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【映画】ロケットマン [映画評]

エルトンジョンの半生を描くヒット曲満載の素晴らしい映画です。


ロケットマン [Blu-ray]

ロケットマン [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2020/07/22
  • メディア: Blu-ray



エルトンジョンは1947年生れで、1970年代にヒット曲を連発し、レコード売り上げは世界歴代5位にあたる2億5千万~3億枚になる偉大な音楽家です。
日本で一番有名なのは、デビュー曲である『your song』かなと思います。
映画はエルトンが断酒セラピーに参加し、過去を回想するスタイルで進みます。
回想は子供時代から始まります。
両親の仲は悪く、父はエルトンのことを一切認めていません。母も冷たく、温かい視線を与えてくるのは祖母だけでした。
そうした環境でピアノと出会い王立音楽院と進学し、そこからソウルバンドのバックバンドとして参加します。
さらに作詞家のバーニー・トーピント出会い、コンビで曲を作り続け、ついにデビュー、そしてスターダムへの階段を駆け上っていきます。
エルトンはホモセクシャルでした。相棒のバーニーにはその気はなく、成功後に女性の元にいくのをみて、孤独を感じます。
両親との和解を試みますが、母と離婚して再婚した父はエルトンのことを誇りに思っても興味はなく、エルトンにサインを求めますが「友人に頼まれたもの」と事務的に伝えます。
母にホモセクシャルであることを伝えますが、「知っていたよ」と電話を切られます。
いままで支えてくれたレコード会社から、恋人になったリードにマネージャーを依頼しますが、彼は浮気をして、それがバレても契約書をたてにマネージャーを続けます。
エルトンは酒と薬に溺れます。それでもリードはエルトンにどんどん仕事を押し付け、ついにパンクします。
そうしたときに、相棒のバーニーが戻ってきて、昔と同じ紙で新しい詩を渡します。
エルトンは再びピアノと向き合い、新しい曲を書くことで自分を取り戻します。
という感じの映画です。
とてもいい映画でした。
エルトンジョンのヒット曲満載で、タイトルの『ロケットマン』もヒット曲のひとつです。それを出演者が歌います。
スタンスとしてはミュージカル映画ですが、ストーリーもしっかりしていて、エルトンジョンの孤独感にスポットをあてる構成が心憎いです。
エルトンジョンの半生について様々な切り取り方があると思うのですが、1点に絞った構成が分かり易くてよいです。
小道具も気が利いていて、「古いピアノ」「バーニーが詩を書く茶色い紙」この2点で、苦悩続きのエルトンが帰るべき場所に帰ったことを示します。
広い意味で物語の基本形である「行って帰る」話なのかもしれません。
製作費40百万ドルで、興行収入1億95百万のヒット作となりました。
評論家の評価も高く、ゴールデングローブ賞2部門受賞等の受賞も多数です。

エルトンジョンのヒット曲満載の名作映画を楽しみたいひとのために!
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第49期棋王戦第1局(藤井聡太棋王VS伊藤匠七段) [将棋]

伊藤匠七段が竜王戦につづいての挑戦です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/

竜王戦では伊藤匠四段は4連敗と一方的に押し出されました。
しかも優勢な局面はほとんどなく、まさに完敗です。
竜王戦は2日制持ち時間8時間ですが、棋王戦は1日制の持ち時間4時間と条件が大きく異なります。
羽生善治が王座戦19連覇するなど持ち時間5時間で圧倒的な成績を残したように、棋風等によって持ち時間の得意不得意はあるかと思います。
藤井棋王は長考派で持ち時間が長いほど強い傾向にあります。
さあ伊藤四段は、持ち時間4時間のタイトル戦で、藤井棋王の牙城を崩すことはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/kiou/kifu/49/kiou202402040101.html

