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【映画】TENET [映画評]

クリストファーノーラン監督による時間逆行をテーマにしたSF大作です。


TENET テネット [Blu-ray]

TENET テネット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2021/08/18
  • メディア: Blu-ray



映画はテロリストたちによるオペラハウスの襲撃から始まります。
その中にウクライナ警察に偽装したCIA特殊工作員の主人公も侵入し、重要人物を救出します。
しかし、主人公はテロリストたちにつかまります。
このあたり、矢継ぎ早で状況がなかなか飲み込めません。
主人公たちの目的は「プルトニウム241」の奪回です。
しかし、この「プルトニウム241」は実は秘匿名で、実は時間逆行装置「アルゴリズム」の一部でした。
この「アルゴリズム」が発動すると、世界が対消滅します。
主人公たちは「プルトニウム241」を確保するために、時間を前後しながら戦い続けます。
というのがざっくりとしたストーリーです。
世界には時間を逆行する回転扉があり、そこを抜けると時間が戻るだけではなく、未来人にとって世界が逆向きに動いているように見えます。
ガラスを突き抜けた銃弾はガラスから銃口へと戻っていきます。爆発した建物は元の形に戻っていきます。
そうした不思議な世界が、エンタメ満載のアクションシーンとともに続きます。CGを極力使わない主義のノーラン監督だけに、映像の迫力は圧倒的です。
難解という評価がありましたが、確かに難解です。
前半部は設定が多いため理解が追い付かず、wikiに頼りました。
ヒロイン役のキャットが銃撃され、助けるために時間を逆行するシーンがミッドポイントで、ここから一気に前半の伏線を回収しに走ります。
ラストシーンは同監督の「メメント」を連想しました。
製作費2億25百万ドルに対して、コロナ禍と重なったこともあり興行収入が3億65百万ドルにとどまりました。
製作費が巨額なので、これは赤字でしょうね。残念。もっとアイデアを絞って番人向けにしたほうがうけが良かったかもしれません。
そんなことを感じました。

クリストファーノーラン監督のSF大作を楽しみたいひとのために!
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【書評】大西喬『海軍下士官、兵よもやま物語』 [書評]

旧日本軍の日常を描くよもやま物語シリーズの53巻目です。


海軍下士官、兵よもやま物語 (イラスト・エッセイシリーズ)

海軍下士官、兵よもやま物語 (イラスト・エッセイシリーズ)

  • 出版社/メーカー: 光人社
  • 発売日: 1988/05/01
  • メディア: 単行本



この本が書かれたのは昭和63年です。
太平洋戦争時に下士官として活躍した30歳前後の兵士が七十代になったころで、回想録として残すには最後の時期だったのかもしれません。
著者はこのシリーズ2回目の登場ということもあり、書かれているのは断片的な思い出です。
食物、異性、病気に関する話が多く、やはり男性社会のためか下系の話が多いです。
火気厳禁のところでギンバイしてきた牛肉ですき焼きをしたり、荷役中のクーリーに煙草を渡して砂糖を横流ししてもらったり、軍隊生活あるある的な話が続きます。
戦争も後半になってくると物資不足が顕著になってきて、干魚を作ったり、軍隊用の物資をひそかに持ち帰ったりと、いろいろと緩んできます。
著者は終戦間際は陸上勤務ですが、焼夷弾に防火は無意味だと素直に書いています。おそらく多くのひとが同じ思いを抱きながら、何もしないよりましだという思いで、取り組んでいたのかなと想像しました。

海軍下士官の日常を知りたいひとのために!
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第82期順位戦【終盤戦】 [将棋]

※◎○▲は開幕前の予想です。
〔A級〕 ◎永瀬拓矢王座 ○豊島将之九段 ▲渡辺明九段 
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82a/index.html
ラス前まで終わって、挑戦者も降級者も決まらない大激戦。最終局で挑戦も降級も絡まないのは渡辺明九段だけです。
挑戦権レースに残っているのは、豊島将之九段・永瀬拓矢九段・菅井竜也九段の3人ですが、豊島菅井の直接対決があります。最近の菅井九段の調子からすると、豊島九段の挑戦濃厚です。菅井九段が勝利するとプレーオフです。
残留争いを盛り上げた最大の功労者は中村太地八段です。だれもが残留は厳しいと思っていましたが、ここまで4勝4敗と残留濃厚です。

〔B級1組〕◎近藤誠也七段、○糸谷哲郎八段 ▲羽生善治九段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b1/index.html
最終戦を前にして千田七段がA級昇級決定。期待されていた若手が順番にA級に到達してきています。残り1枠は増田康宏七段、大橋貴洸七段の争いです。中盤まで独走していた増田七段は踏みとどまれるかどうかです。
降級は3名中2名は決定。横山泰明七段、木村一基九段は残念。残り1枠は5勝勢の争いで、ここまで降級ラインが上がるのは初めてかもしれません。

〔B級2組〕◎高見泰地七段 ○丸山忠久九段 ▲村山慈明七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b2/index.html
最終戦を前にして大石直嗣七段が8勝1敗でB級1組昇級決定です。残り2枠を7勝2敗の4人が争います。数字的には村山慈明七段、松尾歩八段にも可能性はありますが、ちょっと難しいかな、という印象です。
降級点はすでに7人中6人が決まっています。2度目の降級点で陥落が4人か5人という大量降級です。

〔C級1組〕◎伊藤匠五段  ○出口若武六段 ▲三枚堂達也七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c1/index.html
最終局を前にして服部六段が昇級決定です。9連勝ですから立派です。順位の不利をものともせず、C級2組からの連続昇級です。
自力昇級の目が残っているのが、古賀悠聖五段と伊藤匠七段。出口若武六段、都成竜馬七段、斎藤明日斗五段の3人はキャンセル待ちですが、可能性があるのは出口六段ぐらいまででしょうか。

〔C級2組〕◎佐々木大地七段 ○本田奎五段 ▲徳田拳士四段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c2/index.html
昇級は1敗勢3人が走り、2敗勢はキャンセル待ち。レーティング上位の佐々木大地七段は今期も残留確定。八代弥七段は2人のキャンセル待ちなので厳しい。順位戦の不思議さです。
棋界最年長の青野照市九段は最終戦を待たずに引退決定です。対四間飛車に対する急戦でも有名ですが、なにより横歩取り青野流に名前を残しています。いままでお疲れさまでした。
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