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第50期岡田美術館杯女流名人戦 挑戦者決定リーグ最終一斉対局 [将棋]

内山あや女流初段がタイトル初挑戦なるか注目です。

〔中継サイト〕
http://live.shogi.or.jp/joryumeijin/

〔棋戦表〕
https://www.shogi.or.jp/match/jo_meijin/2023/50hon.html

挑戦権は6勝2敗の里見香奈女流四冠と内山あや女流初段に絞られています。
両者勝ち、両者負けの場合はプレーオフで、白星と黒星に分かれた場合は勝者が挑戦権獲得です。
対戦相手の伊藤沙恵女流四段と上田初美女流四段は、3勝のため、負けるとリーグ陥落が決まるお互いにとって大一番です。
その結果は、

 里見香奈女流四冠 ○―● 伊藤沙恵女流四段
 内山あや女流初段 ○―● 上田初美女流四段

となり、里見女流四冠と内山女流初段のプレーオフとなりました。伊藤女流四段と上田初美女流四段は陥落です。
残留争いですが、最終戦を前にして2勝の香川愛生女流四段が陥落決定。
陥落の残り1枠ですが、

 渡部 愛女流三段  □―■ 加藤桃子女流三段
 山根ことみ女流二段 ○―● 香川愛生女流四段
 石本さくら女流二段 〇―● 鈴木環那女流三段

となり、4勝5敗の4位ながら順位の差で加藤桃子女流三段が陥落。
なんと加藤桃子女流三段と伊藤沙恵女流四段が揃って陥落という予想外の展開となりました。
2強+2強と言われてきましたが、女流のレベルが全体的に上がり、に差が詰まっているのかもしれません。

里見香奈女流四冠と内山あや女流初段とのプレーオフは、11月29日(水)に行われます!
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【公募情報】SOSEKIチャレンジングアワード2023 (掌編・12/25〆) [公募情報]

夏目漱石の名作たちの”その後”を考える公募です。

〔主催者HP〕
https://kumamotososeki.jimdofree.com/

選べるのは『草枕』『二百十日』『三四郎』『こころ』『吾輩は猫である』の5作品です。
物語のその後を原稿用紙3~5枚に綴るという風変わりな公募です。
おそらくは、公募を通じて、漱石の作品に親しんで欲しいのかな、という気持ちを感じます。
ちなみに主催者はNPO法人くまもと漱石文化振興会です。
応募締切は令和5年12月25日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:掌編
テーマ :『草枕』『二百十日』『三四郎』『こころ』『吾輩は猫である』のその後
グランプリ:3万円
制限枚数:原稿用紙3~5枚
応募締切:令和5年12月25日
応募方法:メール、郵送
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創作状況【令和5年11月第4週】 [ぼくの公募状況]

急に冬になりました。秋はどこに。

【第194回のメュー】
◆歴史小説の楽しみ(山岡荘八の巻)
◆小説でもどうぞ!に挑戦中(第25回)
◆おまけのもう1作
◆さらにおまけのもう1作
◆ついでにおまけのもう1作
◆公募情報数点
 来月は大長編「徳川家康」で有名な山岡荘八を取り上げます。
 今回のテクニックは、キャラとストーリーが決まらない時の対処法です。
 12月発行は12月5日です。メルマガは無料なので、ドンドン登録してください!
https://www.arasuji.com/mailmagazine/saitomagazine/


【ショートショートガーデン】
クラフトビールコンテスト用の5作目です。11/19が締切。ちなみに11/15にUP
〔涙のビール〕
https://short-short.garden/S-uCTvBC


【小説でもどうぞ】
11月のテーマは「誓い」です。
第1作は明らかにテーマズレ。これはもう、仕方がない。第2作目はテーマこそ合致しているが、内容がいまふたつ。推敲を何度もくり返して、ようやく形になったかなというレベルまで仕上がりました。
ここからが本当の推敲です。
12月のテーマは「癖」ですか。ひとつのめのアイデアはボツにして、ショートショートガーデン用のストックにします。2つめのアイデアはまあまあ行けそうなので書いてみましたが、気が付いたら戦争物になっていた。この手の作品は採用されないんだよなあ。
ということで、第2作を考え中。


