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第47期棋王戦第1局(渡辺明棋王VS永瀬拓矢王座) [将棋]

渡辺三冠の防衛ロード第2弾です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

不思議なことに、棋士には得意な季節があるようです。
渡辺棋王は長らく竜王位を保持していたこともあり、秋から冬にかけて一番調子が良い時期だと思われます。
豊島九段は寒い時期の成績はいまひとつです。羽生九段はどちらかというと春から夏で、王座戦での強さは圧倒的でした。
渡辺棋王にとって、棋王戦は竜王位を失って無冠の危機に陥った時も防衛した、思い入れのある棋戦だと思います。
また、永世棋聖資格者は羽生九段と渡辺棋王だけという希少価値もあります。
王将戦では苦戦していますが、春から始める名人戦に向けて、棋王戦で弾みをつけることができるでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/47/kiou202202060101.html

ということで、将棋です。
先手は永瀬王座となりました。
後手番の渡辺棋王ですが、雁木に構えます。渡辺棋王の雁木は珍しいと思います。
渡辺棋王は後手番ながら歩損をして手得を主張する積極柵を取り、7筋方面からぐりぐりと押していきます。
しかし、受けに定評のある永瀬王座。徐々に渡辺棋王を押し返し、飛車をボロっと取ったところでは優勢かと思いました。
しかし、評価値的には極端に差が付いたわけではありません。
自玉を金で固めてから7六歩と叩いたのが渡辺流の勝負術でした。この歩を永瀬王座が同玉と取ったことで、一気に評価値が逆転し、後手有利から優勢になります。
後手玉が入玉できるかどうかの勝負ですが、桂香が自陣に残っており、5三銀も後手玉を押し返す駒として効いています。
140手まで渡辺棋王が永瀬玉を打ち取り、防衛に向けてまずは幸先の良い1勝を挙げました。

第2局は2月19日(土)、石川県金沢市「北國新聞会館」で行われます!
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第48期岡田美術館杯女流名人戦第3局(里見香奈女流名人VS伊藤沙恵女流三段) [将棋]

伊藤女流三段の連勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

第1局の前夜祭挨拶で、清水市代理事が主催者である報知新聞の150周年のお祝いを述べていました。
冠名に岡田美術館がありますが、主催者は新聞です。
新聞不況はスポーツ紙も例外でもなく、むしろスポーツ紙の方が凋落が激しいです。
スポーツ紙全体で1997年650万部あったのが、現在は300万部前後のようです。
いつまで新聞社が主催者を続けられるか分かりません。
近年の新棋戦は様々な業界が参入しています。
不動産業、建設会社、製菓など様々で、さらに既存の棋戦にもスポンサーとして次々と参入しています。
観戦記で読者を引き寄せるより、文化事業の推進や、社名が周知されることによる企業価値向上の方向に進むのかもしれません。
さあ両者は企業価値向上に結びつくような、よい将棋を見せることができたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/48/joryumeijin202202060101.html

ということで、将棋です。
さて先手伊藤女流三段は後手の振り飛車にじっくりと穴熊を目指しますが、隙ありとみて里見女流名人はさっと向かい飛車に構えます。
向かい飛車に穴熊は不利と言われますが、穴熊を固めきる前に2筋逆襲の構えを取られてすでに後手が一本取った形です。
先手は角金交換の駒損で攻めますが、4三角と4四角の2枚の角が手厚く、里見女流名人がリードを広げます。
縦に並んだ2枚の角ですが、4三角は終盤で2五を経由して切り飛ばして役割を終えます。
4四角はストレートに6六角と切り飛ばして、十分に活躍します。
最後は大ゴマを全部切り飛ばし、小駒でガンジガラメの必死をかけて84手までの快勝劇でした。
伊藤女流三段としては、穴熊に組む前に後手からの2筋逆襲に備える必要があったようです。

1つ返したとはいえ、里見女流名人がカド番であることには変わりはありません。
伊藤女流三段の初タイトルがかかる第4局は2月24日(木)、「関西将棋会館(大阪府大阪市)」で行われます!
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