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第78期名人戦第2局(豊島将之名人VS渡辺明三冠) [将棋]

渡辺三冠の先勝で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://www.meijinsen.jp/

渡辺明はA級順位戦を全勝で走り抜けました。
これは史上4人目で、過去3例のうち2例は名人を獲得しました。
と書くと勢いのある挑戦者有利と言いたい所ですが、星勘定を並べますと

大山康晴 3-4 中原誠(A級全勝)
羽生善治 3-4 森内俊之(A級全勝)
森内俊之 4-2 羽生善治(A級全勝)

10勝10敗のまったくの五分です。
ときの名人が絶好調だったというわけではなく、大山康晴はタイトルを次々と奪われていった時期と重なっていますし、森内俊之に至っては前年度勝率が.345です。
名人戦という重みというか、独特の雰囲気があったのかもしれません。
今回の相手は新鋭名人の豊島将之です。
渡辺明はタイトル戦の経験が豊富ですし、非常にロジカルな思考をするので独特の雰囲気の飲まれることはないと思います。
実際に第1局では、棋聖戦の激闘から中1日のハードスケジュールをものともせず、難解な将棋を勝ち切りました。
しかも後手番での勝利は大きいです。
第2局は先手番となりますので、ここでキープすれば名人奪取に大きく近づきます。
休養十分の渡辺三冠と比べて、豊島名人は間に王位戦挑戦者決定リーグ最終一斉対局が入っています。
しかも、今後は叡王戦と並行するのでスケジュール的な有利さがなくなります。
ここが踏ん張りどころの豊島名人は、ここで1勝を返すことができるでしょうか!

〔棋譜〕※棋譜はロック将棋さんより
https://6shogi.com/78meijinsen2/

相掛かりから早々に前例とない局面となり、渡辺三冠は25手目に17分、31手目ですでに50分の長考をしています。
時間の使い方からすると、早々に研究から外れていることを示唆しています。
研究の比重の大きいタイトル戦において、先手番の利を活かしきれないような印象を受けます。終局後のインタビューでも、予定から外れたことを認めています。
中盤はぱっと見では手の意味がわからない舷妙な攻防が続きます。
形や大局観ではなく、読みの勝負になっているのかもしれません。
形勢が大きく動いたのは90手目を超えてからです。
駒得をしている豊島名人がスナイパーのように4五角と打ち付けて渡辺玉をにらみます。
この角筋が受けづらく、後手が優勢から勝勢になります。
しかし、ここから渡辺三冠がふんばります。
豊島名人は戦力不足の渡辺三冠相手にと金で確実に迫りますが、その一瞬の隙をついて桂馬で手を作っていきます。
終局近しの雰囲気から勝負勝負と迫り、安泰だった後手玉を露出させます。
お互いに一分将棋になってからついに混とんとした局面になります。
一手指すごとに評価値が上下するいかにも人間らしい対局です
最後の最後に抜け出したのは、豊島名人でした。苦しみながらも158手まで勝利し、これで対戦成績を五分に戻しました。

第3局は、6月25日、26日に東京・将棋会館で行われます!
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