【クラフトビールコンテスト】
11/19が応募締切です。
5作目の推敲をする。最後に1行だけ修正する。すこしすっきり。細かいこだわりです。
5作中どれを応募するかは、星の数で選びました。まあ、このためには、もっと早く作品をUPしておくべきでした。反省です。



【星々短編小説コンテスト】
12月26日締切、10,000字または5,000字、テーマは「地図」
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-11-02-10
冒頭だけ推敲してみたが、別作品にするレベルの変更が必要です。純文学系の公募だと思うので、人生の深淵をのぞくようなテーマを入れたり、純文学風の描写を入れたりして。
主人公と娘も対立関係に変更する必要もありそう。
もう1回冒頭を推敲して、キャラを固めてから、一気に改造に入ります。とか思っていたら、思ったより時間がありませんね。止めてしまうかも。


【NIIKEI文学賞】
3作応募したので結果待ちです。
4部門の応募数が279作品で、発表は年末とのこと。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-02-16-3


【星新一賞】
例年だと12月中旬に最終選考発表、翌年2月に受賞者発表ですね。
来年用の作品もとりあえずはあるので、ただ発表待ち。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-07-05-5


【坊っちゃん文学賞】
締め切りは毎年9月30日、制限文字数4000字。1月25日発表予定
まあ、結果待ちです。基本的には。
https://takeaction.blog.ss-blog.jp/2023-06-28-12


【その他】
・オタク川柳(1/10〆)はロリ神レクイエムで3つ考えて、少し推敲する。あとは推敲。
・おーいお茶新俳句(2/29〆)は、ヤマビルで3つ書いた。記憶をたどりながら。
・yomeba!は次回の応募まで待ち。もうないのかなあ。
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【書評】吾峠呼世晴『鬼滅の刃』 [書評]

社会現象にもなった大ヒット漫画です。


【コミック】鬼滅の刃(全23巻)

【コミック】鬼滅の刃(全23巻)

  • 作者: 吾峠呼世晴
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/12/04
  • メディア: コミック



ストーリーは極めてオーソドックスです。
鬼に家族を殺された少年が、生き残った妹とともに、鬼への復讐を誓います。
少年は厳しい修行や試練を乗り越え、仲間たちとともに鬼の大将を討ち取ります。
まさに王道中の王道です。
人気の秘密は、この万人に好かれるオーソドックスな展開と、魅力的なキャラたちだと思います。
身近な仲間は3人、さらに先輩にあたる柱たち、周囲を固める職人たち、さらに適役の鬼たちにまでそれぞれにバックストーリーがあります。
なぜ戦うのか、なぜ戦いの渦に自ら飛び込んでいったのか、こういう部分に惹かれた読者が多かったのだと感じます。
最終決戦は冗長に感じましたが、作者が気持ちを静めるために必要な枚数だったのかもしれません。

大ヒット漫画を堪能したいひとのために!
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第82期順位戦【中盤戦】 [将棋]

※◎○▲は開幕前の予想です。

〔A級〕 ◎永瀬拓矢王座 ○豊島将之九段 ▲渡辺明九段 
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82a/index.html
5回戦まで終わり、豊島九段が唯一の5連勝です。永瀬戦を終えているのが大きく、かなり有利です。
1敗で追う今期絶好調の菅井八段ですが、最終戦に豊島九段との直接対決が控えています。そこまで1敗差をキープできるかどうかです。
残留争いでは1勝4敗の広瀬章人九段、佐藤天彦九段が苦戦中です。佐藤九段は順位が8位のため、9位佐々木勇気八段、10位中村太地八段が星を伸ばすといよいよ首筋が寒くなってきます。


