は実家に戻っており、生活感のない部屋に離婚届だけが残されていた。息子も実家にいるという。
 二年も家を留守にしていたのだから愛想をつかされるのも仕方がない。美和は考えるのもおっくうになりながら、サインして夫の実家に郵送した。
 美和が何気なくテレビを見ていたら、アメリカ政府が火星に人類を送り込む計画を発表していた。
 美和には予感があった。
 黒い携帯電話が震えた。

―――――

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