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【映画】光の旅人 [映画評]

ケビン・スぺイシーがK-PAXから来た宇宙人役を熱演です。


K-PAX 光の旅人 [DVD]

K-PAX 光の旅人 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2002/11/20
  • メディア: DVD



映画はある駅に突然中年男性、プロ―とが現れるところから始まります。
彼は強盗と間違えられて警察に逮捕され、自らを宇宙人と主張したことから精神病棟に放り込まれます。
プロ―トは自らが宇宙人と名乗る以外は実に理路整然と話し、未発表の宇宙の理論についても知っていました。
担当医はプロ―トの不思議な魅力に引き込まれていきます。
プロ―トは患者たちにも影響力を発揮し、ある患者には希望を与えて、ある患者には潔癖症を直したりします。
プロ―トは地球に来てから5年たった日に、K-PAXまで帰るといいます。そのときに1人だけつれていくと。
担当医はプロ―トの正体を探すため、催眠療法に取り組みます。プロ―トから語られた断片的な情報と、プロ―トが持っていた鉛筆から絞り出し、ついにプロ―トの正体を暴きます。
しかし、彼は認めません。
そしてK-PAXに帰る日になります。
プロ―トは光に包まれると……という感じの話です。
評論家の評価は高くないようです。けど、個人的にはよくできた映画だと思います。
最初に精神病棟に放り込まれるのが展開として上手いです。閉鎖せれた空間に押し込めることで、登場人物と場面を減らして、よりプロ―トの内部描写を深めることができます。
精神科医はプロ―トの話を信じませんが、細かいエピソードを積み重ねて、徐々に惹かれていく様子が見事に描かれています。
その惹かれていく様子を描写するために、家族とのシーンを挿入しています。かといって、家族と破綻することはありません。
プロ―トがK-PAXに帰ると言い始めたときがミッドポイントで、ここからミステリタッチで真相へと迫っていく加速感も良いです。
ラストシーンは、とってつけた感がありますが。
製作費が68百万ドルで、興行収入65百万ドルと赤字になってしまいました。
ですが、個人的にはよくできた映画だと思います。音楽も良いです。

ケビン・スぺイシーの熱演を堪能したいひとのために!
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第49期棋王戦第2局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]

1持将棋で迎えた第2局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

持将棋と千日手の違いは、前者が引き分けに対して後者は指しなおしになることです。
タイトル戦以外だとすぐに対局が始まるのであまり影響はありませんが、タイトル戦の場合は持将棋は1局として成立するのので、第1局は引き分けで本局が第2局となります。
千日手の場合は何回指しても第1局です。
当日指しなおすのか、後日になるのかは成立時間やタイトル戦によっていろいろ規定が異なり、千日手の可能性がでてくると立会人が対局規定を確認するのが恒例行事です。
持将棋というと、2020年叡王戦で、2局連続の持将棋が話題となりました。
プロ棋士の多くは居飛車党ですが、居飛車はお互いに攻め駒を責める展開になりやすく、対抗形と比べると入玉しやすい傾向にあります。
本局の先手番は伊藤七段です。
さあ2局連続の持将棋はあるのでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202402240101.html

ということで、将棋です。
第2局も先後を入れ替えての角換わりとなりました。
途中から前例を離れますが、お互いに了承済みの展開なのか、長考をすることなくスラスラと進みます。
60手目までの局面を見ると、後手1歩得ですが陣形がバラバラで、アマチュア的には後手が勝てるビジョンが見えてきません。
しかし評価値は互角です。
初の長考は68手目です。長考の末に放たれた8六歩を見た伊藤七段も長考に沈みます。
お互いにここで想定から外れたようです。
受けに回る藤井棋王の守備駒は銀と角2枚です。銀はともかく角2枚は守備駒としての適性が高くありませんが、さらに守備駒に向かない桂馬も投入し、気が付いたら先手の攻めを跳ね返しています。
反撃に入ると藤井棋王は早かったです。
守備駒の角を飛び出してスナイパーになると、角の効きを活かして先手玉を一気に寄せてしまいました。
94手までの完勝劇です。藤井棋王の強さが光った一局だと思います。

第3局は3月3日(日)に新潟県新潟市「新潟グランドホテル」で行われます!
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【書評】小林丸々『1話1分 本当は怖い話 3』 [書評]

意味が分かるとゾッとする話第3巻です。


本当はこわい話3 意味がわかるとゾッとする (角川つばさ文庫)

本当はこわい話3 意味がわかるとゾッとする (角川つばさ文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2019/05/15
  • メディア: 新書



本書は25編収録されています。
1,2と読んできて、いまのところ3が一番難しかったです。
うんうん考えても意味がわからず、すぐに答えを見てしまいました。
特に『一生のお願い』は、泥棒に対して「助けてくれ」とお願いをする話なのですが、答えを見ると、会話のひとつひとつに裏の意味があることがわかり、すべてがひっくり返ります。
これは、なかなかの発想です。
『エリナとエリザ』も途中までは分かったのですが、最期の「はい」だけ意味が分からず、これも答えを見ました。
この手の話だと「立場が逆転」するパターンが非常に多いのですが、あまりに意表を突く回答に驚きです。
『呪いの血文字』も、常識を見事に逆手にとった快作です。
ショートミステリ気分で読むと良いと思います。

発想を広げる頭の体操をしたいひとのために!
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