〔B級1組〕◎近藤誠也七段、○糸谷哲郎八段 ▲羽生善治九段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b1/index.html
トップは7勝1敗の増田康宏七段。3位は5勝3敗なので2勝差がありますが、順位が悪いので1勝差です。1敗したらすぐに混戦です。2番手争いをしている5勝勢が4人もいるので、昇級争いはまだまだ混戦が続きます。
残留争いですが、0勝7敗の横山泰明七段、木村一基九段はさすがに苦しい。実質的に降級は残り1枠ですが、3勝勢の3人は順位が高いので、4勝勢も降級の可能性が十分にあります。
ここからの1戦が重いグループです。


〔B級2組〕◎高見泰地七段 ○丸山忠久九段 ▲村山慈明七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82b2/index.html
全勝はなく、1敗が4人、2敗が4人とまだまだ混戦です。これだけ上位陣が多いと、3敗以降は苦しそうです。深浦康市九段は現在5勝1敗で、かつ他棋戦でも好調です。残り対戦相手に上位陣がいないため、B級1組復帰のチャンスです。
降級点持ちだと、中村修九段が6連敗、井上慶太九段が1勝5敗と崖っぷちです。

〔C級1組〕◎伊藤匠五段  ○出口若武六段 ▲三枚堂達也七段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c1/index.html
6連勝は服部慎一郎六段、古賀悠聖五段。5勝1敗は都成竜馬七段、西田拓也五段、斎藤明日斗五段です。自分の予想の3人は全員2敗グループです。ただ3人とも順位がよく、昇級グループと1敗差なので、まだまだ可能性はあります。
降級点持ちでは、日浦市郎八段がピンチです。残り3戦で最低でも2勝が必要です。

〔C級2組〕◎佐々木大地七段 ○本田奎五段 ▲徳田拳士四段
https://www.shogi.or.jp/match/junni/2023/82c2/index.html
冨田誠也四段が6連勝でトップ。ただし1敗勢が8人もいる混戦です。冨田四段は順位が良いため1敗しても4番手キープが大きく、かなり有力です。
1敗の佐々木七段も順位、残り対戦相手から普通なら昇級候補筆頭なのですが。
ギタシンこと佐藤慎一が5勝1敗と奮闘中。あと1勝で降級点をひとつ消せますが、ここからが強敵ばかりです。
同じく1敗の藤本四段は順位が低いため今期はキャンセル待ちでしょうか。
現役最年長の青野照市九段が6連敗です。さすがに現役続行は苦しいとは思いますが、残り4戦でなんとか白星を挙げてほしいです。
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第73期ALSOK杯王将戦 挑戦者決定リーグ最終一斉対局 [将棋]

挑戦は3人に絞られています。

〔王将戦中継サイト〕
https://mainichi.jp/oshosen2024

〔棋戦表〕
https://www.shogi.or.jp/match/oushou/73/hon.html

抜け番は4勝2敗の羽生善治九段。
4勝1敗の永瀬拓矢九段と菅井竜也八段は、自らが勝利して相手が負けると王将挑戦決定です。
負けると菅井八段は順位の関係で挑戦の可能性がなくなり、永瀬九段は二人とも負けた場合だけ羽生九段とのプレーオフになります。
永瀬九段の相手はリーグ陥落が決まっている佐々木勇気八段、菅井八段の相手は勝てばリーグ残留が確定する近藤誠也七段です。
また豊島将之九段の対戦相手はリーグ陥落が決まっている渡辺明九段ですが、負けるとリーグ陥落確定、勝てば近藤七段の結果待ちです。
王将戦挑戦者決定リーグらしく、ひとつとして消化試合はありません。
それぞれの対局結果ですが、挑戦のかかる佐々木―永瀬戦・近藤―菅井戦が特に激戦で、評価値も終盤でジェットコースターのように上下する一戦となりました。
最終的には

 佐々木勇気八段 ○―● 永瀬拓矢九段
 近藤誠也 七段 ●―○ 菅井竜也八段
 渡辺明  九段 ○―● 豊島将之九段

となり、挑戦者は5勝1敗で菅井八段。リーグ残留は菅井八段、羽生九段、永瀬九段、近藤七段の4人となりました。
王将戦は例年だと1月上旬から始まります!
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【公募情報】第12回Sler川柳大賞(川柳・12/31〆) [公募情報]