ということで、将棋です。
先手は藤井棋王で角換わりとなりました。
後手待機戦術から先手が歩を突き捨てて仕掛け、後手は6三角と打って桂頭を守る。その後も☗千田翔太七段-☖羽生善治九段戦の手順をなぞります。
これが、いまのテーマ図なのかもしれません。
前例から離れたのは62手目ですが、以降もお互いに了解済みなのか82手まで長考もなく進みます。
始めて藤井棋王が長考に沈んだのは83手目です。
先手の玉頭方面は後手の攻め駒を一掃して成り駒も待っているので、玉が動けば入玉ほぼ確定です。
あとは後手の入玉を阻止するのか、それとも後手の点数を削りにいくかです。
ただ長考で無理と思ったのか、以降は考慮時間をこまめに使いつつ、お互いに入玉を目指し、そのまま持将棋となりました。対局を行う。開幕局が引き分けとなる異例の幕開けとなった。タイトル戦での持将棋は、2020年第5期叡王戦(永瀬拓矢叡王VS豊島将之竜王名人※両者とも当時)以来となります。
後手番の伊藤七段としたら次局が先手番になるので作戦成功かと思いますが、先手番の藤井棋王としたら悔しい持将棋です。
今後の角換わりは、先手が後手の持将棋を防げるのかがテーマになるかもしれません。

棋王戦第2局は2月24日に金沢市「北國新聞会館」で行われます!
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第50期岡田美術館杯女流名人戦第3局(西山朋佳女流名人VS福間香奈女流四冠) [将棋]

福間女流四冠の2連勝で迎えた第3局です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

女流名人戦は第3局までが定番の会場となっています。

 第1局 箱根町・岡田美術館 開化亭
 第2局 出雲市・出雲文化伝承館 松籟亭
 第3局 野田市・関根名人記念館

第4局と第5局は東京・関西将棋会館のパターンが多かったですが、今期は第4局まで会場が用意されています。
これは西山・福間戦になれば第4局以降にもつれ込む可能性が高く、第4局になれば決着局になる可能性が高まります。
会場としてもやはり決着局の方が価値が高いので、そうした期待も込められているのかなと想像します。
第4局は「宮島弥山大本山 大聖院」が予定されています。観光地宮古島にある西暦806年(大同元年)開基の伝統ある寺院です。
宮古島は平家ともなじみが深く、平家物語でも何度も登場します。重要文化財である梵鐘と木造不動明王坐像があり、梵鐘には平宗盛が寄進した旨の銘があるそうです。
大聖院で対局された記憶がないので、もしかしたら始めてかもしれません。
ただここまで西山女流名人は連敗しており、あとがありません。
さあ西山女流名人は第4局「宮島弥山大本山 大聖院」での対局実現に向けて、反撃となる白星を挙げることはできたでしょうか!

〔棋譜〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/kifu/50/joryumeijin202402040101.html

ということで、将棋です。
先手は西山女流名人。ぱっと見は相振り飛車の出だしから、福間女流四冠は突如として居飛車を宣言します。
2五歩まで突いて居飛車というのはかなり異様で、あえて作戦名を付けるとしたら陽動居飛車でしょうか。
後手陣は左銀も3三に押し込まれて角は使いにくいし、2五歩と余計な空間があるので玉を左側に囲っても堅くなりません。
居玉のまま開戦ですが、ぱっと見は後手勝ちにくいです。おまけに先に銀損をしての攻めです。
さすがに作戦に無理があったのか、評価値は徐々に離されます。
一瞬だけ互角に戻った瞬間はあるものの、玉の安定度が段違いで、最後は西山女流名人の鮮やかな寄せが決まりました。

これで1つ返して1勝2敗です。
第4局は2月25日(日)に広島県廿日市市「宮島弥山大本山 大聖院」で行われます!
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【書評】緑川聖司『伝染する怪談 みんなの本』 [書評]

『本の怪談』シリーズの16作目になります。


(077-23)伝染する怪談 みんなの本 (ポプラポケット文庫)

(077-23)伝染する怪談 みんなの本 (ポプラポケット文庫)

  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2019/12/10
  • メディア: 単行本



主人公は女性の児童文学作家です。
出版社が小学生限定の怪談を集めて出版しようと提案し、様々な怪談が集まります。
ところが途中で企画が中止となったのですが、なぜか怪談集の見本だけ配られます。
その見本を読んだ児童たちが次々と霊感が目覚めてしまい……
というストーリーです。
作中作といったらいいのか分かりませんが、メインストーリーとは別に、小学生から寄せられた怪談や、「実はこんな話もある……」という形で挿入される怪談が散りばめられています。
その作中作の怪談はありていいえばよくある話で、幽霊系が多いです。
そうした中で、目立っていたのが『モウモウサマ』です。
これはリドルストーリーの一種で、「語られない怪談」なのですが、これが物語のキーとなっていきます。
シリーズものらしく、手堅い作りだと感じました。

ホラーが好きな児童たちのために!
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