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【書評】七河迦南『アルバトロスは羽ばたかない』 [書評]

第18回鮎川哲也賞受賞作『七つの海を照らす星』の続編です。


アルバトロスは羽ばたかない (創元推理文庫)

アルバトロスは羽ばたかない (創元推理文庫)

  • 作者: 七河 迦南
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/11/30
  • メディア: 文庫



舞台は前作と同じく田舎にある児童養護施設です。そこで少女が屋上から墜落する事故が発生します。
これが自殺なのか事故なのか、それとも殺人なのか。
警察の捜査に納得できない主人公は、自ら真相を明らかにするために動きます。
これも前作と同じく短編連絡ですが、途中途中で少女の事件を追う話が挟まれています。
構成としては
少女の事件を追う → 過去の事件をおもいだす(短編) → 少女の事件を追う → 過去の事件を思い出す(短編) → ……
というループです。
今回の短編ですが、『夏の少年たち』など、ちょっと苦しいかな、と思う部分があります。
『それは光より速く』は、児童養護施設に親が「子供を出せ」と怒鳴り込んでくる話ですが、主人公の対応は社会人としてちょっとありえない。
けど、謎解きを読むと、なるほどなと思いました。設定はともかくとして、ミステリとしては一番面白かったです。
それで肝心の少女の事件ですが、セリフの微妙な違和感が伏線となっているのですが、こ手の手法はよくあるだけにいろいろな工夫をされているのですが、結果としてゴチャゴチャしている気がします。
個人的にはスッキリ系が好みなので。

清新なミステリを楽しみたいひとのために!
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