もとめられるのはユーモアです。

〔主催者HP〕
https://www.robo-navi.com/document/JARSIA_vol17.pdf

Slerとは、システムインテグレーターの略称です。
様々なシステムをまとめて動かす司令塔を完成させる個人や企業といった感じでしょうか。
本公募はSlerとロボットについての川柳募集です。
と書くととても堅そうに思えますが、採用されているのはユーモア系です。
なので大事なのはユーモアのセンスといったところでしょうか。
応募締切は令和5年12月31日です!

<募集要項抜粋>
募集内容:川柳
テーマ :ロボットやSler
川柳大賞:3万円
応募締切:令和5年12月31日
応募方法:主催者HP
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最近の日常【令和5年11月第4週】 [日常]

〔健康診断の結果が返ってきた話〕
毎年のお約束ですが、今年も胸部エックス線検査でひっかかる。
自分は若いころから自然気胸を繰り返していて、胸部エックス線を撮るとその跡が白く写ります。穴がふさがる時に横隔膜があれこれくっつくので、それも写る。
ということで、毎年のように両上肺野胸膜癒着と書かれます。
経過観察うんぬん言われますが、もちろん無視です。
昔からなので。

〔新規分譲の広告が入ってくる話〕
うちは一戸建てだしそれほど古くはないのに、なぜか新規分譲の広告が入ってくる。
自分の感覚だと、ファミリー向けのアパートに投函した方がいいように思うけど、意外と買い替え需要が多いのかも。
わざわざ人手を雇って、印刷代もかけて、配り歩くのだから、それなりに効果はあるのかもしれない。
ちょっと見ると、自宅より駅から遠くて面積もほぼ同じなのに1000万以上高い。
値段が上がっているなあと思いつつ。
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【書評】原ゆたか『かいけつゾロリのきょうふのカーレース』 [書評]

大人気シリーズの第21作です。


かいけつゾロリのきょうふのカーレース	(21) (かいけつゾロリシリーズ 	ポプラ社の新・小さな童話)

かいけつゾロリのきょうふのカーレース (21) (かいけつゾロリシリーズ ポプラ社の新・小さな童話)

  • 作者: 原 ゆたか
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 1997/07/01
  • メディア: 単行本



タイトルはカーレース―ですが、ミニ四駆です。
出版当時(1997年)の流行を取り入れたのでしょう。
かいけつゾロリにはいくつか定番パターンがありますが、今回はブルル社長との対決です。
卑怯な手(かわいいですが)をつかってレースに勝とうとするブルル社長に、ゾロリたちがへんてこな道具と知恵を駆使して逆転勝ちします。
ゾロリたちが望みの賞品を手に入れられないのもお約束。
こうした安心感がうれしいです。

ゾロリファンのために!
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【SS】齊藤想『ひとりの五つ子』 [自作ショートショート]

第6回小説でもどうぞW選考委員版で佳作をいただいた作品です。
テーマは「家族」です。

〔小説でもどうぞW選考員会版(第6回・結果発表、選考会)〕
https://koubo.jp/article/19735

〔作品はこちらのリンク先を参照してください〕
『ひとりの五つ子』 齊藤想
https://koubo.jp/article/20107

※この作品を題材として、創作に役立つミニ知識をメルマガで公開しています。
 無料ですので、ぜひとも登録を!

