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【映画】JFK [映画評]

ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を陰謀論から描いた歴史ミステリの面白さを満喫できる作品です。


JFK (ディレクターズ・カット/日本語吹替完声版) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2018/03/16
  • メディア: Blu-ray



本作は地方検事ジムキャリソンが起こしたクレイ・ショー裁判を題材として、FBI、CIAが暗殺事件の黒幕とするバッジマン説がベースとなっています。
主人公は地方検事ギャリソンです。
彼は事件から3年後にケネディ暗殺事件を検証したウォーレン報告書に違和感を抱き、独自捜査を開始します。
そして、地元の名士であるクレイ・ショーをケネディ暗殺事件の共謀者として立件しようとします。
彼が描くストーリーは、ベトナム戦争継続を狙う軍部、キューバ進行を中止されて権限を奪われそうになるFBI、CIAが、ケネディ大統領を暗殺することで政策転換を狙ったものというものです。
聞き込みから次々と明らかになる奇妙な事実。暴かれていく狙撃犯のオズワルトをはじめとする様々な人物の裏の顔。次々と殺されていく証人たち。
事件に没頭するギャリソンですが、そのせいで家族との関係はギクシャクします。意固地になるギャリソンから、次々とスタッフが離れていきます。
こうした空中分解の危機を乗り越え、ついに裁判に向かいます。
という感じのストーリーです。
歴史ミステリの面白さを満喫できる作品だと思います。
誰もが知るケネディ暗殺事件。
当初からオズワルド単独犯説には疑問が呈されてきましたが、実際の事件を扱っているからこそできる仕掛けがたくさんです。
次から次へと出てくる事実、様々なほのめかし、詳細な背景。
空想の世界だったら、ここまで組み立てられません。これぞ歴史ミステリといった感じです。
3時間を超える大作ですが、玉ねぎの皮のように少しづつ暴かれる秘密を提示するタイミングが抜群で、長さを感じさせません。
映画としてのミッドポイントは、ギャリソンのテレビ出演後に行われた夫婦の和解です。テレビ出演のあとでギャリソンは身の危険を感じ、そこで初めて妻の恐怖を知ることになります。
現実に打ちのめされたギャリソンを見て、妻は夫を抱き寄せます。
ここでギャリソンは家族か仕事かの葛藤が解消され、全員一丸となって裁判へと向かいます。
主役のケビンコスナーをはじめとして、俳優陣の熱演も見事です。
陰謀説の最大の根拠は「魔法の銃弾」ですが、ちなみにこの映画が公開された翌年に回転説がでてくて、「魔法の銃弾」のからくりにほぼ決着がついています。再現実験にも成功したようです。
現在では陰謀説は否定されています。
「ケネディ暗殺事件」だけでなく、陰謀説はいつでも世間を虜にしますが、なかなか難しいようです。
残る謎はなぜもっと簡単に狙える手前で銃撃しなかったかですが、個人的にはコナリー知事を狙った説が有力だと思っています。
説明として、いちばん、すっきりしますので。
歴史ミステリは興行的に苦戦しそうですが、製作費4千万ドルに対して興行収入2億ドルのヒット作となりました。
さすがはケネディです。

近代史に残る歴的大事件にまつわるミステリを超大作で楽しみたいひとのために!
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【書評】ロベール・ドロール『中世ヨーロッパ生活誌』 [書評]

中世ヨーロッパを深く知りたいひとには必読です。


中世ヨーロッパ生活誌―LE MOYEN AGE

中世ヨーロッパ生活誌―LE MOYEN AGE

  • 出版社/メーカー: 論創社
  • 発売日: 2014/10/01
  • メディア: 単行本



扱っている範囲がとにかく広く、かつ詳細です。
農民、騎士、僧侶、商人といった人々の生活だけでなく、精神構造と社会構造にも及んでいます。
また目次が細かく分かれており、辞書的な使い方もできそうです。
中世ヨーロッパは暗黒時代ともいわれますが、疫病の時期を除けば人口は増え続け、農耕技術の進歩もあり生産力は増え続けました。
肉類もたくさん食べていますし、ワインも楽しんでいます。ちなみに豚は森の中でドングリを食べさせて育てたようです。
もちろん衛生状態や栄養状態は悪かったため、死亡率が高く平均寿命も短かったです。
ですが、様々なひとたちが、精一杯生きて姿が、脳裏に浮かんできます。

中世ヨーロッパの生きいきとした姿を思い浮かべたいひとのために!
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