【サイトーマガジン】
https://www.arasuji.com/mailmagazine/saitomagazine/

―—

『ひとりの五つ子』 齊藤 想

「この赤ちゃんが無事に成長する確率は20%ぐらいだろう」という産婦人科医の余計なひとことから、全ては始まった
 この言葉は新米母親だった私を怒らせ、祖父母を悲しみのドン底に突き落とし、さらに夫を奇妙な行動に走らせた。
 母子ともに峠を越したのは一カ月後。元気を取り戻してようやく退院したとき、なぜか赤ん坊が五つ子に増えていた。
 夫は満面の笑みで、五人の赤ちゃんを私に見せてくる。
「太郎が生き残る確率は医者から20%と言われただろ。だから、うちの会社の研究所にお願いして、念のためにクローンで増やしておいたんだ。五人いれば、一人は成長してくれるはずだろ」
 夫の会社は医療メーカーだ。クローンの研究をしているとは聞いていたが、まさか赤ん坊のクローンを作るとは思わなかった。もちろん無許可だろう。
 私は夫に詰め寄った。
「ちょっと、なに勝手なことを言っているのよ。太郎はこの世に一人しかいないの。大切な太郎なの」
「太郎が大切だからこそ、増やしたんじゃないか。絶対に失いたくないだろ」
 失いたくないのは同じだけど、方向性が違う。
 夫は誇らしげに胸を張る。
「五人の成長度合いを合わせるのが大変だったんだぞ。太郎の様子をずっと見守り続けて、成長促進剤の投入量を調整して……」
「もうそんな話はいいから。それで、オリジナルの太郎はどれなの?」
 夫は五つ子の顔を順番に見比べた。そして、小首をかしげた。
「気にするな。みんな一緒だから」
「もう最悪! もういい、私が全員育てるから!」

 こうして、私は五つ子の母親になった。幸いなことに太郎は五人とも元気に成長した。
 そうなると困るのは戸籍だ。クローンに戸籍も住民票もない。
 法律的にどうなのかはわからないが、健康保険証は使いまわした。小学校に入学できるのもひとりなので、兄弟が日替わりで学校に通った。学校で起こったことや話したことを兄弟で共有しておけば、クローンなので先生や友達にもまったくバレない。
 そもそも誰がクローンで、誰がオリジナルなのかすら分からないのだが。
 太郎同士で情報交換している様子を眺めている夫は、目を細めた。
「みんな仲良くやっているなあ。えらいぞ。さすがはクローンだ」
 夫はお気楽なものだ。だれのおかげで苦労しているのか。
 遺伝子が同じでも、成長するにつれて太郎たちにも特徴がでてきた。
 スポーツが得意な太郎。勉強が好きな太郎。人当たりの良い太郎。
 私は学校行事で太郎を使い分けた。宿題は五人一斉に進めるのですぐに終わる。部活動はスポーツが得意な太郎。合唱には歌の上手な太郎と、子育てに楽しみが増えてきた。
 スポーツの大会や発表会に他の太郎が見に行きたがったが、そこは祖父母を動員して、親戚を装ってごまかした。
 五人の太郎を育てるのは大変だ。けど、太郎たちが小学校の高学年になるころにはリズムもつかみ、なんとかやっていける自信がついていた。
 とはいえ、将来が心配だ。五人ともかわいくて愛しい太郎なのだ。まともな生活を送らせてあげたい。
 戸籍と住民票を五人分揃えようと無戸籍者の特例も調べ始めたころ、夫が上機嫌で帰宅してきた。
 夫は五人並んだ太郎の寝顔を見ながら、しみじみとした口調で私に語り掛けてくる。
「美緒には五人の子育てで苦労をかけたね。いつか助けてあげようと思っていて、時間がかかったけど、ようやく準備ができたから」
 嫌な予感がする。夫が指を鳴らすと、ドカドカと四人の中年女性が入ってきた。
 夫の後ろに、私が四人も並ぶ。
「美緒の負担を軽くするために、クローンで増やしておいたから。おれたちは四十代だから、成長促進剤を使っても同じ年齢にするのに時間がかかってさあ」
 四人の私は一斉にお辞儀をした。また夫が指を鳴らすと、次にその後ろから出てきたのは四人の夫。
「おれもそろそろ楽しようかと思って、ついでにおれも作っておいた。これで万事解決というものだ。五組の家族が誕生だ。どうだ、おれって凄いだろ」
 オリジナルの私は、オリジナルの夫を殴り倒した。

―—

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